どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫

文字の大きさ
上 下
172 / 426

172 フレイア・・俺に惚れたのか?

しおりを挟む







家の前に立ち、フト振り向くと、静かにフレイアがついて来てくれていた。

そっか・・忘れてた。

「フレイアはどこで寝るの?」

俺はそう聞いてみた。

「エルフはね、どこでも寝れるのよ。

木や森があれば、なおさらいいわね」

フレイアは空を見上げながら言う。



帝都は空中ということもあって、空が近い。

手に届きそうなくらいに星が近く見える。

数も多い。

そんな星空を見ながら、フレイアがポーンと家の屋根に飛び上がった。

「テツ・・今日はここで休ませてもらうわね」



月明かりが青く家を照らし、影を作っている。

屋根の上でフレイアが星空を見ながら何やら歌っているようだ。

髪が月の明かりで柔らかく輝いていた。

・・・きれいだな・・・

俺はそういう言葉しか浮かばなかった。

そんなフレイアを見ていると、自然とフレイアの横に飛んでいた。



「よっと・・・フレイア、こんなところで寝るのかい?」

「そうよ。

これだけ月明かりと穏やかな天気なら、最高の寝る場所ね」

「そっか・・・フレイア・・明日から、本当によろしく頼むね」

俺は、頭を下げた。



本当にわからないことだらけの中、フレイアの存在がどれだけ力強く感じることだろう。

本気でそう思った。

「テ、テツ。

別にいいわよ。

私だって別に目的があるわけじゃないし・・・」

フレイアが顔の前で手をバタバタと振っている。



若いときの俺なら、ここで髪でも撫でて一気にキスを奪って、お持ち帰りしたよなぁ・・なんて思ってみた。

それにキスなんて挨拶、挨拶、とかうそぶいて、キスしまくったっけ?



そんなことを思い出しながら、フレイアの横で星空を眺めてみた。

そんな俺の横顔を、フレイアがジッと見つめている。



「・・どうしたフレイア・・・俺に惚れたのか?」



フレイアの耳が一気に赤くなってきた。

「バカ!!!」

当然、頭を殴られた。



フレイアさん、もし人を殴るときは、お尻を殴るように・・・

そう余計な一言を付け加えたら、もう一度殴られた。

やっぱり頭だった。



これくらいで退散した方がいいだろう。

「フレイア、風邪ひかないようにな。

おやすみ」

「さっさと寝ろ!」

フレイアはそういうと、屋根の上でゴロンと横になっていた。



俺も家に入り、身体を生活魔法できれいにしてからベッドに入った。

・・・・・

・・・・

・・・

目を閉じたら、すぐに朝になった感じだ。

上空なので、日の出も早いのだろう。

時間は午前4時半過ぎだ。

よく寝た方だな・・。





外に出てみると、フレイアが家の前で弓の手入れをしていた。

「おはよう、フレイア」

俺がそう声をかけると、俺の方をパッと見て下を向いた。

「お、おはよう、テツ」

・・わかりやすい子だなぁ・・

ま、いっか。



「弓の手入れかい?」

「うん。これから命を預ける武器だからね」

そうだよなぁ・・・。

俺なんて、じいちゃんに任せっきりだしな・・

これは見習わなきゃいけないな。



俺の家の横、優の家、嫁と嫁のお義母さんの家・・・

起きてる気配はないな。



隣のばあちゃんの家は・・・・



どうやら起きてるようだ。

そう思って移動してみた。

フレイアもあわててついてくる。

「テ、テツ。

動くのなら声をかけなさいよ!」

「あ、はい。

フレイアさん・・・では、ばあちゃんの家に行きます、到着です」

「テ、テツ。

またバカにして!」

フレイアがレイピアを抜こうとする。



俺はすぐにフレイアをなだめた。





ばあちゃんの家のドアをノックすると、じいちゃんがすぐに出てきた。

「おはよう、じいちゃん」

「おはようございます、御父様」

じいちゃん、フレイアに挨拶されたら嬉しそうだな。

挨拶を済ませて家の中に入った。





あれ?

昨日と少し感じが違うぞ。

俺はそう思いつつ、リビングへ行った。



「ばあちゃん、おはよう」

「おはようさん!」

「おはようございます、お母様」

「あ、フレイアさんもおはよう」

ばあちゃんは味噌汁を作っていたようだ。



「ばあちゃん、何か昨日と感じが違うんだが・・・」

俺がそういうとばあちゃんがニヤッとして答える。



「わかるかい?

それにしても魔法って便利だね~。

壁の位置が少し気に入らなかったから、変えたんだよ。

それにテーブルも一枚板のような感じが良かったから、そんなイメージで作ってみたんだよ」

ばあちゃんは活き活きと話してくれる。

「・・・なるほど・・それでか・・」

俺はそういうと、席につかせてもらった。



しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

処理中です...