どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

166 え？ ダンジョンって、そんな簡単にできるんですか？

ココにはわからないだろう、この圧力。

・・・怖いんですけど。



「・・誰？

テツ、誰、この人？

いきなり大口叩いてるけど・・・嘘じゃないみたいね。

でもね、ダンジョンって階層があって、相当のレベル持ちでないと街を維持するものなんて作れないだけど・・・・」

そこまでだった。



ウルダが俺の後ろからココに近づいていった。

「小娘！貴様無礼であろう」

そういうと斧を取り出していた。

・・・やっぱりこうなったよ。

ウルダがいると・・ねぇ・・・。



この場にいる人みんな、ビビってるんですけど・・・。

騎士団員なんて動かないぞ。

政務官・・・もしかして気を失ってないか？

口のところに白い泡が見えるけど・・・

職員たち・・凍ってるんじゃないんだから・・・。

ギルドを運営していくであろう、アポロ・・震えてるだけじゃだめだろう。

・・・ココも怯えてるな。





「ウルダさん・・相手、子供ですから・・それに怯えてますよ」

「しかしだな、テツ・・無礼にもほどがあろう」

俺は、とりあえず斧は収めてくれと言った。

怯えてるココにとりあえず声をかける。



「ココ・・、ココ！！」

「あ、は、はい！！！」

正気を取り戻したようだ。

「あのね、ココ。

この人だけど、ルナさんていうんだけど知ってる？」

「ル・・ナ？・・・」

ココはどうやら名前は知らないようだ。

「じゃぁ、夜の王と言えばわかるかな？」

・・・・

・・・

！！！！！！



「夜の王って、・・・・・ヴァ、ヴァ・・・ヴァ、ヴァンパイアじゃない！！

それって・・・え、でも、どうしてそんな人がここにいるのよ？

でも、それならダンジョンなんて普通に作れるでしょうけど・・・

ほんとに、ヴァンパイアなの？

・・・・嘘じゃないみたいだけど・・・・」

そう言って俺の方を見ながら、ウルダをチラっとみた。

・・・一瞬で静かになったな。



「まぁ、話せば長くなりすぎるので話さないが、とりあえずルナさんがダンジョンを作ってくれるよ。

どこに作ってもらったらいいんだい？」

俺はココに言ってみる。





場所は、政務官と市の職員たちとで決めていたみたいで、市役所の隣に作ってほしいようだ。

管理と運営がしやすいという。

そんなものかな・・・。



ルナがその場所へ案内されて、魔法でダンジョンへの入口のようなものを作った。

鳥居のような感じに見えるが、その奥は地下へ続く階段になってるようだ。



「できたぞ」

ルナはそう言う。



え？

もう、できたのか？

ダンジョンって、地下何階とか地上何階とか・・階層を持った空間だよな？

こんな一瞬でできるのか？

なんだそれ？

マジか？

・・・・

俺は驚きっぱなしだった。



ルナはこちらにゆっくりと歩いて来て、ココたちに言う。

「この辺りの魔素から考えたが、３０階層もあれば十分だろう」



！！！！！



「さ、３、３０階層ですってぇー！！！！」



ココは悲鳴じみた声を上げている。



それほど凄いものなのか？

俺には判断できない。



「ココ・・３０階層ってすごいのか？」

俺は聞いてみた。

「当たり前でしょ。

普通、そんなダンジョンを持ってるなんて、大都市くらいよ。

それにそれだけ階層があれば、安定して魔素を蓄えれるわね。

資源の供給も申し分ないわ」

・・・そうなのか・・・

勉強になるな。





ココはルナのところへ行って、深々と頭を下げていた。

「ルナ様、本当にありがとうごさいました」

ルナは微笑んでその謝意を受けていた。

「さて、帰るかテツ」

そういうとウルダとともに翼を広げていた。



市の職員は何度驚いただろうか・・・。

まさかこれほどの美人が、翼を持っているとは思ってもみなかっただろう。

ウルダに至いたっては、髪で隠れてるが、角が生えてるからな。



「ウルダ、テツを運んでやれ」

ルナがそういうと、ウルダが俺を抱えてくれた。

ふわっと浮いたかと思うと、一気に上空へ舞い上がった。

地上からは、戦闘機の急上昇のように見えただろうな。

もっと速いか・・・。

・・・

・・

すぐに雲を抜け、白い塔が見えてきた。

塔の前に到着すると、ルナとウルダは王宮とは違う方向へ歩いて行こうとした。



「ルナさん、どちらへ行かれるのですか？」

ルナが振り向きつつ、ウルダが答えてくれた。

「私たちは、今宿泊しているところへ戻るのだ。

報告は頼むぞ」

そういうと悠然と歩いて行った。