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156 全員ライセンスカードを持ったかな?
しおりを挟むギルマスは頭を掻きながら、一応は納得してくれたようだ。
・・・・信用してないだろうな・・
「ギルドマスター・・言葉が足りずにすみませんでした。
私の近所の住人は、おそらくみんなレベル15前後だと思います」
俺はそういって、後はわからないと伝えた。
ただ、出会った違う地域の人たちも、レベル10前後だとも付け加えた。
あ、20くらいの奴もいたな・・・それも言った。
ギルマスは俺と向かい合う感じで腰をかけた。
「テツ君・・疑ってすまないな。
ただ、我々からすれば異世界人の君たちの状況がわからないのが不安なのだよ。
気を悪くしないでくれ。
もし、対立したりすることになったら、君みたいなのがいれば脅威だからね」
ギルマスが真剣に俺に語り掛けてくる。
それはそうだろう。
ただ、そういうことを話してくれるということは、信頼をいくらかは得ているのだろう。
だったら、俺もそれに応こたえねば失礼だと思う。
「ギルドマスター・・・あなたの心配はわかります。
逆の立場なら私も疑うでしょう。
ですが、私はこの街に移住することを先ほど決めたばかりです。
家族も一緒に・・・」
ギルマスは驚いたようだ。
「・・本当なのかね・・」
俺はうなずいた。
「はい。
ギルドマスター・・もし、あなたが心配されてるようなことになっても、私は敵対しませんよ。
これは約束します。
むしろ私が地球人の敵になるかもしれませんね」
俺は本気でそう思っていた。
「・・それは・・・」
ギルマスが言葉を詰まらせている。
「これは私の意思です。
同族が嫌いとかそういうのではないのです。
むしろ自然な流れだと思いますよ。
自分の生きるべき環境を守る。
私は、アニム王やこの帝都の人たちを信頼できると思ったのです。
そりゃ、どこにでも変なのはいるでしょう。
ただ、どちらの社会システムが自分に適しているのかと考えれば、帝都でしょうね。
アニム王が嫌でなければ、こちらの住人になって過ごしたいと思っているのです。
・・って、もうライセンスカードも持っていますから、帝都人ですかね?」
俺は思っていることを、素直にそのまま伝えてみた。
ギルマスは目を閉じてしばらく黙っていた。
・・・・
・・・
ゆっくりと目を開けて、
「テツ君・・・そうか・・・
俺も、テツ君を信用したいと思うよ。
これからよろしく頼む」
ギルマスはそう言って俺に握手を求めてきた。
俺も力強く握った。
無事、優のライセンスカードも発行された。
優がライセンスカードを見つめていると、嫁たちが入って来た。
いらっしゃいませ~!
アリアさんが声をかけていた。
俺はエレンさんに俺の家族ですと伝える。
ギルマスにも、あのワイバーンを乗せているのが颯といって、レベル28のトレーナーだと伝えた。
後は普通のレベルということも付け加えた。
優が嫁たちに手を振って近寄っていく。
嬉しそうにライセンスカードを見せていた。
嫁たちもそれぞれライセンス登録を済ませ、エレンさんと俺のいるカウンターに来て、住む場所を見せてもらった。
俺が、地図上で表示されたエリアが、実際に住む場所に連動していると伝える。
嫁のお義母さんが、便利ねぇとつぶやいていた。
「みんなも登録終わったんだな。
じゃぁ、住む場所を見に行ってみよう」
俺はそういうと、エレンさんが一緒について行ってくれるという。
・・見張りかなとも疑ったが、それは失礼だろうな。
少し反省した。
俺はギルマスに謝意を示して、エレンさんに同行してもらった。
受付では、アリアがまだ驚いていた。
優と颯のレベルが高すぎたようだ。
・・・俺が安全のために保険をかけ過ぎたかな?
アリアはそのままにして、エレンさんに案内してもらった。
ギルドを出て、少し歩くと提供してくれる土地に到着した。
ばあちゃんたちの家はもう出来ていた。
どうやらエレンさんは土魔法が使えるようで、パッと家の基礎部分なんかは作れるそうだ。
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