どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

146 ばあちゃんたち・・帝都へ行く

俺はアニム王にもらったペンダントを、１階のどの扉にかけようか迷っていた。

たぶん、扉ならどれでもつながると思う。

問題はどれにするかだが・・・。

「ばぁちゃん、どの扉を使っていい？」



俺はそう聞くと、

「そうさねぇ・・ここの扉でいいんじゃないかい？」

そういって、お風呂場のところの扉に案内された。

・・・・

まぁ、扉なら問題ないだろう。

お風呂場で、バスタオルとかパジャマや下着を収納する場所の扉だ。

中のものを取り出して、空っぽにしてから扉を閉めた。



ペンダントをかけてみる。

そして、扉をあけたら、あけたところが白くなっていた。

何もない。

ただ、白く見える膜みたいになっていた。

ばあちゃんたちは、驚いていたようだ。



俺はそれを見つつも、扉を先に通過した。

出たところは、昨日と同じ場所のアニム王の宮殿だ。



出口に人が１人いた。

俺が現れると、すぐに近寄って来て挨拶をされた。

「おはようございます。

アニム様からうかがっております」

その挨拶が終わると同時に、ばあちゃんとじいちゃんが来た。



来るなり、広いねぇ～と声をあげていた。

俺はそれを見つつ、俺の父と母を紹介した。

ゲートの前で番をしていた人は、快く迎えてくれた。



アニム王はまだ起きてきてないようだ。

俺はゲートが開きっぱなしが気になるので、もう一度帝都からくぐって家に戻った。

そして、すぐにペンダントにふれたままゲートをくぐりつつ、ペンダントを外して移動した。

これで向こうからは入って来れないだろう。





俺たちは宮殿の食堂らしきところへ案内された。

どうやら食事を出してくれるらしい。

軽く食事をしてきたと伝えたら、では食後のデザートでもどうですかと言われた。



言われるがままに食堂へ案内された。

少し移動して、食堂へ到着する。



俺たちが席につくと、アニム王が現れた。

「おはよう、テツ。

テツのご両親も、ようこそおいでくださいました」

アニム王はそういいつつ、一緒に席についた。



アニム王に早速お礼を言っておかなきゃいけない。

「アニム王、昨日は家族がお世話になり、ありがとうございました」

俺が謝意を示すと、別に気にするなと言ってくれる。

「ご家族は、王室直轄ギルドの宿泊施設に泊まっているよ」



！！



「ギルドですか・・」

俺は思わず言葉が出た。

「そう、ギルドだ。

王国全員が登録しているよ。

テツも登録しておくと、いろいろ便利だと思う。

後で行ってみるといい」

「ありがとうございます」

アニム王はそう言ってくれた。



「アニム王・・今朝、こちらに来るときに、外に出て空を見上げたのですが、この街のような大きな雲がありませんでした。

今、私たちがいる場所は昨日とは違う場所へ移動したのでしょうか」

そう、見上げた時には空と、流れる雲しか見えなかった。

その疑問を投げかけてみた。



「ああ、空が見えたのかい？

だったら無事に機能してるということだね」

「・・・無事に機能している・・・？」

「光学迷彩だよ。

この浮かんでいる底の部分というか、周りは魔法で周りの景色に溶け込むように術をかけてあるからね。

そして、もし何か物体が衝突しそうになれば、その物体は反対側に転移するようにもなっているはずだ」

「・・・・・・」



俺は、その規模のでかさに言葉を失った。

人くらいの大きさの光学迷彩などの術なら普通に受け入れることができただろう。

だが、街全体を包むほどの規模となると・・・

理解できるが納得しづらい。



アニム王はクスクスと笑いながら、

「少し驚かせてしまったかな。

でも、安全のためには最低限の防御はしておかなければと思うんだ」



それはその通りだろう。

危機なんて、想定できないから危機というからな。





さて、後で両親を連れて街を少し見学したいと言ってみると、快諾してくれた。