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124 俺は、試されていたのか・・・
しおりを挟む地面の揺れで少し体勢が崩れた。
ウルダが振り向き、続けて斧を振り下ろしてくる。
刀で受け流して、直撃だけは免れることができた。
ウルダの斧を受けてわかった。
・・この女・・やはりバケモノだ。
まともに受けていたら、俺はつぶれていたんじゃないかと思う。
刀で受けつつ、流すことができたのが良かった。
刀が俺の身体を守ってくれた。
ウルダの振るった斧の衝撃で、受け流したものの、俺は吹き飛んでいた。
起き上がろうと思うが、思うように力が入らない。
刀を杖にして、どうにか立ち上がることができた。
・・・・?
俺は不思議に思った。
どうして、俺が転がった時に追撃しなかったのだろうと・・・。
ウルダは斧を持ち上げて見ていた。
「ルナ様・・この人間たいしたものですよ」
「うむ・・そうだな。
ウルダの一撃を凌しのいだのだからな」
二人はニコニコしながら会話をしていた。
俺の方へウルダが近寄ってきた。
「テツ。お前はすごいぞ」
そういって、ウルダは俺の頬にキスをしてくれた。
???
俺は頬を軽く片手で触れつつ、どうしていいのかわからなかった。
「テツよ。
ウルダが褒めてくれたのだ。
誇るがいい」
ルナは言う。
「そうだぞ、テツ。
お前は、私の斧に傷をつけたばかりか、2度も攻撃を避け、生き延びたのだ。
人として誇っていいぞ」
・・・なるほど・・そういうことですか。
俺は試されていたのですね。
俺の身体はまだ痺れていた。
・・しかし、ウルダさん・・
俺を殺す気でいたのか?
・・それはわからないな。
でもまぁ、結果オーライだ。
シルビアは立ち尽くしたままだ。
あまりの出来事に放心状態のようだ。
俺の方にルナが近寄ってくる。
頭に軽く手を触れた。
身体が軽くなってくる。
どうやら俺に回復魔法をかけてくれてるようだ。
「・・・ありがとうございます、ルナさん・・」
俺は完全に回復した。
ルナも微笑みながら、ウルダの斧を見せてもらっていた。
「・・・なるほど・・・。
まさかウルダの斧が傷つくとはな・・・」
「えぇ、ルナ様。
私も驚きです」
二人ともが斧を眺めていた。
少しして、ウルダが斧をアイテムボックスへとしまったようだ。
その斧って、それほどいいものなのか?
何せ俺は、無我夢中だったからな・・・。
シルビアがようやく動きだしたようだ。
俺の方へ駆け寄って来た。
「・・テ、テツ!
強いと思っていたが、まさかこれほどとは・・・。
本当に何者なのだ?」
いやいや、シルビアさん・・人間です。
ただ、少しレベルが高いだけですが・・・。
俺は3人の立っている姿を眺めていた。
慣れてくるようだが、それにしても凄まじい美人だな。
シルビアもものすごい美人だと思ったが、ウルダも美人だ。
特に、ルナ。
何と言うか、触れることがもったいないような美人だな。
・・・・ヴァンパイアだったよな・・
・・何歳なんだろう・・・
人の尺度で計るのは良くないのだろうが・・・。
そんな俺の視線に気づいたのか、ルナがこちらを見た。
「テツ・・・貴様・・
何やら失礼なことを考えてないか?」
その言葉に残りの二人もこちらを見た。
たまらん!!
この視線。
視線だけでうれしくなる。
「い、いえ・・その・・・三人ともがあまりにもきれいなので、つい見とれていました」
俺は正直に答えた。
「テ、テツ!
ルナ様やウルダ様に失礼であろう!」
シルビアが焦っていた。
ルナとウルダはうなずいている。
「ルナさん・・私も回復していただき、ありがとうございます。
アニム王に会いに行かれるのでしたね?」
「うむ」
「では、出発しますか?」
俺は軽く言ってみた。
ルナもウルダもすぐに移動できるようだ。
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