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110 ・・・貴様のせいで危なかったぞ!!
しおりを挟む初めて会ったトロウルはメイスに炎を纏わせていたが、このトロウルのメイス・・キラキラ光ってるぞ。
・・氷か?
・・・トロウル・・お疲れ様!
そう思って、トロウルに向かって踏み出した。
その瞬間、叫び声が聞こえた。
「危ないぞ!人間!!」
その声の方を向いてしまった。
・・・
・・しまった!
そう思いつつも、トロウルの方を見直す。
すでにメイスは振り下ろされていた。
「チィッ!!!」
全力で横へ飛んだ。
着地のことなど考えていない。
ゴロゴロと転がりつつ、起き上がってみると、さすがトロウル。
振り下ろしたメイスの辺り一帯にクレーターが出来ていた。
50メートルくらいは離れたというか吹き飛んだというか・・・。
・・しかし、俺は無傷だ。
とにかく距離を取った。
その俺のところへ先ほどの声の主が現れた。
「おい、大丈夫だったか、人間!」
俺は自分の集中力のなさに腹立たしく思いつつも、こいつのおかげでしくじったのかとも思った。
声の主の方を向きつつ言葉を発した。
「きさまのおかげで・・・」
そう言ったところで言葉を失ってしまった。
!!!!
またもエルフだ。
でも、髪が銀色で皮膚の色が褐色だ。
・・・・ダークエルフ・・なのか?
即座に目線を移動させた。
瞬間的に上から下まで3度ほど見ただろう。
・・・フレイアとは違う。
でっかい胸だ!
スタイルは抜群だな、おい!!
「おい人間、大丈夫だったか?
・・・それよりも、お前・・なんか失礼なことを考えてないか?
・・・言葉は通じてるか?」
その銀髪美人はそういった。
「・・いや、言葉はわかるし、大丈夫だが・・・それよりも・・あなたはダークエルフなのか?」
美人さんは、少し目を見開いたが、すぐに戻り俺の方をみた。
「・・そうだが・・よく知ってるな。
貴様はこの星の住人だろう・・・
おっと、話は後だ・・トロウルが来たぞ」
その言葉で俺もトロウルの方を向いた。
ダークエルフは槍のようなものを持っていた。
俺はそれを見つつも、トロウルの方に向かって歩いて行った。
「お、おい、人間!
危ないぞ」
さっきはその言葉で、本当に危なかったからな。
俺はその言葉を無視して、足を速めた。
トロウルがメイスを振り上げたところを一気に両腕を飛ばした。
そのまま頭から縦に真っ二つに切断。
「経験値を獲得しました」
天の声もあまり邪魔にならなくなったな。
トロウルが蒸発して、魔石が残った。
魔石を回収してアイテムボックスに収納する。
ダークエルフの方を向くと、口を半開きでこちらを見ていた。
・・おいおい、そのアホ面・・美人が台無しだぞ。
しかし、エルフは本当に美人揃いだな・・。
俺が近づいていくと、顔を軽く振って背筋を伸ばしたようだ。
「・・に、人間・・貴様・・かなり強いな・・
まさか、トロウルを一撃で仕留めるとは・・・」
え?
レベル28でしょ。
そんなにランク高い魔物じゃないはずなんだが・・・
「・・そうか?
ま、とりあえず、ありがとう」
というか、お前のせいで危なかったからな。
言ってやろうかな・・・。
「・・いや、こちらこそ余計な口出しをして申し訳ない」
お、なかなかわかってるじゃないか。
「・・あ、それよりもダークエルフがどうしてここにいるのです?」
俺はまずそう聞いてみた。
「・・人間・・お前はこの星の住人なのだろう・・よく私のことがわかるな・・・」
そりゃ・・ゲーム、ラノベ、異世界もの・・好きですからね。
聞けば、このダークエルフ、半日ほど前に転移してきたみたいだった。
大きな魔素が集まっていたので、その方向に向かって移動してきたという。
たぶん・・俺とフレイア、優の時だな・・・。
ダークエルフってどういう種類なんだろう。
フレイアはエルフだし・・
どう区別されてるんだろうか?
そんなことを思いつつも、エルフも転移してることを伝えてみた。
・・・・
・・・
「・・・ほんとうか?
フレイアがすでに転移してきているのか?
・・・なるほどな・・・」
フレイアのことは知っていたみたいだ。
ダークエルフは大きく頷いて、感心しながら話をしてくれた。
名前は、シルビアというらしい。
エルフは光の神の属する精霊の加護を、ダークエルフは夜の神の属する精霊の加護を得ているのだそうだ。
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