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105 「飛燕」・・それがお前の名前だ。
しおりを挟むフレイアがレイピアを受け取って喜んでいると、
待っていた颯が出てきて、じいちゃんにこの石をネックレスにしてもらっていい?と尋ねていた。
フレイアも落ち着いたようで、颯の後押しをしている。
イメージを身振り手振りで伝えていた。
・・・うまく伝わるのだろうか・・・
ま、それにしてもウルフの魔石が有効利用できるのなら言うことはない。
・・・また違う番犬になる魔物が必要かな・・・
今度はご近所の人に討伐されない魔物がいいな。
あれ?
優はどこに行ったのだろう。
聞くと、トイレで大きい方の用足しみたいだった。
・・・そっか・・。
俺はフレイア達を見ていて思い出したことがあった。
俺専用の武器の名前をつけやらなければいけない。
俺と一緒に成長してくれる刀。
相棒だ。
パッと浮かんだのもあるが、少しずつ考えていた名前があった。
「飛燕」
燕のように素早く動いてくれる感じがする。
頭の中では、燕が田んぼの上を舞っているイメージが浮かんだ。
それも素早く上昇下降を繰り返し、左右にも機敏に動く。
・・・・
この名前がぴったりだと思った。
俺は刀を持ち上げてきて、鑑定をしてみた。
名称:未設定。
刀に心で呼びかけてみた。
・・お前の名前は、飛燕だ!
そして、次に口に出して言ってみた。
「お前の名前は飛燕。
これからよろしく頼む」
言い終わると、鑑定に表示されていた名称が未設定から飛燕に変わった。
・・・・
・・
案外、簡単に変わるな。
そう思った。
颯の魔石はすぐに加工できたみたいだ。
じいちゃん・・だんだんと神がかってきたんじゃないか?
颯はそれを手にすると、すぐに首にかけていた。
・・・うれしそうだな。
じいちゃんも満面の笑みだ。
フレイアが、そのネックレスには、ウルフの魂が宿ってるよと言っていた。
持ち主を守るのだそうだ。
颯はなおさら嬉しそうだった。
優はトイレから出てきて、チラチラとフレイアを見ている。
・・・そりゃ、美人だからな。
男なら誰でも惚れるぞ。
声、かけたらいいのに・・・・でも、中学生くらいなら俺もできなかっただろうな。
そんなことを考えながら見ていた。
さてさて、今後のことを考えないと・・・。
やはり、まだまだ都市部にはレベルの高い魔物がいるだろう。
とりあえず、それらを問題なく倒せるレベルまで上げておきたい。
・・・別にこれといって明確な目標があるわけではない。
高レベルの魔物は、普通、それほど出現するものではないのだろう。
だったら、いるうちに倒しておきたい。
それだけだな。
後でフレイアに聞いてみよう。
それよりも、フレイアは目的はあるのだろうか?
それも聞かなきゃな。
あ!
じいちゃんに刀のお礼を言っておかなきゃ。
「じいちゃん・・・あの刀・・・ものすごくいいものだったよ。
本当に助かったよ、ありがとう」
じいちゃんは無言でうなずいていた。
「フレイア・・聞きたいことがあるんだが・・」
俺はそういって、フレイアの方へ近寄っていった。
颯は2階へ上がるようだ。
優は緊張して固まっているな・・。
「何?」
フレイアがこちらを振り向く。
!!!!
フレイアさん・・その仕草が殺人的なんですが・・・
もしかして、人間にはエルフは天敵なんじゃない?
ただ、振り向いて髪を耳にかきあげる仕草なんだが、それが何とも言えない色気を感じる。
「・・・あぁ・・・あのね、フレイア・・まずは俺のことなんだが・・・」
とりあえず正気に戻って落ち着こう。
深呼吸っと・・・・。
「今、レベルの高い魔物が溢れているが、自分のレベルを上げながら、できる限り討伐してみようと思っている。
・・・方向性は間違ってないだろうか?」
フレイアは少し考えていた。
その仕草もいいね。
「・・う~ん・・そうね。
それでいいんじゃないかしら。
レベルはいくら上がっても大丈夫だし。
とにかくレベルの高い魔物がいるのは脅威だからね。
冒険者なら討伐するわね」
「そうか・・ありがとう。
それと、フレイアは、これからどうするんだい?
というか、どうしようと思ってるの?」
優がジッと見つめている。
フレイアはチラっと優を見て微笑んだ。
優・・・終わったな・・。
もうフレイアに持っていかれたな。
「そうね・・他に仲間も転移してきてるかもしれないし、それを探そうと思うけど・・そんなに急ぐことでもないしね。
・・・テツに付き合うわよ」
「・・ありがとう、フレイア・・」
俺は本気でそう思い、頭を下げた。
「・・テ、テツ・・べ、別にいいわよ。
頭を上げてよ!」
フレイアは少し驚いていたようだ。
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