どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

66 ヒロキ：テツとの遭遇まで２１時間前・・・ユウジ、ありがとな・・

ヒロキは何人いるのか数えていた。



「そうか、それはご苦労さんやな。

こっちもおじき・・いや、支部長がやられてな・・

今、後片付けしとるんよ」

ヒロキは手伝いますと言って、中へ入って行った。



屋敷の外には５人。

それを数えて、そのまま中へ入る。

中には６人を確認した。



歩きながらほんの３歩ほどの時間の間に、中の連中を片づけた。

６人は声も出す暇すらない。



ヒロキは自分の動きがいまだに信じられない。

思うように動く。

意識の速度で動く。

６人を片づけるのに５秒もかかってないだろう。

しばらくして全員が蒸発した。



「おう、中よりも外を頼・・・」

男のその声がスタートだった。

ヒロキがパッと消えた。



そう、普通の人間が見ればそう思うしかないだろう。

バタバタと人が倒れる。

あっという間だ。

５人がそのままの状態で、その場に倒れた。

しばらくして蒸発した。



「レベルが上がりました」



ヒロキ

レベル６。



スキルは数字は増えているが、種類は増えていない。

職業：盗賊３となっていた。



何事もなかったかのように邸宅を出た。

そして、そのままユウジの方へと向かっていく。

チビの家は知っていたので、グッと足に力を入れて走ってみた。



時間にして１分ほどだろう、チビの家が見えてきた。

ユウジが家の外へ出てきていた。

「うわ！

ヒロキはん・・一瞬っすね。

心臓に悪いっすよ、ほんまに・・・」

ヒロキは普通に走って止まっただけだが、ユウジにははっきり見えないようだ。



「芦屋支部の方は魔物にやられていたよ。

で、残りは処理してきた・・」

「・・・・そうっすか・・経験値を獲得しましたって聞こえてましたから・・・

もしかしてって思うてましたが・・・

で、ヒロキはん、ありがとうございます。

俺・・レベルがまた上がりました。

レベル４っす」

ユウジは申し訳なさそうに言う。



すでに下ッパーズの連中には、ユウジがステータス画面のことを伝えていた。

中ではそれで盛り上がっているようだ。

「そうか・・じゃあ、みんなとパーティを組んだりした方がいいのかな・・」

ヒロキがそういうと、ユウジが真剣な顔になっていた。



「・・それなんすけど・・。

ヒロキはんは俺とだけパーティを組んで、俺が下ッパーズと組もうと思うとるんですよ。

そやから、外で待っとったんです」



ユウジが言うには、ヒロキは単独で戦う能力がある。

それに、敵を倒して経験値を得ても、パーティ全部で分けられるとなると、なかなか成長できなくなる。

ヒロキが強くなれば、みんなが生き残る確率が上がってくる。

だからヒロキの経験値はユウジとだけ分ける。

ユウジがある程度のレベルになってきたら、ユウジも戦闘を重ね、経験値を下ッパーズで分けて、成長していくといいんじゃないかと考えているという。



それでも、ヒロキが単独で強くなるほうがいい。

もし、ヒロキが嫌なら単独でやってもいいんじゃないかということだ。



「・・なるほどなぁ・・ユウジ・・よく考えてるな。

俺は、そのままでいいよ。

俺とユウジでパーティ。

下ッパーズはユウジが面倒みてくれれば・・

ありがとな」

ヒロキはユウジの配慮に感謝した。



まさかそんな割り振りまで考えていたとは。

確かに、俺の経験値をみんなで分けてたら、俺が強くなれない。

もし、さっきのような大きな犬が来たら、対処できないしな・・・。

「おおきにです、ヒロキはん」

ユウジは嬉しそうだった。