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65 ヒロキ:テツとの遭遇まで22時間前・・・さて、もう一仕事・・やるか!
しおりを挟む「・・いやいや、ヒロキはん強すぎまっせ。
見えへん動きしてはるし・・・。
でも、ほんまに助かりました。
そやけど、あの大きな犬・・吠えると相手をスタンさせるんちゃいますか?」
ユウジはそう分析していた。
「・・スタン?」
「はい、スタンっす。
相手の動きを止めてしまうスキルっすよ・・」
「そうだったのか。
俺は、なんか吠えそうだったし、大きな犬だから耳を塞いでその場にしゃがんだんだ・・・
それが良かったな」
ユウジはさすがっすといいながら、これからどうするのか聞いてきた。
「ユウジ・・レベル上がったって言ってたろ?
いくつになったんだ?
俺なんて経験値、経験値って、レベル上がってないからな・・」
「・・えっと・・
うわ、すごいっす。
レベル3になってます。
自分、何もしてへんのに・・・
ヒロキはん、ほんまにありがとうございます」
ユウジから感謝された。
「・・ユウジ・・やっぱりレベル上げなきゃダメだよな・・」
ヒロキはそういうと、当初の予定通りに支部を潰していこうと考えていた。
病院へ行って片っ端から経験値を手に入れたもよかったが、さすがに気が引けた。
「ヒロキはん、何考えてはるんすか?」
「ユウジ・・支部を回って潰していこうかと思ってるんだが・・・」
ユウジは答えれなかった。
今まであまりにも相手が強大で、逆らうことなど考えもしなかった。
だが、今のヒロキをみて、それも不可能ではないとも思えた。
どうせ、まともなやつらじゃない。
自分も偉そうなことは言えないが、やつらほどじゃない。
「・・別に、ええんちゃいますかね?」
それだけを言った。
「そう思うか・・。
ユウジも協力してくれるよな?」
・・
一瞬迷ったが、ここまで来たらヒロキについていくしかない。
「もちろんすよ」
「そうだ、ユウジ。
下ッパーズの連中はどうする?」
忘れていた。
電話での連絡は取れない。
どうしたものかと思っていた。
「そうっすねぇ・・あいつら、いつもの場所でいてると思います」
「いつもの場所?」
ヒロキはユウジの方をみた。
「ここって、浜甲子園の近くっすよねぇ・・」
少し歩けば甲子園球場だ。
ヒロキはユウジを背負って4キロ近く走ったことになる。
自分でも無我夢中でわからなかったが、それほどの距離を走れたわけだ。
すさまじい身体能力だなと感心していた。
それほど疲れもない。
「おそらく、朝のこの時間なら、チビの家で寝てるんやと思います。
ここからそれほど遠ぅないし・・一緒に行きはりますか?」
ユウジはそう答えた。
「いや、俺は芦屋支部が近くにあるから、そっちへ行ってみるよ」
「・・・ほんまっすか・・」
ユウジはそれ以上言葉がでなかったが、ヒロキなら問題ないだろうとも思う。
「ヒロキはんの今の強さなら、人間じゃ勝てやしまへんな」
そういうとそれぞれの目的地へ向かって歩き出した。
魔物の出現。
単一魔素の多い地域に現れやすく、その濃度によってレベルが違ってくる。
都市部など、現代社会での人口密度をみれば、災害級も魔物が出ても不思議ではない。
50万人を超える密度が集約されていれば、レベル40を超える魔物が発生する可能性もある。
例えば、東京ドームに5万人と、東京ディズニーランドに5万人では密度が違う。
そして、ある程度薄まってくれば、魔物の強さも弱くなってくる。
基本はそういったシステムが構築されているはずだ。
ヒロキは芦屋支部へと近づいて行った。
支部の邸宅の門が壊れている。
人が2~3人みえる。
支部前から六甲山方面へと向かって、建物が荒れていた。
どうやら魔物が現れたようだ。
門の前まで来て、一人の男に声をかけてた。
「どうしたんですか?」
男は、怪訝な顔でヒロキを見た。
「・・あぁん?すまんね、兄ちゃん。
変な動物がいきなり出てきてな・・・」
「あ、すみません。
俺、西宮支部の和田さんの下で働かせてもらっている、ヒロキというものです」
そういうと、男はヒロキを睨みつけるようにして、
「おお、和田んところのもんか。
で、何かあったんか?」
「ええ、和田さんのところも同じように襲撃を受けて、それで俺が様子を見に来たわけです。
お疲れ様です」
ヒロキは軽く頭を下げた。
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