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63 ヒロキ:テツとの遭遇まで24時間前・・・冒険の始まり!
しおりを挟む「・・ヒロキはん・・マジでっか?」
ユウジはもはや恐怖を通り越して、何やらおかしさが湧いてきた。
「・・ははは・・凄いっすね?
全員っすか・・
凄いっすね・・」
ユウジはその言葉の繰り返しだ。
「ユウジ・・それでな・・生き物を倒すと経験値を獲得しましたって声が聞こえるんだ・・・もう言ってたっけ?」
ユウジは聞いたかどうか忘れていた。
「・・それって、天の声ってやつっすよ。
ほんまに異世界みたいっすね・・
凄いっすよ・・」
ヒロキは生きてるって、こういうことなんだろうと思った。
すぐにこのテンションの高さを戻し、ユウジの方を向いて聞いた。
「ユウジ・・異世界ものとかゲームとかなら、これからどうするんだ?」
ユウジは、ヒロキの切り替えの早さに驚きながらも、
「・・そうっすねぇ・・
まずは仲間でパーティ組んで、それから冒険の始まりっすね」
冒険の始まり!!
ヒロキは腑に落ちるものがあった。
そうだ、これだ!
「・・ユウジ・・お前、いいね!
冒険の始まりか・・
そうだよ。
俺達の冒険が始まるんだよ・・・」
ユウジはモヤモヤした感じが起こっていた。
この人についていっても大丈夫だろうか?
でも、こんなゲームや異世界のようなことが現実に起きている。
ステータス画面なんて、ありえない。
・・・
・・・
やっぱ、異世界みたいな世界になったんだ。
ユウジは、あまり深く考えれそうにない。
「ユウジ・・パーティって・・どうすれば・・」
ヒロキのステータス画面に、パーティを申請しますか?と表示されていた。
ユウジにパーティを申請してみた。
「・・うわぁ・・ヒロキはん、頭ん中に声が聞こえたっすよ!」
そういうとヒロキとパーティを組んだ。
「そういえば、ユウジ・・あいつら・・
下ッパーズの連中、呼んで一緒にパーティを組もうぜ」
下ッパーズ・・ヒロキのチームの仲間で、いわゆるパシリ的な連中だ。
「・・・それなんすけど、さっきから携帯がつながらんのですよ・・」
ユウジがそういうのを見て、ヒロキも自分の携帯を確認してみた。
圏外。
故障してんのかな?
そんなことを考えていたら、ファミレスの電気が消えた。
どうやら停電みたいだ。
すぐに、店員が声をかけてきた。
「店内のお客様。
大変ご迷惑をおかけしております。
すぐに自家発電システムに移行しますので、しばらくお待ち下さい」
そう言い終わる前に、電気が復旧していた。
「きゃあ!!!」
店員が叫び声を上げた。
「て、店長!窓、窓に・・・」
その声に合わせて、ヒロキとユウジ、他の客も窓を見た。
「うわぁ」
「おお・・・」
「おわぁぁ・・」
ほとんどの人がその場に立ち上がり、店の奥へと移動しだした。
窓の外には、狼のような顔の背の高い、全身が毛で覆われた人みたいなものがこちらを見ていた。
ロンリーウルフ、レベル3。
だが、店内の誰一人相手のレベルはわからない。
ヒロキもレベル5、盗賊になっていたが、相手のレベルや名称を知ることはない。
その犬のような大きな生き物は、ガラスに体当たりをしている。
なかなか壊れないようだ。
頑丈なファミレスだな。
ヒロキはそんなことを思っていた。
「・・ヒロキはん・・あれって・・たぶんやけど、魔物っすよ・・」
ユウジがその場で立ち上がりながら口にした。
「・・ああいうやつら倒しながら、レベルアップしていくんすよ」
そう言ってるうちに、ファミレスの自動ドアが開いたようだ。
停電していたのなら、開かなかっただろう。
ドアが開いたのに、閉まる気配がない。
誰もいない・・・
目線を下に落とすと、レジの横を子供くらいの大きさだろうか。
小汚い鼻の大きな生き物が数匹入ってきていた。
手にはナイフを持っている。
店員は、叫んでいた。
「きゃあぁああ!」
その声に反応してゴブリンが襲いかかろうとしていた。
ヒロキ達も自動ドアが開いたときから見ていた。
「・・ゴブリンっすね」
ユウジがそうつぶやきながら、やや緊張する。
「ユウジ・・・あいつらを倒せば、経験値が手に入るんだな?」
ヒロキは聞いた。
「・・ええ、そうっす・・ゲームや異世界なら・・」
そこまで聞くと、ヒロキはそのままゴブリンに向かった。
店員の叫び声が聞こえるが、どうでもいい。
ゴブリンが動こうとしたところにヒロキのナイフが刺さる。
続けざま、隣のゴブリンと次々に刺していく。
ほぼ、一撃で致命傷みたいだった。
戦い慣れているという感じだ。
頭の中では経験値を獲得しましたの連呼だ。
5匹のゴブリンを倒していると、入り口に先ほどの狼の顔をした大きな生き物がいた。
入ってくるようだ。
いきなりヒロキに襲いかかってきた。
ユウジが叫んでいた。
「ヒロキはん、危ない!!」
ヒロキはその声を聞きつつ、それほど速い動きでもないなと思った。
レベル差があるからだ。
だが、それを知るすべはない。
落ち着いて、ロンリーウルフの攻撃をかわし、そのまま胸から首にかけてナイフを切りつけていた。
ヒロキにすれば、簡単に狩れた感じだ。
ゴブリンもそうだが、ロンリーウルフもしばらくして蒸発した。
後には石、魔石が残った。
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