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60 ヒロキ:テツとの遭遇まで25時間前・・・人の領域を超えたな。
しおりを挟むヒロキはある仮説を立てていた。
こんなわけのわからない、ステータス画面なんかが見える世界になったんだ。
死体くらい消えても不思議じゃない。
だが、なぜ消えるのか。
経験値として変化してるんじゃないのかと・・・。
つまり、物質の固体エネルギーが、俺の経験値としての数値エネルギーに変換されてるんじゃないかと考えていた。
・・・あながち外れではない。
むしろ、正解に近い推察だ。
「・・・う~ん・・・わからへん・・・。
経験値やから・・ちゃいますか~・・」
ユウジはわからなかったので、適当に答えてみた。
ヒロキは少し驚いた。
まさか、ユウジが同じような答えを持っているとは・・・。
「クックックック・・・ユウジ・・凄いなお前・・・」
ユウジは背中に冷たいものを感じた。
すると、こちらへ向かって光が照らされた。
「・・ここで何をしとるんだ?」
警察官だ。
2人いる。
ヒロキは無言のまま家の中へ入って行った。
右手を見られたら弁解もできない。
「おい、ちょい待ちぃ!
ここで猫が騒いどるからって通報があったんや。
おいこらぁ、ちょっ待て!!」
警察官はライトを照らしたまま近寄ってきた。
警棒を抜いたようだ。
「いや~、申し訳ないっすね。
俺らも猫の声がしたから、見に来ただけなんすよ」
ユウジが軽く頭に手を乗せてペコペコする。
どうもうさんくさい。
警察官は応援を呼ぼうかとも考えたが、目の前の2人を逃がすわけにもいかない。
それに相手は2人だ。
こちらは剣道3段。
棒を持っていたら負けるはずはない。
特に中に入って行ったやつ・・
右手に何か持っていたぞ。
警察官は確信はなかったが、あきらかに変な感じだ。
「おい、お前・・両手を頭の上にあげろ!」
そういうと警棒を構えた。
「・・何でですか?
俺ら何もしてないっすよ~」
ユウジはそういうものの、両手を素直に上げた。
素直に従ったのが効果があったのか、警官は少し警戒を緩めたようだ。
一人の警官がユウジを尋問しだした。
「俺はもう一人を見てくるわ。
こっちを頼むで」
そういうと剣道3段の警察官は中へと入って行った。
猫屋敷と聞いてた割には、猫1匹いない。
最悪、猫の死体も覚悟したが、それすらも見当たらない。
ライトを照らして建物の中を確認していた。
!!!!
胸に熱い感じがある・・・
何だ?
苦しい・・・声が・・出せない。
そのまま首が掻き切られた。
バタフライナイフで心臓を刺され、そのまま首をやられたのだ。
「経験値を獲得しました」
「レベルが上がりました」
ヒロキの頭の中で天の声が響いた。
ヒロキはその場でステータスを確認した。
レベル5。
職業が住人から未設定へと変化している。
職業をタッチしてみた。
職業が選べるようだ。
戦士、魔法使い、盗賊。
3種類が表示されていた。
ヒロキは迷わずに盗賊をタッチした。
まるで俺のためにあるような世界だな・・・
そう思わずにはいられなかった。
身体が少し軽くなった感じがする。
ステータス画面を見ると、固有スキルというのがある。
忍び足1、暗視1と表示されていた。
忍び足ねぇ・・・
ヒロキは少し歩いてみた。
!!
音がしない・・
これはいい!
警察官は服を残して消えた。
ヒロキは上機嫌だった。
こんな暗い部屋なのによく見える。
固有スキルの恩恵なのだろう。
さっきまでは見えにくかったところが、よく見える。
明かりがいらないようだ。
警察官の拳銃を頂戴した。
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