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40 ハンターって何?
しおりを挟む優は石を取り入れて画面を見ていたようだ。
田原さんには別れ際に軽く会釈をしていた。
「優、どうだった?」
「うん・・レベル・・9になったよ」
あれ?
あまりうれしそうじゃないな。
「レベル9って、凄いな!
一気に3つも上がったじゃないか」
「うん・・・狩ってる最中に1つ上がってたから、ワーウルフを倒したときに一気に2つ上がった感じかな・・・」
何かひっかかることがあるのか?
「どうした?
うれしくないのか?」
俺は不思議に思った。
レベル9ともなれば、うれしいはずだぞ。
俺なんて大喜びだったが・・・。
「・・・だって、おっさん・・レベル10は超えてるんだろ?
追いつけないじゃないか・・・」
・・・それか。
優、もう無理だと思うぞ。
俺、レベル15になってるから。
だが、これは言えない。
「なんだ、そこか・・。
そのうち追いつくよ」
優は少し悔しそうにして、
「それじゃあ、嫌なんだよな。
今がいいんだ・・」
ブツブツとつぶやいていた。
「そうだ、優!
基本のレベルは9だろうけど、職業のレベルは10になったんじゃないのか?」
俺がそういうと、優は目を大きくして、ステータス画面に見入っていた。
「そうだよ!
忘れてた。
こっちのレベルの数値ばかりが気になってた・・・あった!!
上位職への転職ができるって・・・」
そういうと、職業のところタッチしていた。
聞けば大盗賊、忍者、ハンターとあるようだ。
ハンター?
何だそれ?
俺の時は運び屋だったぞ。
「優・・・ハンターって・・お前がチートじゃないのか?」
俺がそういうと、優は嬉しそうに画面を見ながら考えていた。
「・・そんなこと知らないよ」
声が生き生きしてきたな。
おっと、邪魔をしたらいけない。
そう思って、黙って見守っていると・・・
また、聞こえてきた・・・一体なんだ?
『・・・誰かいないか・・・返事をしてくれ』
天の声とも違う。
優しい声だ。
・・・・
俺にしか聞こえてないらしい。
優はステータス画面とにらめっこだな。
今回は、はっきりと聞こえた。
・・・返事をした方がいいのかな?
返事したらどうなるんだろう・・・
ちょっと怖いな・・・。
・・う~ん・・
次にあったら、その時には返事をしてみよう。
声だけからしか判断できないが、悪い感じは受けない。
って、俺・・直感で失敗が多いからなぁ・・・。
と、そんなことを考えると、優が話かけてきた。
「おっさん、どれがいいと思う?」
そんなのわからないぞ。
「・・・う~ん・・難しいなぁ・・
わからんよ」
素直に答えた。
「・・俺もわからないんだ。
はじめは忍者が絶対いいと思ったんだが、ハンターって響きがいいんだよなぁ・・」
・・そうなんだよ!
響きがいいんだよ。
「俺なんて、そんな選択なかったからな」
そう、優に言ってみると、とてもうれしそうだった。
俺にないものがある、それがうれしいんだな。
それにしても、職に関してはロクな説明ないしな・・・。
忍者では、相手に気づかれにくく移動ができ、隠密性に優れる。
その説明だけだものな。
ハンターは、狙った獲物を獲得しやすくなり、相手に気づかれにくい特性がある。
たったこれだけの説明だ。
そりゃ、判断できないな・・・。
「優の直感では、どちらがいいと思う?」
そう、もはや直感に頼るのが一番いいと思う。
俺なんて、迷わずに忍者を選んだからな。
良いのか悪いのかわからない。
魔法もあるが、どこで使ってよいやら・・・
使えないし・・・。
「う~ん・・・パッと思ったのは、ハンターなんだ。
でも、おっさんの動きとか見てると忍者って、スゲーなって思うしな・・
だから、わからないんだ」
優が、真剣に悩んでる姿なんて、あんまり見ないな。
いい顔してるな。
ついそう思ってしまった。
「優・・まぁ、家に帰りながら考えたらいいんじゃないか」
とりあえずは家に帰らなきゃならないし、すぐに選ばなくても逃げないだろう。
次のリポップまでに選べればいいんじゃないかと言った。
そういうと、優もうなずいて帰路についた。
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