どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫

文字の大きさ
上 下
39 / 426

39 おいおい・・大丈夫か、優

しおりを挟む






「優、来たぞ」

「うん、こっちもわかってる」

優は落ち着いて答えた。

「・・レベル10・・だね」

・・

なるほど・・職を選択して、盗賊になると相手のレベルもわかるようになるのかな?

それとも戦闘をいくらか重ねたら、わかるようになるものなのかな?



・・・わからないな・・・。



わからないことだらけだ。

でも、生き延びなければいけない。

死にたくない。





「町田さん、どうしたんですか?」

・・・そうか!

田原さんはスキルをそれほど持ってないのだろう。

敵が来るのが、わかるはずもない。

おそらく家から目視して、見えてからゴブリンを倒そうと思って出てきてるのだろうな。

「ああ、すみません。

田原さん、レベルの高い魔物が迫ってきてます」

「こっちにですか?」

「はい」



俺はマップで位置を把握しながら答えた。

400メートルくらい先だろう。

「田原さん、こっちの方向にいます・・ちょっと建物が邪魔で見えてないですが、いると思います・・・」

俺はそう田原さんに言った。

田原さんは、俺が指さす方向を見ながら聞いてきた。

「・・こちらの方向にいるんですか、そのレベルの高いやつが・・・でも、よくわかりますね」

そうなんだ。

普通、わかるはずはないんだ。

うっかりしてた。



すぐに説明をした。

「田原さん、スキルなんです。

レベルが上がると・・というか、職に影響されるのか、わかりませんが、そういった能力が・・・」

そこまでだった。

ワーウルフが急接近してきた。

「優!!」

過保護だな、俺は・・・。

優はすでに戦闘態勢に入っていた。

田原さんはとりあえず放置だ。



そんなことで手間取っている間に、ワーウルフが接近してきて、ある程度の距離のところで立ち止まった。

そして身を低くした。



!!!



「田原さん、両手で耳を塞いで!!!」

それだけ言うと、俺と優は耳を塞いだ。



「わぁおおおぉおおおおおん!!」



咆哮だ。

やはりビリビリと来るが、それほどでもない。

田原さんは・・・

間に合わなかったようだ。

その場で硬直している。



ま、そのまま放置しておこう。



優はどうだ?

・・・

耳を塞いでいた手を下ろした。



動けるようだ。

ワーウルフは上体を上げて驚いているようだった。

俺と優が動ける状態でいる。



まずは俺がスッと前に出てワーウルフの右横に回った。

軽く頭をめがけて殴ってみた。



ギャウン!



軽く殴っただけなのに、殴った方向へ転がった。

ついさっきまでは、この鳴き声にムカついたが、今は少しかわいそうに思えた。

だが、優は迷わず動いてワーウルフに刀を突きたてていた。

・・・・

優・・容赦ないな!

突きたてたと思ったら、即座に薙ぐ。

そしてまた突く。

・・・

おいおい・・・大丈夫か?

一撃で・・・とはいかなかったが、ワーウルフは動かなくなった。



しばらくして蒸発。

青い石を優が拾って、ステータス画面に取り込ませていた。

・・・手慣れてるな・・

俺より適応してんじゃない?



おっと、忘れてた。

田原さんのところへ近寄って行った。

まだ動けないようだ。

軽く背中をポンポンと叩いてやると、やっと動けたようだ。



スタンした時に、誰かが違う刺激を入れたら動けるようになるのかな?

その効果を与えた対象を倒しても解除はされてないし・・・。

対象を倒して、何かのアクションが必要なのかもしれない。

まぁ、今のところ問題なくできてるし・・

大丈夫だろう・・・。



「・・・ぷはぁ・・はぁ・・・ふぅ・・・。

何だったんですか、今のは・・・」

田原さんは驚いていた。

そりゃそうか。



「今のは、ワーウルフといって、ゴブリンやロンリーウルフを束ねてるボスみたいなものです・・・それに、吠えるとスタン効果を与えれるみたいですね」

俺は簡単にまとめてみた。

「・・・スタン効果・・それで動けなかったわけですか・・

でも、町田さんたちは動けてましたよね・・・」

もっともな質問だ。

「えぇ、たぶんある程度レベルがあるのと、耳を塞ぐと何とかなってるみたいですが、よくわからんのです」



本当だ。

よくわかっていない。

ただ、そうやってると何とかなってるのは間違いない。

「そうなんですか・・・。

早くレベルを上げたいですね」

田原さんは笑いながら言ってくれた。

笑えるのはいいことだ。



それよりも田原さんはあまり人のことを聞こうとしないな。

レベルのことだって聞きたいだろうに・・・

でも、聞かれるまでは、こちらからも教えることはないだろう。

変に競争心を持たれても困るしな・・・。

ゲームじゃないんだから・・。



しかし、少し余裕ができてくると、ゲームの感覚になってくる。

油断大敵とはわかっているのだが・・・。

「田原さん、これでとりあえず1時間くらいは魔物は現れないと思います。

どこから来てるのかわかりませんが、ここら辺りで出現してるのは間違いないですね」

「1時間ですか・・・またその時に魔物を倒せばレベルが上がりそうですね」

「ええ、そう思います」

俺はそれくらいしか言えなかった。

「町田さん、またいろいろと教えてくださいね」

「いやいや、こちらこそ・・でも、本当にわからないことだらけですから・・

ただ、お互いに生き延びたいですね」

「本当に・・・では、また」

田原さんは深々とお辞儀をして、家へ帰って行った。

俺もお辞儀をして見送った。



さて、優はどうなったかな?


しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

処理中です...