どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫

文字の大きさ
上 下
9 / 426

9 レベル差ってすごいな!

しおりを挟む

優の前方3メートルほどのところで、ロンリーウルフを俺が横から蹴り飛ばした。
忍び足のおかげか俺には気づいていなかったようだ。

「ってめぇ、いきなり優に襲い掛かるのかよ!」
俺は叫ぶと同時に行動していた。
手加減するつもりだったが思いっきり蹴った方向へ転がって行く。
一撃だったようだ。
ロンリーウルフはしばらくして蒸発する。
俺が石を拾って優を見てみると、まだ固まったままだった。
「優! 優!!」
やや大きな声で俺が名前を呼ぶと、ビクッとしながら動き始めた。
「魔物が消えた・・」
優がつぶやく。
「そうなんだよ、どういう原理かわからんが倒すと消えるみたいなんだ」
俺も返答しながら優にロンリーウルフの石を手渡す。
「優、ステータス画面を出してこの石を近づけてみな」
優は素直に石をステータス画面に近づけていく。
ステータス画面に触れそうになると、画面に石が吸い込まれる。

「うわ、石が吸い込まれた!」
優が驚いている。
「その石が、どういう条件かわからんが基礎ステータスに影響す・・」
俺がそこまで言った時だ。
!!
説明を終える前に、ゴブリンの単位がこちらへ速度を上げて移動してきている。
LV3。
やはり前の時と同じように、ロンリーウルフを先頭にゴブリンがいるようだ。
俺の索敵も意識してないと表示されないからな。
俺達から見て左に1単位、右に2単位の集団でいる。
さっきは5単位だったが。

「ステータスがよくなるの?」
優が次の言葉を待っていたが、それどころではない。
俺が石を出すタイミングが悪かったな。
「すまん、次の敵がきた。 話は後だ。 ゴブリンが近づいて来ている。 簡単に言うと、ロンリーウルフ1体の後ろにゴブリンが5匹くらいくっついてくる。 これが4単位いる」
俺が説明すると、少し驚いたような顔で優は聞いている。
普段なら俺の言うことなんてあまり聞かないのだが、今は違うようだ。
「で、これを全部倒す」
俺は当たり前のように言う。
「全部?」
優が驚く。 
俺は説明を続ける。
「あぁ、全部だ。 そうしたらボスが来る」
「ボス?」
「ワーウルフって強いボスが来る」
そこまでしか話はできなかった。
ゴブリンが来た。

左右にもロンリーウルフ、ゴブリンの単位がいるので俺が倒すことにした。
「優・・まぁ見てろ」
俺はそう言ってゆっくりと息を吐く。
レベル3のゴブリン。
こいつらは相手の強さがわからないのかな?
俺がスッと前に出て一気に片づけた。
どれも1撃で倒せる。
1匹のゴブリンがピクピクしていた。
「優、そいつを棒で突け!」
俺は優に声を飛ばす。
優はわけもわからないだろうが、とりあえず棒で突くことはできたようだ。
ゴブリンは蒸発して消える。
同時に頭の中に経験値獲得の天の声が聞こえたようだ。

「おやじさん、頭の中に声が聞こえて、レベルが上がったって言ってるよ」
優がやや興奮しながら言ってきたが、後回しだ。
とりあえずこの集団をすべて倒さないと落ち着けない。
「優、次は左の1単位のロンリーウルフとゴブリンを倒すぞ。 時間をかけれないから、俺が倒してみる。 止めが出来そうなやつがいたら頼むな」
俺がそういうと優は力強くうなずいてくれた。
すぐに優を連れて移動する。
しかし、相手にも気づかれるようだ。
なるほど・・やはり忍び足のスキルか。
そう思うがどうしようもない。
とりあえずレベル差があるから俺が中心で倒せば何とかなるだろう。

優の移動速度に合わせながら近づく。
そのまま止まらずにロンリーウルフが見えた瞬間、俺だけが一気に加速した。
ロンリーウルフの横に回って蹴りを繰り出す。
倒れたところを踏み抜く。
そのままゴブリンへ向かう。
レベルは2~3の単位。

優もついてきているようだ。
マップ上にはきちんと優が表示されてる。
安心だな。
それだけ確認すると、ゴブリンを片づけた。
これだけレベル差があると問題にならないようだ。

石を拾って優のところへ戻る。
「はぁ、はぁ、はぁ・・おやじさん、速すぎるよ」
優が息を切らせながら言う。
「まぁ、仕方ないじゃないか。 それよりすぐに次に向かうぞ。 ワーウルフが来たらやばいからな」
「はぁ、マジかよ・・」
優が少しうんざりしていた。

石は優に取り込ませて、優の速度で移動する。
残り2単位のロンリーウルフとゴブリンだ。
少し考えてみたが、やはり俺が倒した方が早いな。
まだ優にやらせるには怖い。
そう思うと、ある程度近づいたら俺が一気に加速して仕留めていく。
・・・
討伐完了!
ワーウルフが来るまで少し時間があるだろう。
優のステータスを確認してもらった。
レベルは4になっていたようだ。
拾った石は全部優に取り込んでもらう。

「職業はどうだ?」
優に聞いてみると即答。
「職業は、まだ住人だよ」
優も気になっていたらしく、たまにステータス画面を見ていたようだ。
「やっぱりレベル5にならないと職業を選べないようだな」
俺の言葉に優がしっかりとした顔で返答。
「それより、頭の中で経験値を獲得しましたってうるさいよ・・」
「あぁ、そうだな。 でも、そのうち気にならなくなるよ」
俺はもう気にならなくなっていた。

優も少しずつ慣れてきたのか、本当にゲームをやってるみたいに生き生きしてきた。
危ないなぁ、遊びじゃないのだが。
「優・・ゲームじゃないからな」
うるさそうな顔をしつつも活気がある。
「わかってるって。 でもなんか楽しい・・」

ピ!
索敵に引っかかる。
来たな!
ワーウルフ:Lv8
俺のマップに表示される。
時間は7時20分。
周りの状況を確認。
通勤している車だが、あまり見かけないな。
ラジオ放送でも、みんな聞いたのかな?
俺はそんなことを思いながら気合を入れる。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...