どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫

文字の大きさ
上 下
4 / 426

4 家に帰りたい・・

しおりを挟む


ワーウルフは鉄塔の下をゆっくりと回りながら、たまに立ち止まってこちらを見上げている。

こいつ、ジャンプもしない・・登れないのか?
俺はそう思うと同時に少しホッとした。
だが、油断はできない。
しかし、余裕が持てた。
これが助かった。 
ステータス確認だ。

テツ
レベル:7
種族 :人
HP :65/90 +10
MP :30/50 +5
力  :68    +5
防御 :55    +5
敏捷 :87    +10
技能 :58    +5
運  :60    +1
職業 :盗賊7

固有スキル 
探索4
忍び足4
気配察知4
罠解除1
杖術3
体術2
自動回復2

時間は5時45分。
あのワーウルフ、下でジッとしているな。
動こうともしない。
俺が降りるまで待っている気か?
どこまでジャンプできるんだ?
それよりも他に魔物はいない・・よな。
ピッ!
ワーウルフの後ろに魔物はいない。
索敵にはひっかからなかった。
少しホッとする。

さて、こいつ魔法とか使わないよな?
俺の頭の中にごちゃごちゃといろんな不安が浮かぶ。
しかし考えても仕方ないし、逃げられそうもない。
・・・
よし、決めた!!
とりあえずゴブリンの時に拾ったナイフを投げてみよう。
ビシュ!
軽く避けられた。
刺激しただけだったようだ。
ワーウルフはこちらを見上げて状態を低くした。
何か威圧感が増してきたような感じがする。

グルルル・・・
低く唸っている。
俺は直感的にやばい! と感じた。
別に意図したわけではないが、急いで両手で耳を塞ぐ!
直後、ワーウルフが吠えた。

「ワォウォオオオオオオォオオオオオオオン!」

俺の身体がビリビリとする。
咆哮というやつだな。
耳を塞いでいて正解だった。
俺はそう思うと同時にワーウルフを見る。
口の周りをペロッと舐めていた。
こいつ、俺を完全な獲物として見ているな。
ムカつく。

う~ん・・ここでジッとしていても仕方ない。
よし! 
俺は覚悟を決める。
俺が移動しようとすると、ワーウルフが少し驚いたような表情になった。
表情がわかるわけではないが、上半身をらせてこちらを見ている。
何だ?
まぁいい。
俺は鉄塔をゆっくりと降りてゆきながら、ワーウルフの反応をみる。
大丈夫そうだ。
そして、ある程度の高さからジャンプ。

先程走ったり、鉄塔を登ったりしていて、俺の身体能力が今までとはまるで違うと感じていた。
スキルを信じてワーウルフから少し離れたところへ着地。
!!
マジか?
着地してわかった。
今までの常識では考えられない。
まさにゲームキャラのような感じだ。
ある程度の衝撃は感じるが、この高さなのに全然痛くない。
人間の能力を超えてるぞ。

ワーウルフはこちらをにらんでいるが、いきなり襲い掛かってくる気配はないようだ。
俺も相手を見据みすえている。
下手に動けない。
しかし、動かないことにはどうしようもない。
ゴブリンの持っていたナイフ、残り4本だな。
俺は頭の中で計算してみる。
よし!
1本のナイフをワーウルフめがけて、思いっきり投げてみた。
ビュン!
おぉ、もの凄い速さだ。
だが、かわされる。

傷をつけることすらできない。
もう1本投げると同時に俺は前にでた。
ダッ!
ワーウルフがナイフをけたところに、棒で突きを入れる。
ドン!!
首のあたりにヒット。
続けざま連続で4撃、突きを入れてみた。
ドドドド!
3つヒット。

ガルルル・・・。
ワーウルフは怒っているようだ。
当たり前か。
だが、ダメージがあるのかどうかわからない。
ワーウルフの爪が俺の前を横切る。
うおぉ!
速い!
しかも重そうだ。
俺はバックステップをして、1本のナイフを投げた。
ワーウルフの前足の付け根部分に当たったようだ。

残り1本だな。
俺がそう考えるが早いか、ワーウルフが突進し噛みついてくる。
唸りながら歯をむき出して噛みついてくるのはさすがに迫力がある。
俺は左に1歩踏み出して避け、すぐさまその顔面に向けて棒を突き出す。
ドン!
口の部分に当たっただけだったが、ワーウルフは距離を取った。
口が苦手か?
ガルル・・。
低くうなりながら俺と一定の距離を保ちゆっくり円を描く。
奴の間合いなんだろうな。
そう思いつつ俺も呼吸を整えていく。

レベルが1つ違う個体だ。
本当に大丈夫だったのか。
しかし、他に選択肢はなかったしな。
ワーウルフに刺さったナイフは抜けていない。
俺がそんなことを思っていると、ワーウルフの態勢が少し低くなった。
次の瞬間、一気にこちらに向かってくる。
同時に前足を袈裟切り出しながら噛みついてきた。
「うぉ!!」
俺は避けるのに精いっぱいだ。
かろうじてかわし、向き直るとワーウルフが少しよろめく。
なるほど、ナイフが刺さってる前足に重心がかかったようだ。
踏ん張れていない。

チャンス!!

その瞬間に俺はワーウルフの胴体めがけて棒で突きを入れた。
ドドドド・・・。
「おりゃぁ!!」
何発突き入れたかわからないが、少しくらいはダメージがあるだろう。

ギャウン!

ワーウルフが犬のような鳴き声を上げる。
その声が妙にムカつく。
なに痛がってんだ!
こっちは死にそうなんだぞ!
そう思ったら、もう一歩踏み込んで、開いている口に向かって思いっきり手首を|捻(ひね)りながら棒を突き入れた。
「こんのぉ!!」
ドゴ!
少し斜めだが、口の中に棒が入った。
結構奥の方まで入ったようだ。
俺も興奮していて無我夢中だ。

ワーウルフが苦しそうに前足で棒を引き抜こうともがく。
犬に抜けるはずもない。
ここが決め所だろう。
俺は棒から手を離し、ワーウルフの胴体を蹴り上げ、拳で殴る。
滅多打ちだ。
そして棒を引き抜き、なおも突きまくる。
ドドドド・・・。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・」

どれくらい突いただろうか。
ワーウルフがその場で口を開けて横たわっている。
見ると、ピクピクしていた。
まだ生きているのか。
俺は一気にジャンプして胴体と首の間あたりを両足で踏み抜いた。
「うらぁ!!」
グチャ!
足の裏に粘土を踏みつぶしたような嫌な感じがする。
ぜぇ、ぜぇ・・ゴホ、ゴホ・・。

ワーウルフは動かなくなった。
しばらくするとやはり消滅した。
青く光る石が残る。
今までのとは少し違う。
握り拳くらいの大きさはあるだろう。
とりあえずポケットに収納。

天の声が聞こえた。
『レベルが上がりました』
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

処理中です...