エゴイスト

神風団十郎重国

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31話

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それからの躾は絵に描いたみたいに順調だった。
どれだけ虐げても綾乃は悦ぶように受け入れて快楽を望み私に対する愛情は深くなる。
これは充分に躾をした甲斐があった。辱しめている時に尋ねなくても自分から愛情と欲望を口にするのだ。


それは見ていて満足できる出来になったが私はまだ足りなかった。元々依存心の強い綾乃は私に前よりもベッタリだし学校ではほぼ私の隣にいて二人きりになれば幸せそうに私に身を寄せる。
そして犬らしくすぐに盛るようになったし、自分から何をしてほしいか言うようにもなったから一応は一段落はしている。

でも、それでも足りなかった。
これも欲しかったし望んだ通り結果は出たが私の望むものは他にもあった。

あの歪んだ顔だ。あれが見れないとここまでしてもまだ完璧に楽しめない。頭の方はほぼ支配できているのに玩具としての完成度がいまいちなのだ。
だから、ああいう顔もよく見れるように変えていかないといけないが綾乃は基本的に私を嫌がらないし受け入れてしまう。唯一嫌がったとすれば私以外なのだが、これをどうにか利用したかった。

心理的恐怖を煽れば綾乃は確実に嫌がるのはもう分かっている。そして私にすがるのも目に見えている。
だから故意的にそれを操作すれば私に対する気持ちも強くなるし綾乃は必死になるはずだ。
絶対的な私に離されないように必死になる綾乃は見ていたいものだし、綾乃の意思を強く持つのもこの時だからこれは条件的に覚えさせたい。

綾乃は必死になって私にすがってないと面白くないもん。それをよく見るのも飼い主の役目だし、そういうのも愉しいから操っていたい。
だけど、どうしようかなぁ……。
可愛い犬の頭の中は私だけだし、私が絡まない話を綾乃はしなくなった。常に私だけの綾乃の頭は完成形に近いから今やれば色濃いものが見れるはずだ。
一回で分からせてやれるくらい印象の強い事をしてやればそれを恐れて自発的に避けるようになるだろうが……、何がいいだろうか。
最近はそれを考えるのが楽しみになっている。


「ねぇ、ナギー?ナギ結局どこの専門にしたの?」

学校の休み時間に話しかけてきた富田に私はいつもの笑顔を張り付けて答えた。

「○○駅のとこのだよ。あそこのが遊べるし」

「あ、やっぱそこにしたんだ。遊ぶには持って来いだもんね。てか、ナギ美容師になったらモテそう。器用だし地味に優しいし」

「え?どこが?最終的に国家試験受けなきゃだしなるまでまだまだ先だよ」

進路の話はもう皆にはしている。夏休みに決まった美容の専門は楽しみだが男とか正直どうでもよかった。あんなつまんねぇセックス愉しくないもん。

「分かんないよ?てか、ナギ彼氏作らないの?何だかんだナギがこんな彼氏いないの珍しくない?」

「そう?でも、今は皆と一緒だから楽しいし充実してるからなぁ……」

今が愉し過ぎて彼氏がいた時は今みたいに愉しい時はなかった。暇潰しみたいに付き合っていたから特に気持ちもなかったし、私は綾乃しかいらない。
あの面白くて愉しい玩具で遊んでいる時間が私には一番愉しくて充実している時間なのだ。
思い通りの人間の玩具の方が良いに決まってんだろ。

「えー、富田誰か紹介しようか?」

「え、いいよ。専門の準備とかもあるしバイトしておきたいし」

「なーんだ。あ、じゃあ、綾乃は?綾乃も彼氏いなくない?綾乃あんな可愛いのにマジ勿体なすぎるでしょ」

私達の関係はいまだに誰も知らない。そもそも気付きもしないだろう。言ったって意味がないし、誰かに話してしまっては綾乃の依存が弱まる。私は無難な返答をした。

「んー?綾乃?綾乃は消極的だからねぇ…」

「ナギちゃん」

「あっ!綾乃。綾乃は彼氏作らないの?」

ちょうどよく私達の元にいつものように来た綾乃は富田に興味深そうに尋ねられた。綾乃は私と一瞬目を合わせるも頷いて答える。

「うん。今は好きな人もいないし、もうすぐ受験だから」

「あー、そっか!綾乃S大でしょ?S大とか超頭いいもんねぇ。推薦決まったの?」

「うん。指定高取れたけどまだ先だから勉強してる」

「わぁ~、さすが綾乃。そりゃ彼氏なんか言ってる場合じゃねぇな」

感心してる富田が納得した通り綾乃は難関の大学に進学する予定だ。元々頭が良かったから大学に関しては親にも言われたんだろう。綾乃は小さい時は習い事をしていたしずっと家庭教師をやっている。高校は私が誘ったから来たようなものだが当然のような話だった。

「てか、富田も推薦もうすぐだから頑張らないとなぁ。まず髪染めないと落ちるわ」

「富田がついに黒になるのか。普通に違和感だわ」 

「だよね?富田もずっと金髪だったし彼氏も黒にするって言ったら驚いてた」

「だろうね。進路決まったの真奈と私くらいだし。綾乃も髪染めないとだね?折角似合ってたのに」

富田はずっと金髪のイメージだったから黒髪は珍しいが綾乃も髪を染めないとならないとなると昔を思い出す。綾乃は私のなのに私の好みじゃなくなってしまう。綾乃の下ろしている髪に軽く触れると綾乃ははにかんだ顔を見せた。

「受験終わって落ち着いたらまた髪染めるよ?こっちの方が気に入ってるし」

「そっか。じゃあ、次はもうちょっと明るくしたら?今も似合ってるけど綾乃は明るい方が似合うよ。ね?富田」

「うん。綾乃は明るい方がいいよ。今も可愛いけど明るい方が絶対可愛いし」

「…じゃあ、もう少し明るくしようかな…」

嬉しそうに言う綾乃に笑みを深める。
もう少し外見も変えさせたいがまずは受験が終わらない事には話が進まない。それに勉強もバイトもあって最近はそこまで二人の時間が取れなくなっていた。
綾乃は時間が取れないのを謝ってくるが二人で帰れる時はなるべく一緒に帰っているし、お互いに休みを合わせた日にはずっと二人で遊んでいる。
受験が終われば夏休みのようにもっと時間は取れるだろうから仕方ないかと思ってはいるが綾乃はそうではない。

「ナギちゃん?今日一緒に帰ろうね?」

「うん、分かってるよ」

確認をしてきた綾乃は仕方ないと言うより我慢ならない様子だった。あの刺激を覚えてしまった綾乃はできないのが堪えるみたいで二人でいると切なそうな表情をする。今日は確認までしてきたから帰りは不満を漏らしそうだ。

そして学校が終わった帰り道、綾乃は私の腕を軽く掴みながら予想通りの事を言った。

「来週まで長いなぁ……」

「ふふふ。もうすぐじゃん。来週の休みは朝からずっと一緒でしょ?」

不満そうな綾乃は拗ねたように言う。

「でも、長いもん。もっとナギちゃんと一緒にいたいのに……。早く受験終わらないかな……」

「時期が来れば終わるよ。それまでは我慢。それに終わったら時間はいっぱいあるじゃん」

「そうだけど……、やっぱりやだもん……。いっぱいナギちゃんの事考えちゃうから一緒にいたくなるし……」

「じゃあ、受験終わったら何かご褒美でもあげようか?」

切なそうな綾乃は犬らしくて笑える。ちょっと私がこう言うと綾乃はすぐに嬉しそうな顔をした。

「本当?」

「うん。綾乃なにか欲しいのある?何でもいいよ?」

犬の欲しがるものは何だろうか?ここまで躾てしまうと何を望むか分からない。綾乃はすぐに嬉しそうに答えた。

「じゃあ、ナギちゃんとお泊まりしたい!」

「え~お泊まり?前もしたじゃん。そんなのでいいの?」

「うん。だって、最近できてないもん。お泊まりして、またメイクしたりして、それで……」

そこまで言って耳元に顔を寄せてきた綾乃は小声で言った。

「またトイレでしたい……」

あの快感が忘れられない綾乃に鼻で笑ってしまう。
あれがいいなんて、コイツは最終的には何を求めてくるようになるんだろう。完成した綾乃がどうなるか楽しみになる。

「ふふふ、いいよ。じゃあ次はもっとやってあげるね」

「うん……。ナギちゃんあとね?…もっと、強引にしてほしい……」

「ん?いいよ。じゃあ、頑張ってね綾乃?綾乃がしたい事いっぱいしてあげるから」

「うん……」

小声で言った綾乃に笑いかければ綾乃は嬉しそうに頷いて笑う。恥じらいが失くなっている綾乃はこういう話も進んでしてくるようになってきた。

「早くお泊まりしたいなぁ。でも、その前に来週はナギちゃんとずっと一緒だからそっちも楽しみだな……。ナギちゃん来週は今までよりいっぱいしてくれる?」

「うん。最近できてないからね。いつも綾乃したがるしいっぱいしてあげる」

「じゃあ、あのリングのやつ付けたい」

「あぁ、あれ?いいよ。あれ好きだもんね」

「…うん。なんか、ナギちゃんのおかげでやる気出たから受験勉強頑張るね?」

やる気を出した綾乃は頑張る気になったようで単純な綾乃に笑いながら次の休みが私も楽しみに思えた。
最近できてないからきっと欲求は今までより増しているだろう。それを見て楽しみながらそろそろ泣かしてやろうかなぁ……?嬉しそうにされると最近はますます顔を歪めたくなる。

私は嬉しそうな綾乃と笑って話ながら一緒に帰った。

綾乃はそれから勉強を頑張っていた指定高の推薦だけどしっかり勉強をしている綾乃は真面目そのものだった。
普段は何ら性的なものを感じさせないのにあの乱れた姿を思い出すと笑いそうだ。
やる事を考えて、ましてや我慢しているとは誰も思わないだろう。
欲求が強くなっている綾乃は真面目に勉強をする日々を送っていたのにいざ約束の日が来ればその真面目さは欠片もなかった。


「ナギちゃん……はぁ」

「んっ……もぅ……綾乃……」

約束の日に私の部屋に通すなり早速キスをしてきた綾乃は盛りのついた犬だった。こうして二人きりになってしまえば綾乃は性欲にまみれた女になる。しばらくキスをして唇を離せば綾乃は熱い眼差しを向けた。

「ナギちゃん大好き。もう早くしたいよ…」

「勉強頑張ってたもんね。今日はリングもつけてあげないとだし。服脱いで綾乃?」

「うん」

服を迷いなく脱ぐ綾乃は期待をしている事だろう。
その期待には応えてやるが今日は泣かしてやるつもりでもある。あの歪んだ顔が見たくてうずうずしていたんだ。今日は私にすがるのをじっくり堪能させてよ綾乃?

私は服を脱いだ綾乃に笑いかけた。
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