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1.数学科準備室

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 その日は一段と寒い日だった。

 狭い数学科準備室で、ただ静かに数学の補習を受けていただけなのに。
 お互い人肌が恋しくなったのだろう。
 いつの間にか制服を脱ぎ捨て、私は彼の膝の上に跨っていた────。




***


 七三分けをした彼の前髪に触れ、そっと黒縁の眼鏡を取り除く。苦しそうに顔を歪める彼の様子に、下腹部が疼いた。自身の胎内から漏れ出る淫猥な体液が下着に付着していく感触を覚え、つい頬が緩む。

 数学の勉強をしていたはずなのに、気がつけば彼とは雑談をしていた。
 つい最近、私が18歳の誕生日を迎えたこと。彼氏が今までいたことがないこと。そして、今年28歳になったという彼もまた、彼女がいたことがないということ。

 動画や漫画で知識ばかりが身に付くとお互いに笑っていたはずなのに──、経験のないふたりは目の前にいる異性に対して欲情をしたのだろう。
 知識だけで動く身体にすべてを任せて、お互いがお互いの下半身に手を伸ばした。
 初めて触れた熱くて大きくて硬い男根に、思わず溜息が漏れる。先端であろう箇所を優しく人差し指で突くと、彼から一層甘い喘ぎ声が上がった。

「……気持ちいいのですか?」
「言わせないでください……っ」

 彼の上に跨ったままの私を降ろし、優しくソファに寝かせてくれた。そしてその上に覆い被さり、そっと唇を重ねる。それと同時に、彼は右手を私の下腹部辺りで動かし続け、制服のスカートの中にその手を潜らせた。
 既に濡れている下着の上から、敏感な箇所を撫で上げられる。彼は指を溝に沿って軽く3往復させると、その手を引き抜き私の顔の前に持ってきた。

「もう、濡れています」

 人差し指と親指を付けたり離したりを繰り返す。その動きと一緒に、粘力のある透明な体液がゆっくりと伸び縮みしていた。

 彼自身も経験が無いはずなのに、意外と手馴れていた。どこを触れば気持ちいいのか、女性の身体を知り尽くしている気がする。
 とはいえ、そういう私もそうなのかもしれない。
 手探りで彼のベルトを解き、スラックスのボタンを外してチャックを下ろす。下着の中に手を潜らせて、先程よりも更に熱を持った男根を優しく握り上下に擦る。
 私の不器用な手の動きに合わせて、彼からまた甘い喘ぎ声が上がった。

西条さいじょう先生……厭らしいです」
 
 先端から漏れ出る体液が私の指先を濡らす。私の人差し指をその窪みに少し沈めると、全身を飛び跳ねさせながら私の手の動きを抑制させた。

水瀬みなせさん、もう駄目です」
「先生?」
「もう……限界です」

 見つめあったその目には、もう理性なんて無かった。
 日頃は優しそうな眼差しの彼だが、今は雄そのもの。熱を持ち、蕩けそうな目の中に燃えるような欲情が隠れもせず露になる。

 彼は私の首で結んである朱色のネクタイに手を掛け、少し荒く解く。そしてジャケットとベストとブラウスを脱がすこともせず、ボタンだけを外して私の両胸に顔を埋めた。
 肌着の上からしばらく柔らかさを堪能するかのような動きをしたのち、肌着と共に下着も捲り上げて躊躇いも無く両胸の先端を口に含んだ。
 右手では右の胸を揉み、左の胸は先端を口内で弄ぶ。舌の温かくてねっとりした感覚が気持ちいい。初めて感じる言葉に表せない程の快楽に下半身が疼き、更に自身の下着が濡れていくような気がした。

「柔らかくて、いい匂い。乳首が硬く、尖ってきました……」
「実況しないでよっ……あっ」

 胸の先端を強く吸い上げられ、甘噛みをされる。その刺激があまりにも強くて快感で目眩がしそう。

 彼は限界まで固くなっている男根を、私の足の間に押し当てていた。我慢ができないのか、押し当てながら腰をゆっくりと動かし、時折甘い声を漏らす。
 お互い下着を貫通するほど濡れていた。濡れた部分が重なると、熱いその場所が少しだけひんやりする。

「先生……限界ですか?」
「水瀬さんこそ……」

 私だって同じだった。
 彼の動く腰に合わせて自身も腰を動かす。身体が目の前の雄を求めて落ち着かないのだ。

 彼は私の下着を脱がせて陰部を露出させた。そして彼自身もスラックスと下着を脱ぎ、叢から猛々しく反り立つ男根が露になる。
 私が年齢を偽り観ていたAVとは比にならないくらい、彼の持つそれは太くて長くて大きかった。

「……これ、付けて」
「な……なんで持っているのですか……?」

 その質問に彼は答えなかった。
 だが私も既に限界だ。受け取った避妊具を適当に開けて、初めて触れる中身に緊張しながら、ゆっくりと彼の男根に被せた。少しキツいのか、彼は辛そうに顔を歪ませる。

「先生、大丈夫ですか……?」
「大丈夫、です……」

 その言葉と同時に私をソファに押し倒し、また優しく唇を重ねる。今度は舌を絡ませながらお互いの唾液を混ぜ合わせ、淫猥な音を部屋に響かせた。何度も舌を吸われ、それに応えるように私も彼の舌を吸う。私の口角から唾液が溢れ出た時、彼は左手を私の足の間に潜り込ませた。そして恥割れに指を滑らせ、陰口にゆっくりと指を1本潜らせる。
 既に漏れ出た体液で、彼の指を容易に侵入させる。初めて入ってくる異物に違和感を覚えながらも、優しく壁を撫でられてより一層の快楽を感じた。

「1本は大丈夫そうだね……」

 その呟きと共に、彼の指がもう1本侵入してくる。急な圧迫感に少し痛みを感じるも、徐々に陰口は慣れ、容易に痛みは快楽へと生まれ変わる。
 中を優しく擦られると、自分でも引くほどに甘い声が漏れ出て、陰口は力強く彼の指を吸い付いていた。

 彼は私の陰口から指を抜いて足を高く上げる。そして陰部を撫でながら凝視した。あまりの恥ずかしさに声を上げようとすると「入り口がひくひくしている」と艶めかしい声で囁かれ、私は彼に対して何も言えなくなる。
 反り立つ男根を私の陰部に押し当て、漏れた私の体液を纏わせるように腰を前後に動かしていた。その刺激に小陰茎が反応し、また快楽が高まる。

 あまりにも我慢ができなかった。
 疼きを抑えられない下半身を動かし、陰口に男根の先端を誘導する。その動きに「本当に初めてですか?」と笑われたが、それに答える余裕など私の中にはもう無かった。

「もう僕も限界です。入るよ……香奈かな……」
「えっ?」

 突然呼ばれた名前に驚いていると、下腹部に猛烈な圧迫感がした。苦しい痛みの中で襲い来る甘い熱の波に意識が遠退きそうになった時、彼は優しく私の頭を撫でて、啄むような優しい接吻の雨を降らす。

「大丈夫ですか……?」

 彼の質問に、ゆっくりと頷き微笑む。
 痛みは次第に快楽へと変わり、一定のリズムで動く彼の男根に酔いしれた。


 ここが学校であり、数学科準備室であることなどもうお互いに忘れていた。

 行為の前に閉めた鍵と、消した照明。既に陽が落ちて真っ暗闇となっている数学科準備室に、私と彼の喘ぎ声と獣のような唸り声と熱い吐息と淫猥な水音たちが、混ざり厭らしく響きあっていた。

 彼は私の胎内で一度果てるも、その男根は鎮まる様子など無い。
 時間のことなど頭の片隅にも無い私と彼は、抑えきれない性欲を素直にぶつけあった。


 私が高校を卒業するまであと少し。
 雪が舞う、寒い1月下旬のこと。





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