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史那編
プレゼント 1
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無事に高校受験が終わり、愛由美ちゃんのいる学校の高等部への進学が決まった私は、母と一緒に愛由美ちゃんの家へ向かった。
中学が違うから、なかなか愛由美ちゃんと会う機会も少なくなり、こうして親子で一緒に愛由美ちゃんの家へ遊びに行くのは久し振りのことだった。
手土産に、先日父が出張で訪れた沖縄の紅芋タルトを持って行った。
サワイグループは全国展開まではいかないものの結構な規模の飲食店を展開しており、食材の仕入れでおじさんも全国の取引先へ足を運んでいるとの話だったけど、沖縄に仕入れ先はないそうで、沖縄のお菓子は智賀子おばさん、愛由美ちゃん、加恋ちゃんに喜ばれた。
愛由美ちゃんの妹である加恋ちゃんは愛由美ちゃんの二歳年下で、理玖の弟、蒼良と同い年だ。聞けば、通っている塾が同じというから世間は狭い。
沢井姉妹と一緒に愛由美ちゃんの部屋に通された私は、三人でおしゃべりに花を咲かせていた。母同士はリビングで同じくおしゃべりに花を咲かせている。世代が違うから当然話題も違う。お互いに聞かせたくない話も母たちにはあるようで、私たちが愛由美ちゃんの部屋に引き上げると、途端に話は盛り上がっていた。
私が新しく通う高校の制服は、愛由美ちゃんが通う学校の高等部。制服を見せて貰うことが今日の目的だった。
近く制服を購入するのだけど、やはりその前にどんな制服かきちんとこの目で見たかった。
中等部と高等部は、襟元のリボンとジャケット下のシャツの色が違うのだと言う。
だから愛由美ちゃんもこのまま高等部に進学するなら、シャツとリボンを買い直しする必要があると言う。
加恋ちゃんは、今回は受験をせずに公立の中学校に進学するのだという。
学力で言えば中学受験して愛由美ちゃんと同じ学校に通うこともできるレベルにいるけれど、どうやら好きな男の子がいるらしく、その彼と離れたくないのだそうだ。
それを愛由美ちゃんが揶揄うと、加恋ちゃんは必死になって否定するも顔は真っ赤になっている。
余計なことを言うと逆襲に遭いそうなので、私は黙って二人のやり取りを見守っていた。
すると案の定、愛由美ちゃんから私に理玖との事で探りが入る。
「それよりも史那ちゃん、その後理玖くんとどうなったの? 高校受験で学校離れちゃったけど、本当にこれで良かったの?」
愛由美ちゃんの言葉に加恋ちゃんも敏感に反応する。どうやら恋バナに年齢は関係ないようだ。
沢井姉妹とはお互いの親が仕事絡み以前に仲が良かったせいもあり、理玖と蒼良も幼少期から何度か一緒に遊んだこともある。それに私が小さい頃から理玖のことが大好きなのは皆が周知の事実だから今更隠すことでもないけれど、思春期を迎えた今、それを口にするのはやはり恥ずかしい。
「受験する前に理玖にも外部受験の話をすることができたよ。あそこは学力のレベルが高過ぎたからね」
私は当たり障りのない返事でお茶を濁そうとするも、絶賛片思い中の加恋ちゃんはその先を聞きたがる。
愛由美ちゃんは黙ってそんな加恋ちゃんを見ているけれど、きっと愛由美ちゃんも内心は加恋ちゃんと同じなのだろう。口に出すか出さないかの違いで、二人にも心配されているのは薄々感じている。
「そうじゃなくて、理玖くんとの関係はどうなるの?」
どうなるのと言われても、それは私が一番知りたいことだ。
「うーん、従兄妹って関係性は変わらないけど、それ以外のことは私にも分からないよ。これからは学校だって違うから益々接点もなくなるし、第一理玖の気持ちなんて私は知らないから」
実際の所、理玖が何を考えているのかなんて私には分からないし、今までの関係性だって変わらない。
お互い忙しくて外部受験のことを話したあの日から、理玖とは数えるくらいしか会っていない。
クリスマスの日は高宮グループのパーティーに出席しなければならなかった理玖や両親が、留守中のことを心配して高宮の本家にお泊りをした。
蒼良もいたので果穂は喜んでお泊りを満喫していたけれど、私はマンションで一人留守番でも良かったのにそれを許して貰えなかった。マンションはセキュリティ対策もしっかりしているし、コンシェルジュサービスだって充実しているのだ。特に心配することはないはずなのに。
朝起きると、枕元にクリスマスプレゼントが置かれていた。
両親と祖父母は、私が中学に入学した年から枕元のプレゼント制度を廃止して、一緒に欲しい物を買いに行くようになった。果穂はまだサンタクロースの存在を信じているから、さすがに果穂の前でこの話はできない。
だからだろうと思って、包装してある箱を開けてみるとそこには七宝焼だろうか、ハンドメイドらしいブックマークと普段使いでもかわいいペンダントが入っていた。
両親に話していたプレゼントとは内容も違うし、祖父母もこのようなプレゼントは用意しない。伯父夫婦かと思い、遥佳伯母さんにこっそり聞いてみたものの違うと言う。
それは、理玖からのプレゼントだった。
中学が違うから、なかなか愛由美ちゃんと会う機会も少なくなり、こうして親子で一緒に愛由美ちゃんの家へ遊びに行くのは久し振りのことだった。
手土産に、先日父が出張で訪れた沖縄の紅芋タルトを持って行った。
サワイグループは全国展開まではいかないものの結構な規模の飲食店を展開しており、食材の仕入れでおじさんも全国の取引先へ足を運んでいるとの話だったけど、沖縄に仕入れ先はないそうで、沖縄のお菓子は智賀子おばさん、愛由美ちゃん、加恋ちゃんに喜ばれた。
愛由美ちゃんの妹である加恋ちゃんは愛由美ちゃんの二歳年下で、理玖の弟、蒼良と同い年だ。聞けば、通っている塾が同じというから世間は狭い。
沢井姉妹と一緒に愛由美ちゃんの部屋に通された私は、三人でおしゃべりに花を咲かせていた。母同士はリビングで同じくおしゃべりに花を咲かせている。世代が違うから当然話題も違う。お互いに聞かせたくない話も母たちにはあるようで、私たちが愛由美ちゃんの部屋に引き上げると、途端に話は盛り上がっていた。
私が新しく通う高校の制服は、愛由美ちゃんが通う学校の高等部。制服を見せて貰うことが今日の目的だった。
近く制服を購入するのだけど、やはりその前にどんな制服かきちんとこの目で見たかった。
中等部と高等部は、襟元のリボンとジャケット下のシャツの色が違うのだと言う。
だから愛由美ちゃんもこのまま高等部に進学するなら、シャツとリボンを買い直しする必要があると言う。
加恋ちゃんは、今回は受験をせずに公立の中学校に進学するのだという。
学力で言えば中学受験して愛由美ちゃんと同じ学校に通うこともできるレベルにいるけれど、どうやら好きな男の子がいるらしく、その彼と離れたくないのだそうだ。
それを愛由美ちゃんが揶揄うと、加恋ちゃんは必死になって否定するも顔は真っ赤になっている。
余計なことを言うと逆襲に遭いそうなので、私は黙って二人のやり取りを見守っていた。
すると案の定、愛由美ちゃんから私に理玖との事で探りが入る。
「それよりも史那ちゃん、その後理玖くんとどうなったの? 高校受験で学校離れちゃったけど、本当にこれで良かったの?」
愛由美ちゃんの言葉に加恋ちゃんも敏感に反応する。どうやら恋バナに年齢は関係ないようだ。
沢井姉妹とはお互いの親が仕事絡み以前に仲が良かったせいもあり、理玖と蒼良も幼少期から何度か一緒に遊んだこともある。それに私が小さい頃から理玖のことが大好きなのは皆が周知の事実だから今更隠すことでもないけれど、思春期を迎えた今、それを口にするのはやはり恥ずかしい。
「受験する前に理玖にも外部受験の話をすることができたよ。あそこは学力のレベルが高過ぎたからね」
私は当たり障りのない返事でお茶を濁そうとするも、絶賛片思い中の加恋ちゃんはその先を聞きたがる。
愛由美ちゃんは黙ってそんな加恋ちゃんを見ているけれど、きっと愛由美ちゃんも内心は加恋ちゃんと同じなのだろう。口に出すか出さないかの違いで、二人にも心配されているのは薄々感じている。
「そうじゃなくて、理玖くんとの関係はどうなるの?」
どうなるのと言われても、それは私が一番知りたいことだ。
「うーん、従兄妹って関係性は変わらないけど、それ以外のことは私にも分からないよ。これからは学校だって違うから益々接点もなくなるし、第一理玖の気持ちなんて私は知らないから」
実際の所、理玖が何を考えているのかなんて私には分からないし、今までの関係性だって変わらない。
お互い忙しくて外部受験のことを話したあの日から、理玖とは数えるくらいしか会っていない。
クリスマスの日は高宮グループのパーティーに出席しなければならなかった理玖や両親が、留守中のことを心配して高宮の本家にお泊りをした。
蒼良もいたので果穂は喜んでお泊りを満喫していたけれど、私はマンションで一人留守番でも良かったのにそれを許して貰えなかった。マンションはセキュリティ対策もしっかりしているし、コンシェルジュサービスだって充実しているのだ。特に心配することはないはずなのに。
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両親と祖父母は、私が中学に入学した年から枕元のプレゼント制度を廃止して、一緒に欲しい物を買いに行くようになった。果穂はまだサンタクロースの存在を信じているから、さすがに果穂の前でこの話はできない。
だからだろうと思って、包装してある箱を開けてみるとそこには七宝焼だろうか、ハンドメイドらしいブックマークと普段使いでもかわいいペンダントが入っていた。
両親に話していたプレゼントとは内容も違うし、祖父母もこのようなプレゼントは用意しない。伯父夫婦かと思い、遥佳伯母さんにこっそり聞いてみたものの違うと言う。
それは、理玖からのプレゼントだった。
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