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第三章

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 翌朝、いつもと同じ時間に目覚めた私は、軽く身支度を整えてから、朝食の支度をすべくキッチンへと向かった。瑠璃はまだ眠っている。

 私は瑠璃を起こさないよう、極力物音を立てないよう気を付けながら、キッチンでお湯を沸かした。

 瑠璃が二日酔いだった場合のことを考えて、昨日コンビニでインスタントのしじみ汁を買っていた。
 朝食用にパンを買っていたけれど、二日酔いだったらそれを食べられるだろうか。雑炊でも作ったほうがいいかもしれない。

 炊飯器の中に米は残っていない。私は米をとぎ、炊飯器にセットすると炊飯ボタンを押す。
 できるだけ物音を立てないように気を遣っていても限度がある。生活音に瑠璃が反応し、目覚めたようだ。

「おはよう……」

 背後から聞こえる瑠璃の声のトーンが低い。
 起き抜けだから仕方ないと思うけれど、振り向いて瑠璃の表情を見れば、顔色が悪いししんどそうだ。やっぱりこれは二日酔い確定だ。

「おはよう。しじみの味噌汁飲むよね? インスタントでごめんだけど」

「うん、飲む……」

「了解。じゃあこれ、飲んで。それから、昨夜クレンジングシートで見えるところだけざっと化粧落としておいたけど、多分完璧じゃないから、味噌汁飲んだ後にシャワー浴びておいで」

 これじゃまるでお母さんだよなと思いながらも、甲斐甲斐しく瑠璃の世話を焼いた。

「他に何か食べる? 少し待ってくれたらご飯が炊けるから、雑炊もできるけど」

 味噌汁の入ったお椀をテーブルへと運ぶと、瑠璃に掛けていた毛布を回収する。これも後で外干しだなと思いながら、邪魔にならないよう毛布をたたんだ。

「うん、雑炊食べる……」

 しんどそうだけれど、食欲があるなら大丈夫だろう。

「了解、じゃあ早速味噌汁飲んで、シャワー済ませておいで。その間に雑炊作っておくよ」

 私の言葉に、瑠璃が素直に従った。
 瑠璃は、時間をかけてゆっくりと味噌汁を飲み、私の言葉に従ってシャワーを浴びに浴室へと向かった。

 私は瑠璃がシャワーを浴びている間に片付けを済ませ、炊飯器の米が炊けるまでの間、スマホを手に取った。
 玲央からの連絡はない。そのことにホッとする反面、ちょっとだけ寂しいけれど、寂しいと思う感情は、今後抱かないよう胸の中に封印しなければ。

 スマホを置き、炊飯器のアラームが鳴るまでに下準備をした。
 シャワーを済ませた瑠璃にドライヤーで髪を乾かすよう伝えると、その間に雑炊を作る。めんつゆを使う簡単なものだから、そこまで時間はかからない。瑠璃が戻ってくるまでに、器に雑炊をよそって瑠璃に食べさせる準備をする。
 グラスに氷水を用意して、瑠璃が戻ってくるのを待った。
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