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その後
Dolce notte 3
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着替えが終わったと声を掛けられて、私は両手鍋を持ってこたつへと移動する。
先程の食材は、先にテーブルへと移動させていた。
部屋も暖房が程よく効いており、薄着でもそれほど寒さを感じない。
悠太くんも自宅からハンガーを持参していたらしく、脱いだスーツはそのハンガーに掛けられていた。
トレーナーにジャージと言った本当に寛ぎモードな格好に、本人も失敗したと言う表情を浮かべていた。
「変にカッコつけても仕方ないだろう? お出掛けの時はお洒落するけど、俺、家ではこんな感じだから。
だから結衣もこれからは家にいる時くらい、気を遣わなくていいから。
でも……、俺の為にこうやって可愛い格好してくれるのは嬉しい」
そんな事を言うなんて卑怯だと思う反面、今日の格好を褒められて嬉しい。悠太くんは私の心を浮上させる天才だ。私は両手鍋をカセットコンロの上に置くと、火を点けた。
さっきまでキッチンのIHヒーターで煮込んでいただけあり、すぐにぐつぐつとスープから泡が立ちカレーの美味しそうな匂いが部屋に充満する。キッチンの換気扇はスイッチを入れたままだ。
二人で出来上がった鍋を一緒につつきながら、何気ないひと時を一緒に過ごす。そんな些細な事で幸せを感じている。こんな時間を過ごせるなんてお正月までは思ってもみなかった。
「あ。カレーの汁が散った」
「大変っ、急いで落とさなきゃシミになるよ」
「いや、この位なら大丈夫だろう、トレーナーが黒いから目立たないし」
「とりあえずじゃあ、これで拭き取って」
濡れタオルを手渡して、見つめ合って笑いあう。こんな幸せが、これからもずっと続けばいい。
食事も終わり、二人で一緒に並んで後片付けをした。
洗い物を任せて私が器の水けを拭き取り片付ける。一緒にやるからこそ楽しいのだろう。
片付けも終わり私達はこたつへと戻ると、悠太くんが鞄の中から紙袋を取り出した。
「今日はホワイトデーだから、これ、お返し」
紙袋は地元の有名な洋菓子店の物だった。
もしかしたら……。
「ありがとう、開けるね」
私は断りを入れて袋の中身を取り出すと、そこには色とりどりのマカロンが入っていた。
この店のマカロンはとても美味しくて、予約しないと買えないと聞いていただけに毎度ながら驚きを隠せない。
「俺も一緒に食べたいから、頑張って予約して買ったんだ」
悠太くんの甘い物好きが存分に発揮されている。甘い物や美味しい物に対しての労力は惜しみない様だ。
「うん、じゃあお茶淹れるね」
私はお湯を沸かす為に席を立った。
悠太くんはマカロンを袋から出している。
ロイヤルミルクティーを淹れてこたつに運ぶと、こたつの上にはマカロンと他に小さな包みが一緒に置かれていた。
「はいどうぞ、熱いから気を付けてね。で、これ何?」
マグカップは友達からプレゼントされたものがいくつかあり、その中からシンプルな物を探して出した。
いつかお揃いの食器で一緒に食事を楽しみたい。
この部屋にはそう言えばお揃いの食器がない。近いうちに買いに行きたいな。
「開けてみて」
悠太くんが少し照れたように顔を赤らめて包みを私の前に差し出した。
不思議に思いながらも私はその包みを開けると、中には悠太くんが使っているキーケースの色違いの物が入っていた。
「これから色々とお揃いの物を使いたいな、なんて思ってて……。
アクセサリーのプレゼントは、結衣の好みがまだ分からないから、年度が替わってゆっくりと時間が取れる時に一緒に買いに行くとして、先ずはこのあたりから……」
悠太くんの気持ちが嬉しくて、私はすぐにバッグの中から鍵を取り出すと、プレゼントされたキーケースに取り付けた。私が持っている鍵はこの部屋の鍵しかないので、ちょっと照れ臭い。
「ありがとう。お揃い、嬉しい……。
あのね、お揃いついでで言うんだけど、実はこの部屋って今まで来客なんてなかったから悠太くん用の食器がないの。今度でいいんだけど、一緒に出掛ける時に、お揃いの食器を買いたいから一緒にお店に行ってくれるかな……?」
思い切って言ってみた。雑貨類を一緒に見に行くなんて、もしかしたら恥ずかしいだろうか。それとも生徒や保護者の目があるからあまり一緒に出歩かない方がいいだろうか。
悠太くんの反応次第では、私が適当に見繕って買いに行った方がいいかも知れない。
と思っていたら……。
「俺も一緒に選んでいいの?」
私の言葉に驚いている様だ。
「うん、だって一緒に使う物だから、悠太くんも気に入るものがいいでしょう? だから……」
私の言葉は途中で悠太くんの唇に塞がれる。
突然の事に私は目を見開いたままで、唇が離れると笑われた。
「ごめん、あまりにも可愛すぎるから。
てか、デザートのマカロンもいいけど、結衣を先に食べたい」
突然悠太くんが『オトコ』に変わった。
私を見つめる瞳は熱を帯びている。私はもう、その熱に解かされてしまうのだ。
私が頷くと、悠太くんは私を抱き上げて隣の寝室へと連れて行った。
先程の食材は、先にテーブルへと移動させていた。
部屋も暖房が程よく効いており、薄着でもそれほど寒さを感じない。
悠太くんも自宅からハンガーを持参していたらしく、脱いだスーツはそのハンガーに掛けられていた。
トレーナーにジャージと言った本当に寛ぎモードな格好に、本人も失敗したと言う表情を浮かべていた。
「変にカッコつけても仕方ないだろう? お出掛けの時はお洒落するけど、俺、家ではこんな感じだから。
だから結衣もこれからは家にいる時くらい、気を遣わなくていいから。
でも……、俺の為にこうやって可愛い格好してくれるのは嬉しい」
そんな事を言うなんて卑怯だと思う反面、今日の格好を褒められて嬉しい。悠太くんは私の心を浮上させる天才だ。私は両手鍋をカセットコンロの上に置くと、火を点けた。
さっきまでキッチンのIHヒーターで煮込んでいただけあり、すぐにぐつぐつとスープから泡が立ちカレーの美味しそうな匂いが部屋に充満する。キッチンの換気扇はスイッチを入れたままだ。
二人で出来上がった鍋を一緒につつきながら、何気ないひと時を一緒に過ごす。そんな些細な事で幸せを感じている。こんな時間を過ごせるなんてお正月までは思ってもみなかった。
「あ。カレーの汁が散った」
「大変っ、急いで落とさなきゃシミになるよ」
「いや、この位なら大丈夫だろう、トレーナーが黒いから目立たないし」
「とりあえずじゃあ、これで拭き取って」
濡れタオルを手渡して、見つめ合って笑いあう。こんな幸せが、これからもずっと続けばいい。
食事も終わり、二人で一緒に並んで後片付けをした。
洗い物を任せて私が器の水けを拭き取り片付ける。一緒にやるからこそ楽しいのだろう。
片付けも終わり私達はこたつへと戻ると、悠太くんが鞄の中から紙袋を取り出した。
「今日はホワイトデーだから、これ、お返し」
紙袋は地元の有名な洋菓子店の物だった。
もしかしたら……。
「ありがとう、開けるね」
私は断りを入れて袋の中身を取り出すと、そこには色とりどりのマカロンが入っていた。
この店のマカロンはとても美味しくて、予約しないと買えないと聞いていただけに毎度ながら驚きを隠せない。
「俺も一緒に食べたいから、頑張って予約して買ったんだ」
悠太くんの甘い物好きが存分に発揮されている。甘い物や美味しい物に対しての労力は惜しみない様だ。
「うん、じゃあお茶淹れるね」
私はお湯を沸かす為に席を立った。
悠太くんはマカロンを袋から出している。
ロイヤルミルクティーを淹れてこたつに運ぶと、こたつの上にはマカロンと他に小さな包みが一緒に置かれていた。
「はいどうぞ、熱いから気を付けてね。で、これ何?」
マグカップは友達からプレゼントされたものがいくつかあり、その中からシンプルな物を探して出した。
いつかお揃いの食器で一緒に食事を楽しみたい。
この部屋にはそう言えばお揃いの食器がない。近いうちに買いに行きたいな。
「開けてみて」
悠太くんが少し照れたように顔を赤らめて包みを私の前に差し出した。
不思議に思いながらも私はその包みを開けると、中には悠太くんが使っているキーケースの色違いの物が入っていた。
「これから色々とお揃いの物を使いたいな、なんて思ってて……。
アクセサリーのプレゼントは、結衣の好みがまだ分からないから、年度が替わってゆっくりと時間が取れる時に一緒に買いに行くとして、先ずはこのあたりから……」
悠太くんの気持ちが嬉しくて、私はすぐにバッグの中から鍵を取り出すと、プレゼントされたキーケースに取り付けた。私が持っている鍵はこの部屋の鍵しかないので、ちょっと照れ臭い。
「ありがとう。お揃い、嬉しい……。
あのね、お揃いついでで言うんだけど、実はこの部屋って今まで来客なんてなかったから悠太くん用の食器がないの。今度でいいんだけど、一緒に出掛ける時に、お揃いの食器を買いたいから一緒にお店に行ってくれるかな……?」
思い切って言ってみた。雑貨類を一緒に見に行くなんて、もしかしたら恥ずかしいだろうか。それとも生徒や保護者の目があるからあまり一緒に出歩かない方がいいだろうか。
悠太くんの反応次第では、私が適当に見繕って買いに行った方がいいかも知れない。
と思っていたら……。
「俺も一緒に選んでいいの?」
私の言葉に驚いている様だ。
「うん、だって一緒に使う物だから、悠太くんも気に入るものがいいでしょう? だから……」
私の言葉は途中で悠太くんの唇に塞がれる。
突然の事に私は目を見開いたままで、唇が離れると笑われた。
「ごめん、あまりにも可愛すぎるから。
てか、デザートのマカロンもいいけど、結衣を先に食べたい」
突然悠太くんが『オトコ』に変わった。
私を見つめる瞳は熱を帯びている。私はもう、その熱に解かされてしまうのだ。
私が頷くと、悠太くんは私を抱き上げて隣の寝室へと連れて行った。
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