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その後
バレンタインデート 1
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同級生で現在母校で教師をしている坂本と付き合う事になり、初めてのデートの日がやって来た。
私は税理士事務所に勤務しているので土日祝日は基本的にお休みだ。
坂本も教員なので基本的に土日祝日は休日だけど、バスケ部の顧問をしている関係で、部活動のある時は休日でも学校に出勤する。
ただ、この季節は学年末テストを控えていたり受験シーズンもあり基本的に部活動はお休みらしく、休みは取りやすいと言う。
でも学年末テストを控えてテスト問題を作成したりするので、休みも自宅で仕事をしている日が多いらしい。
教員もなかなか忙しい。
生徒の事が最優先となるので、子供が好きじゃないとこの仕事は務まらないだろうと思う。
昔からみんなの世話焼きをしていた坂本だから、この仕事は天職とも言えるのかも知れない。
世話好きな性格なのか、元々がまめな性格をしているのか、あの日連絡先を交換してから毎日の様に何らかのやり取りがある。おかげで大事にされていると実感出来る半面、誰にでもこのようにまめなのかと不安にも感じる。
初めての彼氏と言うだけあり、私はどうやら面倒くさい女になっているのかも知れないので、この事は坂本には言えないでいる。
坂本は坂本で、過去に私を傷付けた事で嘘を吐く事はないと言い切った。だから、その面に関しては信用してもいいとは思っている。けれど……。
どうやら自分が思っている以上に私は坂本の事が好きなのだろう。
私、きっと重い女になりそうだ。
それを悟られない様に気を付けなければ。
再会して思いが通じ合ったあの日の夜、坂本は同窓会に参加しなかった。
一緒に同窓会に参加しないかと言われたものの、やはり私には行く勇気が出なかった。
坂本一人で参加してもらうつもりだったけど、坂本も翌日仕事始めだからと参加せず、結局は私と一緒に夕飯を食べて帰った。
坂本も現在は地元の中学校が勤務先だから、自宅からの通勤だ。
私は両親と妹が九州に引っ越した為こちらで一人暮らしをしているけれど、流石に付き合ったその日に彼を連れ込むなんて事は出来ないし、そこまで大胆になれない。
坂本も、私が恋愛初心者だと言うのはきっと感じ取っているだろうから、そこまで踏み込んでも来ない。
あれから校内の戸締りを一緒に確認して中学校を後にすると、坂本の車でドライブをして、正月から開いているショッピングモール内のフードコートで食事をしてアパートに送ってくれた。
きっと私のペースに付き合ってくれているのだろうと思う。
新学期も始まり坂本も忙しく過ごしている中で、こうやってまめに連絡をくれるだけでもありがたい。
そう思わなければ。
私の勤務する三上税理士事務所も、年が明けてから取引先企業や個人事業所等の確定申告が始まるから毎年三月中旬までは毎日が残業となる。
この事務所には三上先生以外にも税理士の資格を取得している人は何人かおり、その人たちの元で指示を受けて作業をするので、税理士さんが仮に体調不良でお休みをしても大丈夫な体制は取られている。
時期的にもインフルエンザも流行の兆しを見せているだけに、私達も体調管理に気を付けなければならない。
坂本も今年は一年生の担任とは言え、生徒との接触でインフルエンザの感染リスクもあるだけに心配は絶えない。
そんな中、ようやくデートが実現したのはバレンタインデーの日だった。
あの日から一か月半近く経っている。バレンタインの日は生憎平日で、お互い残業は確定していたけれどこの日は十九時に帰らせて貰う事になった。
「せっかく彼氏が出来たんだから、今日くらいゆっくり会いなさい」
三上先生がこそっと耳打ちするので私はびっくりした。
彼氏が出来た事は誰にも言っていない。どこでバレたのだろう。
「最近の結衣ちゃんを見てたら分かるよ。みんなにはまだ内緒にしてるみたいだから黙ってたけど。
残業ばかりで彼氏に振られたりでもしたら、僕もご両親に顔向け出来ないからね。
ほら、もう片付けして早く帰りなさい」
私は先生の言葉に言い返す事も出来なくて、素直に頷くと帰宅の準備を始めた。
そして事務所を後にすると坂本にメッセージを送る。
『先生の計らいで今日は仕事が終わりました。一度帰宅します』
私の帰宅時間が分からないからと、待ち合わせは決めていなかったのだ。
仕事が終わったら連絡すると伝えていたので、メッセージを送信するとすぐに既読が付いた。
そして、すぐにスマホが着信を知らせた。
もちろん相手は坂本だ。
「もしもし」
付き合い始めてカレカノの関係になったけれど、電話で話をする事は殆どなかった為、こうして電話をくれると緊張してしまう。私の声が少し裏返ってしまっている事に坂本も気付いているだろう。
『もしもし、西田? お疲れ様』
電話越しで聞く坂本の声に、改めて緊張してしまう。
「坂本もお疲れ様」
今日が平日だから必然的に社交辞令的な挨拶になってしまう。
久し振りにスマホ越しに聞く声に、緊張が隠せない。
耳に響く声が心地よくて、ずっと聞いていたいと思うのは惚れた欲目だろうか。
私は税理士事務所に勤務しているので土日祝日は基本的にお休みだ。
坂本も教員なので基本的に土日祝日は休日だけど、バスケ部の顧問をしている関係で、部活動のある時は休日でも学校に出勤する。
ただ、この季節は学年末テストを控えていたり受験シーズンもあり基本的に部活動はお休みらしく、休みは取りやすいと言う。
でも学年末テストを控えてテスト問題を作成したりするので、休みも自宅で仕事をしている日が多いらしい。
教員もなかなか忙しい。
生徒の事が最優先となるので、子供が好きじゃないとこの仕事は務まらないだろうと思う。
昔からみんなの世話焼きをしていた坂本だから、この仕事は天職とも言えるのかも知れない。
世話好きな性格なのか、元々がまめな性格をしているのか、あの日連絡先を交換してから毎日の様に何らかのやり取りがある。おかげで大事にされていると実感出来る半面、誰にでもこのようにまめなのかと不安にも感じる。
初めての彼氏と言うだけあり、私はどうやら面倒くさい女になっているのかも知れないので、この事は坂本には言えないでいる。
坂本は坂本で、過去に私を傷付けた事で嘘を吐く事はないと言い切った。だから、その面に関しては信用してもいいとは思っている。けれど……。
どうやら自分が思っている以上に私は坂本の事が好きなのだろう。
私、きっと重い女になりそうだ。
それを悟られない様に気を付けなければ。
再会して思いが通じ合ったあの日の夜、坂本は同窓会に参加しなかった。
一緒に同窓会に参加しないかと言われたものの、やはり私には行く勇気が出なかった。
坂本一人で参加してもらうつもりだったけど、坂本も翌日仕事始めだからと参加せず、結局は私と一緒に夕飯を食べて帰った。
坂本も現在は地元の中学校が勤務先だから、自宅からの通勤だ。
私は両親と妹が九州に引っ越した為こちらで一人暮らしをしているけれど、流石に付き合ったその日に彼を連れ込むなんて事は出来ないし、そこまで大胆になれない。
坂本も、私が恋愛初心者だと言うのはきっと感じ取っているだろうから、そこまで踏み込んでも来ない。
あれから校内の戸締りを一緒に確認して中学校を後にすると、坂本の車でドライブをして、正月から開いているショッピングモール内のフードコートで食事をしてアパートに送ってくれた。
きっと私のペースに付き合ってくれているのだろうと思う。
新学期も始まり坂本も忙しく過ごしている中で、こうやってまめに連絡をくれるだけでもありがたい。
そう思わなければ。
私の勤務する三上税理士事務所も、年が明けてから取引先企業や個人事業所等の確定申告が始まるから毎年三月中旬までは毎日が残業となる。
この事務所には三上先生以外にも税理士の資格を取得している人は何人かおり、その人たちの元で指示を受けて作業をするので、税理士さんが仮に体調不良でお休みをしても大丈夫な体制は取られている。
時期的にもインフルエンザも流行の兆しを見せているだけに、私達も体調管理に気を付けなければならない。
坂本も今年は一年生の担任とは言え、生徒との接触でインフルエンザの感染リスクもあるだけに心配は絶えない。
そんな中、ようやくデートが実現したのはバレンタインデーの日だった。
あの日から一か月半近く経っている。バレンタインの日は生憎平日で、お互い残業は確定していたけれどこの日は十九時に帰らせて貰う事になった。
「せっかく彼氏が出来たんだから、今日くらいゆっくり会いなさい」
三上先生がこそっと耳打ちするので私はびっくりした。
彼氏が出来た事は誰にも言っていない。どこでバレたのだろう。
「最近の結衣ちゃんを見てたら分かるよ。みんなにはまだ内緒にしてるみたいだから黙ってたけど。
残業ばかりで彼氏に振られたりでもしたら、僕もご両親に顔向け出来ないからね。
ほら、もう片付けして早く帰りなさい」
私は先生の言葉に言い返す事も出来なくて、素直に頷くと帰宅の準備を始めた。
そして事務所を後にすると坂本にメッセージを送る。
『先生の計らいで今日は仕事が終わりました。一度帰宅します』
私の帰宅時間が分からないからと、待ち合わせは決めていなかったのだ。
仕事が終わったら連絡すると伝えていたので、メッセージを送信するとすぐに既読が付いた。
そして、すぐにスマホが着信を知らせた。
もちろん相手は坂本だ。
「もしもし」
付き合い始めてカレカノの関係になったけれど、電話で話をする事は殆どなかった為、こうして電話をくれると緊張してしまう。私の声が少し裏返ってしまっている事に坂本も気付いているだろう。
『もしもし、西田? お疲れ様』
電話越しで聞く坂本の声に、改めて緊張してしまう。
「坂本もお疲れ様」
今日が平日だから必然的に社交辞令的な挨拶になってしまう。
久し振りにスマホ越しに聞く声に、緊張が隠せない。
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