卑屈ギャル♂、自己肯定感爆上げな恋をする

野中にんぎょ

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堅物君のダイヤモンド

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 翌日、紫苑は学校に来なかった。
 昨晩は一睡もできなかった。優成君、紫苑をちゃんと送ってくれたのかな。気になるけれど、優成にも紫苑にも連絡できなかった。茜は全ての授業で居眠りをかまし、放課後、担任の先生から呼び出しをくらった。
「広尾、大丈夫か」
 生徒指導室を出てとぼとぼと歩いていると、新が声をかけてくれた。ジッと見つめると、新はきまり悪そうに、「いや、おまえが、先生に連れて行かれるのを見たから、気になって」と言った。
「それで、大丈夫なのか? 顔色が悪いぞ」
 顔を覗き込まれ、あの瞳に自分が映る。焦色の瞳に吸い込まれそうになって、耳障りのいい声音に心を撫でられて、雨を浴びた草木のような心地になった。
「う、うゔっ……、」
 嗚咽と共にぎゅーっと口端が下がる。「えっ、あっ、どうした、広尾、泣くな、何かあったのか、」あ、おれ、もう涙出てるんだ。そう感じると、堪えていた気持ちが決壊した。
「う。ううっ、うえ、うわあぁあん……」
 わんわん泣き始めた茜を、新は慌てて抱き寄せた。茜は新の胸に涙と洟を擦りつけながら、思い切り泣いた。
 どうして、もっとうまくできなかったんだろう。
 紫苑に、紫苑はほんとうの恋をしているんだって、分かって欲しかった。優成君だってきっと紫苑と同じ気持ちで、だから怖がることなんてない、素直に彼の手を取って、って伝えたかった。なのに、紫苑と分かり合うことから逃げてしまった。
 やがて茜は泣き疲れ、新の腕の中でまどろんだ。
 あかねっ。
 あの階段から、紫苑が自分を呼んでいるような気がした。
 ――ねぇ、ユウキ先生って、かっこいいよね。
 茜は紫苑の言葉に深く頷いた。小学校高学年の頃にはすでに、二人のセクシュアリティははっきりしていた。自認してもなお戸惑いのある茜に対し、紫苑は自身のセクシュアリティをするりと飲み込み、それを恥じたことなど一度もなかった。
 ――なんで男が男を好きになるんだよ。おれのことゼッテー好きになんなよ。
 ――ふん。あんたなんかこっちから願い下げ。ボクにも好みがあるんでね。
 紫苑は美しい上に強かった。男子からの揶揄も、女子からの好奇心の先走った憧憬も跳ねのけ、紫苑はただ一人で輝いていた。
 紫苑が好きになる人は、そういう、簡単には曲がらない美しさを持つ人ばかりだった。紫苑が好きだと言えば、茜もその人のことが好きになった。思えば、意中の相手よりも紫苑のことが好きだったのだと思う。茜は紫苑に強烈に憧れていた。
 ――茜には、赤が似合うよ。ボルドーじゃなく、パキッとした明るい赤ね。
 ボルドーがどんな色なのかも分からずに、茜は頷いた。初めての眼鏡は、くっきりとして瑞々しい赤のフレームを選んだ。
「よく眠れた?」
 保健室のベッドで目覚め、茜は瞳をゆっくりと瞬かせた。すぐ傍に、パイプ椅子に腰掛けた新がいた。
「おれ、どのくらい眠ってた?」
「一時間くらいか。泣き疲れて、そのまま」
 おれ、小林の腕の中で眠っちゃったんだ。茜は熟れた頬を隠したくて布団を口元に手繰り寄せた。
「久住と何かあったのか?」
「……小林って、デリカシーない。そんなんだから、かっこいいのにモテないんだよ」
 意地悪を言ったのに、新はクツクツ笑った。そういう新は、茜の心を少しだけ軽くしてくれた。
「話せば少し楽になるかもしれない。相手がおれでよければ、いくらでも話して」
 しばらく無言で見つめ合い、茜は唇をムズムズとほどいた。
「紫苑が、おれに嘘を吐いた」
「嘘? 久住が、おまえに?」
 出会って一年経つか経たないかの新が瞳を丸くする。それほどに、茜と紫苑の絆は絶対だった。
「優成君のことが好きなくせに、紫苑はそれを認めないんだ。どうしてかは分かんない。いつもだったら、好きな人が被っても、奪い合いになってケンカして仲直りってパターンなのに……。おれは、紫苑の気持ちはほんものだって思う。恋してる紫苑を見て、おれは、今までの恋はおままごとだったんだって気付いたんだ。だから身を引こうとしたのに、紫苑はおれを追って来てちゃって、分かって欲しくて言い合ってるうちにケンカみたいになって、おれはそこから逃げ出して、そのまま……」
「久住の気持ちは、ほんもの。じゃあ、広尾の気持ちはニセモノか?」
 おれの気持ち……。茜は考え込み、「分からない」と首を振った。
「ニセモノかどうかは分かんないよ。でも、紫苑の気持ちはダイヤモンドみたいに強く輝いてて、それと比べると、おれの気持ちなんて、その辺の石ころみたいで……」
「石炭とダイヤは同じ炭素原子から成る物質だ、別物じゃない」
 急な転換に茜が顔を顰めると、新は「つまり、おれが言いたいのは……、」と少し前に出た。
「同じ原子からできていても、粒と粒の結びつき方で性質が違ってくる。ダイヤモンドが硬く美しいのは、粒同士が強く結びついているからだ。一方で、石炭は粒同士が弱く結びついていて、だから、石炭はダイヤモンドに比べて脆く見た目が悪い」
「なんだよっ。紫苑はダイヤモンドでおれは石炭だって言いてーのっ!?」
「ちがう。石炭は単なるエネルギー資源じゃない。石炭があればセメントだって化学繊維だって作れる。ダイヤモンドに同じことができるか? できないだろう? 要は、おまえの気持ちと久住の気持ちに優劣なんかないってことだ」
 納得できるような、できないような……。茜は首を傾げながら、それでも気持ちが上向きになっていくのを感じた。
「久住がおまえに優成を勧めるのは、久住自身が優成を好ましく思っているからだろう。優成にならおまえを任せても安心だと、この間、久住に面と向かって言われたよ」
「え、なにそれ、いつそんなこと、」
「植物園で久住と二人きりになった時だ。おれは久住を失望させてしまったんだろうな。優成とおまえの仲を邪魔するなと釘を刺されたよ」
 そんなことが起きていたなんて。茜は困惑と羞恥に眉を震わせた。
「なんで紫苑がそんなことすんだよっ。わけわかんないっ」
「はは。近くにいすぎて分からないこともあるか。おれには久住の気持ちが少し分かる気がする」
 茜は起き上がり、微笑む新に向かって前のめった。
「なんで紫苑のことで小林に分かっておれに分かんないことがあるんだよっ。おれが一番紫苑のこと分かってんだから、そんなわけ……、」
 言っている最中にもパズルのピースがはまるようにして困惑が薄れ、茜はいかっていた肩を下ろした。
「おれも、同じこと、した」
「うん。どんなことを?」
「余計なお節介した。優成君になら紫苑を任せられると思って、嘘ついて、紫苑と優成君を二人きりにしようとした……」
「それは、どうして?」
「紫苑がたいせつだから」
 誰の笑顔より、紫苑の笑顔が安心する。紫苑の涙は見たくない。
 紫苑をたいせつにしたい。それが自分にできないのなら、信頼できる誰かに紫苑を託したい。
でも、それを、紫苑が望んだだろうか?
 あの時、紫苑は茜に手放されることを拒んだのに、茜は茜を望む紫苑の手を突っぱねた。心のどこかで、やっぱりおれじゃだめなんだと、空しさを感じていたからだ。
 長い間ため込んでいたものを、あんな形で吐き出してしまった。それも、たいせつな紫苑に、当てつけるようにして……。
「おれって、マジで、コドモ」
 布団を握りしめた拳に、そっと温もりが重なった。そのままでいいよ。新の手からそう伝わってきた気がして、茜は卑屈な自分を真っ直ぐに見つめた。
 おれじゃだめなんだという仄暗い気持ちも、紫苑の恋を応援したいって気持ちも、どっちもほんとう。
 そのままでいいよ。
 心の中で呟く。呪文のようにもう一度唱える。新の手が茜の手をぎゅっと握った。そのままでいいよ。胸の奥で凝り固まっていたものが、フッと緩んだ。
「おれ、紫苑がたいせつだから、紫苑に幸せになってほしかったんだ。でも、紫苑にそうしてって言われたわけじゃない。おれは勝手に、自分の望みを紫苑や優成君になすりつけてただけだった。二人の気持ちを訊いてなかった」
「そうか。おまえは自分の気持ちを言葉にするのがうまいな」
 弛んでいく視界の中、茜は新を見つめた。新は茜の涙を掬うように拭い、「おれは久住が羨ましいよ」と囁いた。
「おまえに好意を寄せられる優成よりも、久住の方が、ずっと羨ましい」
「なんでそうなるんだよ。おまえは……、おれのこと、その、好きなんじゃ、なかったのっ」
 もごもごと問うと、新は笑った。
「おまえと久住の絆は、切っても切れないだろう。恋人関係とは違うけど、別の強さでしっかりと結ばれてる」
「……元は同じでも、結びつき方がちがう?」
 問うと、新は笑みを深めて茜の瞳を覗き込んだ。
「そう。おれにはおまえたちが、ダイヤモンドみたいに、輝いて見える」
 小林はどうして、おれの心の深いところに簡単に触れてしまうのだろうか。
「同じ好きって気持ちでも、いろいろあるな。おれはおまえに出会って色々と学んだよ」
 そう言われただけで、自分が特別だと勘違いしそうになる。誰からも特別だと思われなくても、誰からもダイヤモンドに見られなくても、彼の中ではこれからもそうありたいと願ってしまう。
 この気持ちって、なに?
 憧れよりも野蛮で、友情よりも欲張りで、どんな感情より我儘な、身体と心を熱くするこの気持ち。真っ赤なハート。明るくパキッとした、鮮烈な赤。
「小林、おれと友だちになりたいの?」
 新は首を振り、「たとえ一瞬でもいい、おまえとは恋人になりたい」と、はっきり言った。
「おまえときつく結ばれたい。ダイヤモンドより強く、確かに、おまえと共にありたい」
「ダイヤモンドよりきれいなものって、あるの?」
「おれはまだ知らない。でも、おまえだって知らないだろう。そういうものをおまえと見たいよ。おまえとなら見られるって思うんだよ」
 真っ赤なハートがどくどくと脈打つ。新の言葉と眼差しに心が蕩けて、もうだめだ、と抗えない感情がこの胸の内にあることを知る。
 茜は手を伸ばし、感情を滲ませた新の頬に触れた。柔らかかった。きっと彼の心もそうなのだろう。だって茜は知っている。相手に好意を告げることは、振り向かない相手を求め続けることは、勇気の必要なことだから。
「待ってて」
 茜は気付くとそう言っていた。「おれのこと、待ってて」確かに届いてほしくてもう一度訴えると、新は茜の手をきつく握りしめた。
「待ってるよ。今までだってそうだったろう。おれはおまえをここでずっと待ってる」
 二人は鼻先が触れそうなほど面を寄せ合い、互いの瞳を覗き込んだ。新の瞳に映った自分は、鏡の中の自分よりも、少しだけ、きれいに見えた。
「おれ、行かなきゃ。ちゃんと伝えなきゃ、紫苑がたいせつだってこと」
「うん。気を付けてな」
 茜は新を見つめながら身体を引き、新もそれに応じて茜の手を離した。
 背中を押してくれる誰かがいること。その誰かが、新であること。そのことが茜の足取りを確かにした。
 茜はわき目もふらず駆け出した。紫苑。想うのは、紫苑ただ一人だった。
「茜!」
 横断歩道の前で呼び止められ、茜は声の主を振り返った。そこには、学ラン姿の優成が立っていた。「優成君!」駆け寄りながら、茜は優成の表情を見てハッとした。
「紫苑と何かあった?」
 あの後、二人の間に何かがあったんだ。茜は今こそ紫苑を置き去りにしたことを深く後悔した。
「紫苑と……、うまく、いかなかった?」
「……おれが勝手に先走った。紫苑の気持ちを、無視した」
 想い合う二人をすれ違わせたことに気付き、茜は俯いた。「茜、顔を上げて。茜のせいじゃない」優成は茜の肩にそっと触れた。それは、親しい友だちにする仕種だった。
「おれ、茜がおれと紫苑を二人きりにしてくれて、これはチャンスだって思った。紫苑のことが気になってるって伝えたんだけど、紫苑は、帰る、茜がボクを置いて行くはずない、って、そんなことばかり言ってて。……おれ、焦ってた。これ以上茜と親しくなったら、紫苑とは先に進めないんじゃないかって」
 やっぱり、この好意は気付かれてたんだ。気付かれた上で、あしらわれてたんだ。
茜は切なさを振り切り、「それで」と話を促した。
「焦って……、気持ちを伝えたんだけど、紫苑は、茜が茜がって、おれの気持ちよりその場にいない茜を気にしてて、それで、おれ……。紫苑に無理やり、キスした」
 パン!
 手元に衝撃が走った。気が付くと、茜は優成の頬を叩いていた。
 わなわなと腕が震える。「紫苑を、家まで送ってくれたの」その声は、自分のものと思えないくらい、固く尖っていた。
「……送ってない」
「なんで! 送ってって言っただろ! 紫苑はっ……、夜道を一人で歩かせていい子じゃないんだよ! そのくらい優成君にだって分かるだろ!」
 大声で優成を詰り、茜は唇を噛んだ。おれが送ればよかった。こんな男に任せずに、おれが紫苑をたいせつにすればよかった。けれど……。
 優成をよく知りもせずに理想を押し付けていたのは、他でもない自分。優成だって一つ年上なだけの男の子だ。急に意中の相手と二人きりにされて、戸惑いがなかったわけじゃないだろう。なにより、きっと、紫苑は、今も――。
「ごめん。優成君だけが悪いんじゃない。ほっぺ叩いてごめん……」
「いや……。おれ、最低なことしたから。自分がされたら一番嫌なことを、紫苑にした。自分の気持ちを勝手に押し付けて、いやな思いをさせた。……それから、茜にも。茜の気持ちを感じてたのに、ひらひら躱して、向き合わずにいて……。でも、分かんなかったんだ。茜がおれに友情を感じてるのか、恋してるのか。おれもおれで、都合いいけど、茜と友だちになりたかったんだ。明るくて表情がころころ変わるおまえといると、楽しかったから」
 茜は確かに悲しくなった。今までフラれた時と同じ気持ちだった。けれどいま初めて優成がこの恋心に向き合ってくれた気がして、心がさあっと凪いだ。
「へへ。フラれちゃった。ごめん。優成君があんまりにも素敵で、王子様に見えちゃって……」
「王子様? そんなんじゃないって。でも、茜にそう思ってもらえるのは、なんか嬉しいよ」
 茜は優成に手を差し出した。
「握手しよ。友だちになろうの、握手」
優成は眉根を寄せ、それから「ほんとうにごめん。……ありがとう」と言って、茜の手を握ってくれた。
「茜。おれ、紫苑に謝りたくて。今日、紫苑は……」
「紫苑、今日は学校休んでたんだ。優成君、一緒に紫苑に会いに行こう。おれも、紫苑に伝えたいことがあるんだ」
 二人は互いの手を離し、駆け出した。まだ間に合う、きっと紫苑は待ってる、その相手がおれじゃなくたっていい、おれは――、
 おれは、紫苑が大好きだ。紫苑には、世界で一番、幸せでいてほしい。

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