一途な獣は愛にこそ跪く

野中にんぎょ

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災厄の渦中へ

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 夏を迎えると、日常を繰り返していた母屋にも緊張の糸が張りつめるようになった。屋敷の警備は見る間に増え、四季の過ぎ行く庭にも物々しい空気が漂っている。
「お出かけで?」
 図書館の本を返却せねばと足音を忍ばせて部屋を出ようとした慈雨だったが、ドアを開けた瞬間に静がヌッと現れた。
「図書館ですか」
 慈雨は静の鋭い問いを笑っていなしたが、イヌはジッと主人を睨みつけ、「図書館の本は独特の匂いがするのですぐに分かりますよ」と釘を刺した。そのうちにあれよあれよと防弾ガラス付きのセダンに詰め込まれてしまい、慈雨は運転席の静を睨んだ。
「こうやって大げさになるのが嫌だから内緒で出て行こうと思ったんだ、おれはっ」
「慈雨様については望さんから事細かに申し送りを受けていますので」
 望の警護をすり抜け一人で屋敷を出た前科のある慈雨は、ギクリとしてフロントミラーを確かめた。そこにはほくそ笑んだイヌの目元が映り込んでいる……。
「望さんの目はかいくぐれたかもしれませんが、イヌのおれには目だけでなく鼻や耳がある。おれをあまり見くびらないでください」
 得意気なイヌが恨めしく、慈雨は腕を組み面ごと視線を逸らした。
「こんな車、おれがここにいると示しているようなものじゃないか。逆に目立つ」
「望さんから慈雨様の外出はこの車でと申しつけられていますので」
「おまえ、一体誰のイヌなんだ。もうすっかり望のイヌじゃないか」
 イヌはフロントミラー越しに主人を見つめた。
「おれは貴方のイヌです。他の誰にも靡かない」
 その言葉に慈雨はますますむくれ、膝の上に本を広げた。俯き文字の羅列を追うも一行に頭に入って来ない。頬が燃えるように熱いのは季節のせいだろうか。首筋に汗まで浮いてきて、慈雨は手うちわで面を扇いだ。
 図書館に到着し車を出ても、イヌは主人の後を追って来た。
「車の中で待ってるわけにはいかないの」
「それはできません」
「静はマテのできない子じゃないだろう」
「時と場合によります。今はそのコマンドは聞けません」
 主人の威厳を一蹴され、慈雨は空気を切るようにイヌを振り返った。互いの靴先がくっつきそうなほど近づき、背伸びをして静の鼻をきゅっと摘まむ。『愛犬のしつけ』という動画で見た仕種を見様見真似したそれ。静はまんまるにした瞳を瞬かせた。
「マズルコントロールの真似事ですか?獣人のおれには効果はないかと……、」
 縺れた声音が静の動揺を表しているようで、慈雨の喉に笑いがこみ上げる。
「効果がない?本当かな?」
 鼻を摘まんでいた手を下に滑らせ、人差し指と親指で唇を摘まむ。聳えるような体躯とは裏腹に、そこは淡雪のように柔らかかった。静は思い切り顔を顰め、ぶるりと頭を振った。
「おれも譲歩しよう。だからおまえも譲歩してくれ。館内に着いて来ても構わないから、その代わり、おれが本を選ぶ姿を見ないように」
「見ずにどう護衛しろと言うんです」
「おまえが言っていたじゃないか。おまえには目だけでなく、耳と鼻がある」
「……承知しました」
 シャツとスラックスという特筆すべきもののない出で立ちでも、静は周囲の視線を集めてしまう。慈雨は美貌の獣人と距離を取りつつ、図書館に足を踏み入れた。
「そこに座って待っていて。おれの方を見てはだめだよ」
 慈雨は静に入念に言いつけ、書架の森へ分け入った。
 本を選んでいる姿を見られるのは、頭の中を覗き込まれているようで落ち着かない。棚の隙間からこっそり静の様子を窺えば、彼は主人の言いつけを守り瞼を下ろしていた。
 お目当ての本を三冊手に取り、静の様子を今一度覗き見る。彼は先ほどと寸分違わぬ姿勢でむっつりと唇を結んでいた。……そうだ。慈雨はいたずらっ子の笑みを浮かべ、そろりそろりと静から離れ始めた。
 獣人の耳とはどれほどのものだろう。
 むくむくと膨れる好奇心に突き動かされ、静を振り返りながら遠ざかる。静の姿が見えなくなった頃、慈雨は窓辺へそっと囁いた。
「静、大変だ、こっちに来て」
 口の中で転がすように囁いた言葉は、周囲の誰の耳にも届いていない。けれど、静なら――。慈雨が本と期待を胸に抱いた、その時だった。
 ざざざ、と、まるで枝葉の間を行く風のような音を立て、イヌは主人の元へと現れた。慈雨はあまりの早さに驚き、必死の形相になった静をまじまじと見つめ返した。
「慈雨様、」
 太い腕が慈雨を自身の胸へと引き寄せる。三冊のハードカバーごと抱いているというのに、その身体は慈雨をすっぽりと覆い隠してしまった。さらりとしたシャツの生地が頬に触れ、慈雨の息がひゅっと止まった。
「何があったんです」
 自身の体躯を盾にして周囲に注意を這わせる静。窓辺を離れ、より身を隠せる場所へと主人を誘導したイヌは、ふくらはぎに装着したホルスターの中身へ手を伸ばした。
「静、待ちなさい、ここでそんなものを出しては駄目!」
 慈雨は咄嗟に静のシャツを引き付け、静は怪訝そうに慈雨を見つめた。
「悪かった。おまえの耳はどれほどのものかと好奇心に負けて、こんなことをしてしまった。静、すまない、おまえを弄ぶような真似を……」
 静の腕の中で縮こまりながら謝れば、静は慈雨の瞳を覗き込んで、「じゃあ、何もなかったんですね」と確かめた。
「ああ、ああ。何もなかった。静、すまなかった」
 アイスブルーの瞳が揺れ、固くなっていた表情が和らぐ。静は淡い息を吐き、腕の力を緩めた。
 ああ、この子、本当におれを心配して……。
 おれはなんてばかなことを。慈雨が恥じ入っている間に、静は掻き抱かれて乱れた主人の髪をそうと整え、身体を離した。触れているのかいないのか分からない、柔らかな仕種。このイヌは他でもない「おれ」に優しくしたいのだと感じると、慈雨の胸がきゅうっと締め付けられた。
「いたずら好きだという申し送りはなかったと思うのですが……」
 いたたまれなくなり俯けば、慈雨の頬に乾いた指先が触れた。
「鬼ごっこでも、かくれんぼでも、貴方がしたいのであればいくらでも付き合いますよ」
 低い声音に耳殻を擽られ、心臓と肩が跳ねる。慈雨は手元を狂わせて、本を足元に落としてしまった。イヌは主人の足元に跪き、拾った本を捧げるようにして差し出した。
 どうしてだろう、おれはこの子と、これまで何度もこうしていたような気がする……。慈雨はぼんやりとした既視感の中、差し出された本に手を伸ばした。


 屋敷に戻り本を開いても、目は頁の上を滑って行くだけ。夜になっても心が落ち着かず、慈雨はベッドに横たわって天井を見つめた。
 静は今頃、何をしているのだろう。
 気が付くと、離れの宿舎で休んでいるはずの静のことを考えてしまう。照明を落として瞳を閉じても、真昼の静の足音が逸る心音に重なって、慈雨のまどろみを妨げた。
「今日はやけに蒸すな……」
 身体が火照り、慈雨はパジャマの前を寛げ、クローゼットからTシャツを取り出した。ベッドへ踵を返そうとしたその時、コツンと、小石を蹴ったような音がバルコニーから聞こえて来た。
 慈雨は息を潜め、クローゼットを開け放ったまま闇に紛れた。目を凝らし、じわじわとしゃがみ込み、ベッドの下に隠している護身用の短刀を手に取った、次の瞬間……、
 パシュン!パシュッ!……パァン!
 夜闇に窓ガラスが砕け散る。チリチリチリ……。火薬の匂いと薬莢の転がる音で、慈雨は全てを悟った。
 短刀の鞘を抜き逆手に持ち変える。乾いた唇を舐めて耳をそばだてれば、何者かが窓の錠を開ける音が聞こえた。
 パリン、ジャリ、パキ……。
 夜風に翻るカーテンから月影が漏れ、侵入者の全貌を明らかにする。飛び散った硝子の破片を踏みつけながら辺りを見回しているそいつは、フードを被り仮面で顔を覆っていた。その背後に揺れる濃紺の尻尾を睨み、慈雨は短刀を握った手に力を込めた。
 イヌか、ネコか、一体どちらだ――。
 侵入者の手元に光るサイレンサー付きの銃。この部屋の窓を割ったのだ、防犯システムは作動しているはず、だのに屋敷は静まり返っている。
 侵入者は部屋にくまなく視線を巡らせたのち、ベッドの上の布団をはぐった。それを好機と、ヘッドボードの裏に身を寄せていた慈雨は立ち上がり、侵入者めがけてクッションを投げつけた。
「っつ!」
 相手は夜目に慣れている。加えて獣人だ。慈雨は短刀を構えて侵入者の懐へ飛び込んだ。有事に備え、慈雨は祖父から短刀術を仕込まれている。
 十五歳の誕生日に祖父から譲り受けた短刀をここで抜くことになろうとは。慈雨は苦い笑みを噛み殺し、倒れ込んだ侵入者の上に馬乗りになった。
 寸でのところで躱されてしまったのだろう、慈雨の決死の一撃は侵入者に傷一つ残せなかった。ぐるりと反転するように押し倒され、慈雨の視界が急展開する。握りしめていたはずの短刀は床に転がり、相手の手へと渡ってしまった。
「おれを殺しに来たのか」
 短刀の切っ先を喉元に感じながら、慈雨は尋ねた。くりぬかれた目元から覗いた瞳は、冷静に獲物を見下している。侵入者は味わうようにじっくりと刃物の影を滑らせ、慈雨の喉元に峰を押し付けた。
「十五年前も獣人がおれを殺しに来た。君はネコ?それとも、イヌ?」
 体温の移った峰がかすかに浮く。
 チリチリチリ……。薬莢が夜風に転がる。はためいているカーテンに視線をやると、侵入者も素早くそちらを振り返った。
 ダァン!
 銃声と共にクッションから羽毛が弾け、舞い上がる。はらはらと舞う羽の向こう、窓から一匹のイヌが飛び込んで来た。
「次はおまえを撃つ」
 侵入者に銃口を向けた静は、いたずらに降り注ぐ月影に目をすがめた。
静の眼差しが侵入者に組み敷かれている慈雨を捉える。真白の月光の下、露になった慈雨の素肌に、静は小鼻を震わせた。
 ダン!ダン!ドパン!
 慈雨に覆い被さった侵入者の輪郭に沿うように降りしきる銃弾の雨。その一発が侵入者のフードを掠め、そいつは転がるようにして慈雨の上から退いた。静は持っていた銃を慈雨に向けて滑らせ、振りかぶられた短刀を避けた。
 そこからは電光石火のせめぎ合いが続いた。短刀を避け、弾き、払う静。攻防の末に床に転がった短刀は血濡れて妖しく輝いている。……一体、どちらの血だ。慈雨は銃を握りしめてベッドの陰に隠れた。
 一瞬の隙も与えず、静は拳を相手に打ち付けた。ビュッ、ビュッ、と空気を裂くような音が衣擦れの音と共に空気を揺らす。相手は静の猛攻を冷静に払い、いなした。静が剛であれば相手は柔。力を流れに応じていなし、利用するようにして、静をテリトリーへと引き込む。
 それでも静は拳を振るい続けた。罠にかかった猛獣が、爪で檻を引き裂き、牙で密猟者の頭を木っ端みじんにする、そんな無暗で、けれど絶対的な暴力の詰め込まれた一撃を、静は相手に浴びせ続けた。
 静は相手を殺す気だ。
 この間とは別の立ち回りを見せるイヌの瞳は朱に染まっている。慈雨は静に守られていることも忘れて立ち上がった。おまえの手がおれのために血濡れる必要なんて、どこにもないんだ!
「静、やめて!」
 静の瞳がハッとしたように瞬き、その一瞬で頭部に蹴りを食らう。静はよろめきもせず相手の脚を掴み上げ、力のままに放り投げた。静のこめかみから伝う血を見た瞬間、手にしていただけの銃が別の意味を持った。慈雨は見様見真似で銃を構え、引き金に指を掛けた。
「静から離れろ!」
 バァン!
 銃声が響き、そのうちにドアの向こうから足音が近づいて来た。侵入者は辺りを見回し後ずさり、バルコニーから裏の雑木林へと紛れてしまった。……落下音さえせず、辺りには月影が落ちるだけ。慈雨は銃を捨てて静へ駆け寄った。
「静!」
 静の胸に飛び込むと、血と火薬の匂いがした。近くで見れば、肩は短刀で切り付けられ、口端には血が滲み、瞼は切れている。「慈雨様」静は胸を上下させながら慈雨の両肩を掴み、露になった肌にくまなく視線を這わせた。
「貴方に、ついていながら、おれは……!」
「大丈夫。何もされていない。お前がおれを守ってくれたからだ。おれの声を、薬莢の音と火薬の匂いを、追って来てくれたんだろう?」
 静は表情を陰らせ、負った傷を隠すように俯いた。
「しずか」
 慈雨は静の頬に触れ、呼びかけた。
「おれがおまえを迷わせてしまったがために負った傷だ。おれがおまえに負わせたようなものだよ。ごめんね静、俯かないで……」
 静の手が躊躇いがちに慈雨の手に触れる。銃を撃ったのは、初めてだった。発砲の反動で震えている手を包み込むように温もりが添う。
「若!ご無事で!」
 部屋に飛び込んで来た一人の若衆が部屋を見渡し凍りつく。彼の衣服にも切り付けられた痕があるのを見て、慈雨はただならぬ事態を予感した。
「事務所も駄目になった。裏口に車を用意してある。若を奥平の別荘へお送りしろ」
「はい」
 静と若衆のやりとりに着いて行けず、実は静の腕の中で身体を強張らせた。
 これ以上ない惨劇が、ドアの向こうで慈雨を待っていた。
 家は荒らされ、血飛沫が縦横無尽に散っている。息絶えたイヌが目に付き立ち止まろうとすれば、静から「慈雨様」と咎めるように呼びかけられた。裏口から外へ出るまで、足裏に何度もぬるりとしたものが触れて、慈雨はそのたびに不規則になっていく息を整えた。発砲音がしても誰も駆けつけなかったのは、あの侵入者と対峙した時にはもうすでに、この屋敷が濃紺の災厄に飲み込まれていたからだ。
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