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遠いあなたと、ボーナスステージの終焉(下)
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夕闇に飛び込み、無心で駆ける。一人になると、楽だった。なのに、涙が止まらなかった。おれって、どうしてこうなんだろう。
「う、ゔぅ、うっ、うあぁあ~……、」
きっと、みんな白けているだろう。水野先輩は、困ったり疲れたり、おれに呆れたりするだろう。こんなことを続けていたら、いつかほんとうに嫌われる。
純は、コンビニの入り口に置かれたラックに吸い寄せられ、求人雑誌と物件情報を手に取った。
「ああっ……」
糸が切れたように、大きな嗚咽がこぼれた。
あなたの傍にいたいのに。近づけば近づくほどあなたの輝きに目が眩んで、自分の矮小さを思い知らされて……。
こんな恋、叶いっこない。そんなこと分かっているのに、その事実を喉元に突きつけられると、胸が掻き毟られるように痛む。
同じ部屋にいるだけでは、共にあるとは言えない。水野先輩と共にあれるのは、おれじゃない。
「うぐ、ゔぅ、みずのせんぱい……」
純は冊子とチラシを胸に抱き、その場にうずくまった。しばらくそうしていると足音が近づいて来て、純は面を上げた。
「君、どうしたの? 高校生?」
生まれて初めて警官から問いを向けられ、純は身体を強張らせた。かろうじて首を振って「大学生です」と答えると、警官は純の身なりや周囲を観察し、「ああ、新入生ね」と言って、胸元から手帳を取り出した。
「どうしたの? 何か困ったことはない?」
黙っていると、警官は「迎えに来てくれる人はいる?」と、柔らかい声で純を気遣った。純はハッとして、その場から逃げ出した。
暮らし始めたばかりの街では安心できる場所もなく、純は結局アパートへ戻った。
深緑色の玄関扉を見た瞬間に、安堵と情けなさが入り混じり、純はインターホンより先に扉に触れた。……鍵は開いていた。
「純!」
扉を開けてすぐ、リビングから晴臣が飛び出して来た。晴臣は苛立ちと疲れを面に滲ませ、「今までどこに行ってたんだよ」と純に詰め寄った。純はスニーカーを履いたまま、その場に立ち尽くした。
「スマホも財布も置いたままで、こんな時間まで、おまえどこで何してたんだよ。おれがどれだけ探し回ったと……、」
おまえ、と呼ばれ、純は肩を震わせた。晴臣はそんな純を見て、ハッと唇を噤んだ。
「とりあえず、中入って」
晴臣が急いた仕種で純の腕を掴む。その拍子に、純の足元に冊子やチラシが散らばった。
「……なんで物件情報のチラシなんか持って帰ってんの?」
晴臣の戸惑いが肌を刺すように伝わってきて、純はいま言うべきことを見失った。
「おれと暮らすの、嫌になった?」
そんなこと、あるはずない。そう返したいのに、声にならなかった。
「おれといるの、つまんなかった? そりゃそうだよな。おれは本も読まないし、映画も観ない。純とかあの人が持ってるような教養が、ないんだよ。……あの人と話してた純、すごく楽しそうだった。おれの前では、あんな顔してなかった」
水野先輩にこんな顔させたくない。ぜんぶおれが悪い、水野先輩は悪くない。
「水野先輩は……、かっこよくて、優しくて、こんなおれにも丁寧に接してくれて……。ほんとうなら、先輩みたいな人がおれと二人で暮らすなんてこと、ありえないんです」
晴臣の疑念を拭いたくて発した言葉だったのに、彼は苦笑した。
「純ってさ、想像の世界で生きてるよな」
その言葉が、純の心臓に突き刺さった。
「小説とか……映画とか? その中の登場人物みたいにおれを飾り付けてるだろ。高校の頃からずっと思ってた。この子はほんとうのおれを知らないなって。……二人で暮らしてみて、想像と違って、幻滅したんじゃないの?」
「そんな、」
「幻想とか想像でキラキラした目、やめてよ。おれだって、あの頃のままじゃないんだよ。……おれがどれだけ……、」
ぐっと表情を歪め、晴臣は純の腕を力任せに引いた。その行動よりも言葉に戸惑い、純は晴臣の手を振りほどいた。
「ほんとうのあなたが、この部屋にいましたか?」
純はずっと押し留めていた疑問を口に出して、目頭を熱くした。晴臣の表情が涙で滲んで、あの頃の彼までもこの胸の中から消えていくようで……。
言ってはならないような気がしていた。
二人で暮らすようになって、もしかしたら、おれはあなたに無理をさせているんじゃないかって思うようになって、けれどそのことを口に出したらあなたが傷付くんじゃないかって、ここからどこかへ行ってしまうんじゃないかって……!
「あなたはおれのことを気遣うくせに、おれには何もさせてくれない。おれは、何もできない子どもじゃない。相手を飾り付けてるのはあなたの方だ」
視線をかち合わせ、純は捲し立てた。目の前にある扉を、壁を、うち砕いてしまいたかった。
「あんなことがあったのに、あなたはおれに何も訊かなかった。おれとの衝突を避けるのは、おれと今以上の関係を築く気がないからですか。対話もできないのに、ほんとうのあなたなんて、どうやって分かれって言うんです!」
ぼとり、と視界が溶け落ちて、晴臣の輪郭が、あわあわとほどけて……。
おれには、あの頃の先輩も、今の先輩も、根っこは変わっていないように感じる。けれど、あなたは、それは違うと言う。
あの時も、あの時も、あの時も、あなたは「ほんとうのおれ」じゃなかったの? あなたはずっと、おれの前で、おれの望むあなたを演じていたの?
「……いいよ」
その言葉は、今の純には受け止めきれなかった。
「次の部屋が決まるまで、うちにいていいよ。それも嫌だったら、どっか好きなとこ、行っていいよ。純が行きたいとこに行きな。そん時は、面倒だろうけど、おれに一声かけて」
やっぱり、あなたは変わってない。
あなたの全てを知らなくても、変わらない部分が残っていることが、こんなにも愛おしい。こんな言葉でそんなことを分からされて、悔しくて……。
「あなたはおれに、欲しいものはないかって何度も尋ねてくれたけど、あの時おれは、ほんとうに何も欲しくなかったんです」
純はそう言い残して自室に入り、敷布団に倒れ込んだ。
「どっか好きなとこ」なんてない。「欲しいもの」なんてない。だって、あなたがいてくれるだけで十分だった。
――あ、いた。
三月に入ってすぐ、晴臣が部室に顔を出した。純は飛び上がり、晴臣に駆け寄った。
――せんぱい、どうしたんですか、受験は、
今にも飛びついてきそうな後輩に、晴臣は表情を綻ばせた。
――今朝、合格通知が届いて。新入生奨学金も、もらえることになった。
――おめでとうございます……!
純は感激のあまり涙ぐみ、晴臣は「ありがとう」と照れ臭そうに言った。
――会えてよかった。純には直接報告したかったから。
晴臣が受験したのは、給付型の奨学金制度が整っている遠方の私立大学だ。もう会えなくなるのかな。胸が締めつけられて、けれど、それ以上に彼の旅立ちを祝福したくて、純は拙く微笑んだ。今なら、胸の中でずっと温めていた気持ちを言葉にできる気がした。
――おれ、水野先輩に会えてよかったです。一緒にいられて、すごく楽しかった。何もかも、嬉しかった。水野先輩、今まで、ありが……、
伝えれば終わってしまう。そう思うと唇が震えた。
グレースケールの青春にかかった、虹みたいな人。この虹はいつか消える。そんなこと、分かっていたのに。
純はヒックヒックと子どものようにしゃくりあげた。
――純、そんなに泣くなって……。
優しい声音にまた涙がこみ上げて、純は押し留めてきた気持ちをようやく受け入れた。
なんだ。やっぱりおれ、水野先輩のことが好きなんだ。
散々足掻いてきたのに、この気持ちはいやになるほど強く輝いていて、自分にもこんな感情があったんだと、純はその気持ちを抱くように胸を抑えた。
――ほら、顔上げて。そんなに泣いたら干からびるぞ。
あの指先に涙を拭われ、「卒業式まで、まだ七日あるだろ。それまで毎日ここに来るから」と宥められ、心が少しずつ落ち着いていく。
――そうだ。ライン交換しよ。オーキャンだって来たらいいじゃん。だから、その涙は卒業式まで取っといて。
そんなことを言うくせに、晴臣は、涙でぐちゃぐちゃになった純の顔をジッと覗き込んだ。負けまいと晴臣を見つめ返すと、両頬を両手で包まれて、「やめて、見ないで」と言っても離してもらえなくて……。
――もっとよく見せて。
その囁きは、空耳だったのだと思う。だって、水野先輩が、こんなにも感情の先走った仕種でおれに触れるわけがない。
彼の胸に縋りついて、「行かないで、ここにいて」と泣き叫びたい。そんな衝動を抑え込み、純は晴臣の瞳を見つめた。温かく潤んだ、身体も心も吸い込まれてしまいそうな瞳だった。
二人で暮らすようになってから、その瞳に抱かれることが増えて、何度も胸が高鳴った。恋心というのは卑しいもので、そういうものを吸い上げては勝手に育っていってしまう。
もう、憧れや、ただ「好き」という気持ちだけじゃない。この想いは、自分では始末できないところまで来てしまった。
……でも、もう、あんな瞳で見つめられることはないだろう。
「っく、ひぐ、うぐ、うゔ~……、」
枕に顔を押しつけ、嗚咽を押し殺す。隣の部屋にいるはずの晴臣が、これまでで一番遠くに感じた。
ボーナスステージは終わった。虹は消えたのだ。
「う、ゔぅ、うっ、うあぁあ~……、」
きっと、みんな白けているだろう。水野先輩は、困ったり疲れたり、おれに呆れたりするだろう。こんなことを続けていたら、いつかほんとうに嫌われる。
純は、コンビニの入り口に置かれたラックに吸い寄せられ、求人雑誌と物件情報を手に取った。
「ああっ……」
糸が切れたように、大きな嗚咽がこぼれた。
あなたの傍にいたいのに。近づけば近づくほどあなたの輝きに目が眩んで、自分の矮小さを思い知らされて……。
こんな恋、叶いっこない。そんなこと分かっているのに、その事実を喉元に突きつけられると、胸が掻き毟られるように痛む。
同じ部屋にいるだけでは、共にあるとは言えない。水野先輩と共にあれるのは、おれじゃない。
「うぐ、ゔぅ、みずのせんぱい……」
純は冊子とチラシを胸に抱き、その場にうずくまった。しばらくそうしていると足音が近づいて来て、純は面を上げた。
「君、どうしたの? 高校生?」
生まれて初めて警官から問いを向けられ、純は身体を強張らせた。かろうじて首を振って「大学生です」と答えると、警官は純の身なりや周囲を観察し、「ああ、新入生ね」と言って、胸元から手帳を取り出した。
「どうしたの? 何か困ったことはない?」
黙っていると、警官は「迎えに来てくれる人はいる?」と、柔らかい声で純を気遣った。純はハッとして、その場から逃げ出した。
暮らし始めたばかりの街では安心できる場所もなく、純は結局アパートへ戻った。
深緑色の玄関扉を見た瞬間に、安堵と情けなさが入り混じり、純はインターホンより先に扉に触れた。……鍵は開いていた。
「純!」
扉を開けてすぐ、リビングから晴臣が飛び出して来た。晴臣は苛立ちと疲れを面に滲ませ、「今までどこに行ってたんだよ」と純に詰め寄った。純はスニーカーを履いたまま、その場に立ち尽くした。
「スマホも財布も置いたままで、こんな時間まで、おまえどこで何してたんだよ。おれがどれだけ探し回ったと……、」
おまえ、と呼ばれ、純は肩を震わせた。晴臣はそんな純を見て、ハッと唇を噤んだ。
「とりあえず、中入って」
晴臣が急いた仕種で純の腕を掴む。その拍子に、純の足元に冊子やチラシが散らばった。
「……なんで物件情報のチラシなんか持って帰ってんの?」
晴臣の戸惑いが肌を刺すように伝わってきて、純はいま言うべきことを見失った。
「おれと暮らすの、嫌になった?」
そんなこと、あるはずない。そう返したいのに、声にならなかった。
「おれといるの、つまんなかった? そりゃそうだよな。おれは本も読まないし、映画も観ない。純とかあの人が持ってるような教養が、ないんだよ。……あの人と話してた純、すごく楽しそうだった。おれの前では、あんな顔してなかった」
水野先輩にこんな顔させたくない。ぜんぶおれが悪い、水野先輩は悪くない。
「水野先輩は……、かっこよくて、優しくて、こんなおれにも丁寧に接してくれて……。ほんとうなら、先輩みたいな人がおれと二人で暮らすなんてこと、ありえないんです」
晴臣の疑念を拭いたくて発した言葉だったのに、彼は苦笑した。
「純ってさ、想像の世界で生きてるよな」
その言葉が、純の心臓に突き刺さった。
「小説とか……映画とか? その中の登場人物みたいにおれを飾り付けてるだろ。高校の頃からずっと思ってた。この子はほんとうのおれを知らないなって。……二人で暮らしてみて、想像と違って、幻滅したんじゃないの?」
「そんな、」
「幻想とか想像でキラキラした目、やめてよ。おれだって、あの頃のままじゃないんだよ。……おれがどれだけ……、」
ぐっと表情を歪め、晴臣は純の腕を力任せに引いた。その行動よりも言葉に戸惑い、純は晴臣の手を振りほどいた。
「ほんとうのあなたが、この部屋にいましたか?」
純はずっと押し留めていた疑問を口に出して、目頭を熱くした。晴臣の表情が涙で滲んで、あの頃の彼までもこの胸の中から消えていくようで……。
言ってはならないような気がしていた。
二人で暮らすようになって、もしかしたら、おれはあなたに無理をさせているんじゃないかって思うようになって、けれどそのことを口に出したらあなたが傷付くんじゃないかって、ここからどこかへ行ってしまうんじゃないかって……!
「あなたはおれのことを気遣うくせに、おれには何もさせてくれない。おれは、何もできない子どもじゃない。相手を飾り付けてるのはあなたの方だ」
視線をかち合わせ、純は捲し立てた。目の前にある扉を、壁を、うち砕いてしまいたかった。
「あんなことがあったのに、あなたはおれに何も訊かなかった。おれとの衝突を避けるのは、おれと今以上の関係を築く気がないからですか。対話もできないのに、ほんとうのあなたなんて、どうやって分かれって言うんです!」
ぼとり、と視界が溶け落ちて、晴臣の輪郭が、あわあわとほどけて……。
おれには、あの頃の先輩も、今の先輩も、根っこは変わっていないように感じる。けれど、あなたは、それは違うと言う。
あの時も、あの時も、あの時も、あなたは「ほんとうのおれ」じゃなかったの? あなたはずっと、おれの前で、おれの望むあなたを演じていたの?
「……いいよ」
その言葉は、今の純には受け止めきれなかった。
「次の部屋が決まるまで、うちにいていいよ。それも嫌だったら、どっか好きなとこ、行っていいよ。純が行きたいとこに行きな。そん時は、面倒だろうけど、おれに一声かけて」
やっぱり、あなたは変わってない。
あなたの全てを知らなくても、変わらない部分が残っていることが、こんなにも愛おしい。こんな言葉でそんなことを分からされて、悔しくて……。
「あなたはおれに、欲しいものはないかって何度も尋ねてくれたけど、あの時おれは、ほんとうに何も欲しくなかったんです」
純はそう言い残して自室に入り、敷布団に倒れ込んだ。
「どっか好きなとこ」なんてない。「欲しいもの」なんてない。だって、あなたがいてくれるだけで十分だった。
――あ、いた。
三月に入ってすぐ、晴臣が部室に顔を出した。純は飛び上がり、晴臣に駆け寄った。
――せんぱい、どうしたんですか、受験は、
今にも飛びついてきそうな後輩に、晴臣は表情を綻ばせた。
――今朝、合格通知が届いて。新入生奨学金も、もらえることになった。
――おめでとうございます……!
純は感激のあまり涙ぐみ、晴臣は「ありがとう」と照れ臭そうに言った。
――会えてよかった。純には直接報告したかったから。
晴臣が受験したのは、給付型の奨学金制度が整っている遠方の私立大学だ。もう会えなくなるのかな。胸が締めつけられて、けれど、それ以上に彼の旅立ちを祝福したくて、純は拙く微笑んだ。今なら、胸の中でずっと温めていた気持ちを言葉にできる気がした。
――おれ、水野先輩に会えてよかったです。一緒にいられて、すごく楽しかった。何もかも、嬉しかった。水野先輩、今まで、ありが……、
伝えれば終わってしまう。そう思うと唇が震えた。
グレースケールの青春にかかった、虹みたいな人。この虹はいつか消える。そんなこと、分かっていたのに。
純はヒックヒックと子どものようにしゃくりあげた。
――純、そんなに泣くなって……。
優しい声音にまた涙がこみ上げて、純は押し留めてきた気持ちをようやく受け入れた。
なんだ。やっぱりおれ、水野先輩のことが好きなんだ。
散々足掻いてきたのに、この気持ちはいやになるほど強く輝いていて、自分にもこんな感情があったんだと、純はその気持ちを抱くように胸を抑えた。
――ほら、顔上げて。そんなに泣いたら干からびるぞ。
あの指先に涙を拭われ、「卒業式まで、まだ七日あるだろ。それまで毎日ここに来るから」と宥められ、心が少しずつ落ち着いていく。
――そうだ。ライン交換しよ。オーキャンだって来たらいいじゃん。だから、その涙は卒業式まで取っといて。
そんなことを言うくせに、晴臣は、涙でぐちゃぐちゃになった純の顔をジッと覗き込んだ。負けまいと晴臣を見つめ返すと、両頬を両手で包まれて、「やめて、見ないで」と言っても離してもらえなくて……。
――もっとよく見せて。
その囁きは、空耳だったのだと思う。だって、水野先輩が、こんなにも感情の先走った仕種でおれに触れるわけがない。
彼の胸に縋りついて、「行かないで、ここにいて」と泣き叫びたい。そんな衝動を抑え込み、純は晴臣の瞳を見つめた。温かく潤んだ、身体も心も吸い込まれてしまいそうな瞳だった。
二人で暮らすようになってから、その瞳に抱かれることが増えて、何度も胸が高鳴った。恋心というのは卑しいもので、そういうものを吸い上げては勝手に育っていってしまう。
もう、憧れや、ただ「好き」という気持ちだけじゃない。この想いは、自分では始末できないところまで来てしまった。
……でも、もう、あんな瞳で見つめられることはないだろう。
「っく、ひぐ、うぐ、うゔ~……、」
枕に顔を押しつけ、嗚咽を押し殺す。隣の部屋にいるはずの晴臣が、これまでで一番遠くに感じた。
ボーナスステージは終わった。虹は消えたのだ。
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