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嵐に立ち向かう
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「初めまして。東神田都です」
先日と同じ喫茶店、都は現れた洋司に向かって微笑み、手を差し出した。洋司は都の手でなく、その向こうで椅子に腰掛けている理人と小雪を見やった。
「揃ってお集まり頂いて。恐縮だな」
都はいつまでも握られない手を下ろし、「どうぞ掛けてください」と着席を勧めた。
「理人。これはどういうことだ」
洋司の矛先は理人へ向けられ、けれど眼差しは時折小雪を打見する。あの時感じたフェロモンが鼻孔の奥に蘇りそうで、小雪は膝の上の拳を固く握った。……ふと、拳に温みが落ちた。見下ろせば、理人の手が小雪の拳をそっと包んでくれていた。
「霧島さん。今日はおれから話をさせて頂きたくて。……構いませんか?」
都が洋司の視線を呼び戻すように向かいに腰掛ける。飴色の円卓、三人を見渡した洋司は、都を睨みながら腰を下ろした。
「どのような話でしょう。そちらの話を飲めるかどうかは条件次第、」
「率直に申し上げます。理人さんを、おれたちの養子に迎えたいんです。……霧島さんの承諾を得られれば、今日明日にでも申請手続きをしたいと考えています」
洋司は瞳をわずかに見開いた。
「なんです、急に。理人の両親は共に連絡が取れなくなっているし、まさか透明人間に一筆書かせるわけにはいかないでしょう?両親の承諾がなければ、」
「霧島さん」
都は笑みを手元に隠し、「理人君は成人していますよ、今年の二月で十九歳です」と注釈した。
「それに、霧島さん。あなたは嘘を吐いている。あなたは理人さんを養子に迎えているでしょう。……違いますか?」
洋司は表情を毛ほども変えず、「准教授殿が探偵ごっこか」と吐き捨てた。
「理人を養子に?……勝手にすればいい。けれど理人はあなたの運命の番なのでは?理人を養子に迎えれば、あなたは理人を夫として迎えられなくなる。それでもいいんですか?」
「理人さんは、もう何にも縛られるべきじゃない」
都は刺すようにはっきりと言った。
「父親の違うあなたと理人さんは、両親が家を出たことで繋がりを失った。……そこであなたは理人さんを養子に迎えた。あんなにも憎んでいた種違いの弟をです。あなたは戸籍という檻で理人さんを囲い、呪おうとした。その呪縛を取り払えるなら、おれたちはどんな代償でも払うつもりです。……おれたちは形にこだわりません。憎しみや過去に囚われ、理人さんに歪んだ繋がりを求めるあなたとは違う」
「歪んだ繋がり……。確かに、私たちの関係は傍からすればそう見えるかもしれません。けれど、血と憎しみで強く繋がっている。世に言う、愛とか絆とか、そういうもの以上に」
都へ向けられていた洋司の視線が小雪へ滑る。小雪は洋司の視線に応えた。
「あなたの夫が間違いを犯そうとしていますよ。戸籍なんてどうだっていいでしょう。なのに、この人は私からそんなものまで奪おうとする。頭が狂っているとしか、」
「戸籍の中の理人君が、そんなに大事ですか?」
小雪の声は冷たかった。洋司の眼差しがぐらりと揺れた。
「理人君の戸籍は簡単に抜くことができます。彼はもう大人で、彼の傍にはおれたちがいるからです。……理人君だけでなく、あなたもまた、その檻に囚われている。自分の人生を生きて。あなたの人生は、あなたにしか生きられない」
洋司はぐっと俯き、「なにを、」と呻いた。
「なにを、すれば、いいんです」
その言葉を合図に、都は洋司に封筒を差し出した。
「そこまでおっしゃるのなら、おれたちも譲歩しましょう。おれたちは理人さんを養子にすることを諦めます。……その代わり、あなたには守って頂きたいことがあるんです。この誓約書にサインを頂けますか」
封筒の中身は、洋司のつきまとい行為に対する警告書面と誓約書を合わせた、たった二枚の書類だった。
この半ば賭けのような駆け引きを思いついたのは、都だった。
――理人のお兄さんに似た人を、おれも知ってるよ。
洋司とのことを打ち明けた小雪に、都はことの全貌を悟ったように頷きを返した。
都が言ったのは、彼の父のことだった。
都の父は生前、共に生活していた都の戸籍を一家の戸籍から抜き、遠い親戚の養子としていた。洋司の血の繋がりへの固執を、都は見破っていた。
洋司は書面を睨み、唇を歪め、真顔に戻ってから、さらりとサインした。まるで、こんなものには何の効力もない、と言わんばかりに。
彼は知らないのだろうか。戸籍の中の理人を大事に抱えたところで、それは理人ではないということを。そんなものには何の意味もないということを。
「後日、こちらの写しを霧島さんのご自宅へ送付させていただきます。……それでは」
都は書類をまとめ立ち上がった。小雪と理人がそれに倣おうとしたところで、洋司が小雪の手首をさっと掴んだ。力づくで引き付けられ、洋司と小雪を隔てる机がガタンと音を立てた。
「αとΩを取り巻く運命というものの正体を知っていますか」
洋司はすかさず小雪の反対の腕も取り、上から抑え込むように睨みつけた。
「その正体は、優秀な子孫を残すのに相性の良い相手を判別するシステムのことなんだそうです。一人のΩに対し、二人ないし三人の運命のαが存在するという説もあります。まあ、αからすれば、運命のΩは、いるのかいないのか分からない、幻のような存在ではありますが……」
顎を掴まれ視線をかち合わされる。憫笑を浴び、小雪は眼差しをきつくした。
「Ωとしては理人に劣るが、繁殖の相手としては上出来だ。あなたは私の、」
「黙れ」
都の声が低く響く。彼の瞳は朱に染まり、その奥の瞳孔は開いていた。
「都君!」
小雪は洋司との間に割って入ろうとする都を制した。ここで都が洋司に手を出せば、完成した書面が効力を失う。洋司は「聡い人は好きですよ」と言い、小雪の項を指先で撫でた。
「二人のαに噛まれたΩはどうなってしまうんでしょうね。αとΩとしては私との相性の方がいいはずだから、私との番関係が優先されるんでしょうか、それとも、」
「そんなことをしても、むなしいだけ」
小雪は自身の項を洋司へ差し出すように身を翻した。
「愛がなければ、何をしたって、むなしいだけ。……それを知りたいなら、どうぞ噛んで。おれはあなたの番になっても、都君を想って眠る。あなたに抱かれても、都君を想って果てる。誰を傍に置いても理人君を想うあなたと同じ。そういう意味ではお似合いですね、おれたち……」
洋司に項を向けたまま、瞼を下ろす。
差し出すようでいて、全身に拒絶と怒りが漲っている。小雪は荒れ狂う嵐を肌の下に押し込め、都と理人を想った。
すう、と、心が凪ぐ。負の感情が払われ、ありのままの心だけが残る。
都と理人が出会ったあの日。小雪もまた、理人に出会った。きっとあれは、運命だった。
いつまでそうしていたのだろう、小雪を覆っていた黒い影は去り、「小雪さん」という理人の呼びかけで、小雪は瞼を上げた。……洋司は、いなくなっていた。
「よかった、分かってくれた……」
瞳を震わせている理人を安心させたくて微笑めば、乾いた音と共に、小雪の頬に痛みが走った。頬を打たれたと気付き顔を上げれば、こめかみに青筋を立てた都が小雪を見下ろしていた。
「おれは君の、そういうところが嫌いだ」
「みや、」
「なにが、噛んでだ。なにが、あなたの番だ。なにが、お似合いだ。……君はおれの番だろう!他人に気安く項を向けるな!」
都の怒りが空気を伝い、小雪の肌と心を震わせた。理人は小雪の腕を胸に抱き、都は小鼻を震わせたまま二人を抱き寄せた。
小雪の目頭がじんと熱くなった。二人の感情が伝播して、涙がこぼれた。
都は小雪に必要以上に与えさせない。小雪に歯止めをかけるのは、いつだって都だ。小雪は都の、そういうところを眩しくも思うし、惜しくも思う。
「ごめんなさい、おれ」
「……打って、悪かった。怒鳴って、悪かった。でももう、あんなことは止めてほしい」
都は二人を抱き寄せ、深い息を吐いた。小雪も二人の身体を抱きしめた。都の身体の震えが止みますようにと、理人の涙が止まりますようにと、力を込めて。
先日と同じ喫茶店、都は現れた洋司に向かって微笑み、手を差し出した。洋司は都の手でなく、その向こうで椅子に腰掛けている理人と小雪を見やった。
「揃ってお集まり頂いて。恐縮だな」
都はいつまでも握られない手を下ろし、「どうぞ掛けてください」と着席を勧めた。
「理人。これはどういうことだ」
洋司の矛先は理人へ向けられ、けれど眼差しは時折小雪を打見する。あの時感じたフェロモンが鼻孔の奥に蘇りそうで、小雪は膝の上の拳を固く握った。……ふと、拳に温みが落ちた。見下ろせば、理人の手が小雪の拳をそっと包んでくれていた。
「霧島さん。今日はおれから話をさせて頂きたくて。……構いませんか?」
都が洋司の視線を呼び戻すように向かいに腰掛ける。飴色の円卓、三人を見渡した洋司は、都を睨みながら腰を下ろした。
「どのような話でしょう。そちらの話を飲めるかどうかは条件次第、」
「率直に申し上げます。理人さんを、おれたちの養子に迎えたいんです。……霧島さんの承諾を得られれば、今日明日にでも申請手続きをしたいと考えています」
洋司は瞳をわずかに見開いた。
「なんです、急に。理人の両親は共に連絡が取れなくなっているし、まさか透明人間に一筆書かせるわけにはいかないでしょう?両親の承諾がなければ、」
「霧島さん」
都は笑みを手元に隠し、「理人君は成人していますよ、今年の二月で十九歳です」と注釈した。
「それに、霧島さん。あなたは嘘を吐いている。あなたは理人さんを養子に迎えているでしょう。……違いますか?」
洋司は表情を毛ほども変えず、「准教授殿が探偵ごっこか」と吐き捨てた。
「理人を養子に?……勝手にすればいい。けれど理人はあなたの運命の番なのでは?理人を養子に迎えれば、あなたは理人を夫として迎えられなくなる。それでもいいんですか?」
「理人さんは、もう何にも縛られるべきじゃない」
都は刺すようにはっきりと言った。
「父親の違うあなたと理人さんは、両親が家を出たことで繋がりを失った。……そこであなたは理人さんを養子に迎えた。あんなにも憎んでいた種違いの弟をです。あなたは戸籍という檻で理人さんを囲い、呪おうとした。その呪縛を取り払えるなら、おれたちはどんな代償でも払うつもりです。……おれたちは形にこだわりません。憎しみや過去に囚われ、理人さんに歪んだ繋がりを求めるあなたとは違う」
「歪んだ繋がり……。確かに、私たちの関係は傍からすればそう見えるかもしれません。けれど、血と憎しみで強く繋がっている。世に言う、愛とか絆とか、そういうもの以上に」
都へ向けられていた洋司の視線が小雪へ滑る。小雪は洋司の視線に応えた。
「あなたの夫が間違いを犯そうとしていますよ。戸籍なんてどうだっていいでしょう。なのに、この人は私からそんなものまで奪おうとする。頭が狂っているとしか、」
「戸籍の中の理人君が、そんなに大事ですか?」
小雪の声は冷たかった。洋司の眼差しがぐらりと揺れた。
「理人君の戸籍は簡単に抜くことができます。彼はもう大人で、彼の傍にはおれたちがいるからです。……理人君だけでなく、あなたもまた、その檻に囚われている。自分の人生を生きて。あなたの人生は、あなたにしか生きられない」
洋司はぐっと俯き、「なにを、」と呻いた。
「なにを、すれば、いいんです」
その言葉を合図に、都は洋司に封筒を差し出した。
「そこまでおっしゃるのなら、おれたちも譲歩しましょう。おれたちは理人さんを養子にすることを諦めます。……その代わり、あなたには守って頂きたいことがあるんです。この誓約書にサインを頂けますか」
封筒の中身は、洋司のつきまとい行為に対する警告書面と誓約書を合わせた、たった二枚の書類だった。
この半ば賭けのような駆け引きを思いついたのは、都だった。
――理人のお兄さんに似た人を、おれも知ってるよ。
洋司とのことを打ち明けた小雪に、都はことの全貌を悟ったように頷きを返した。
都が言ったのは、彼の父のことだった。
都の父は生前、共に生活していた都の戸籍を一家の戸籍から抜き、遠い親戚の養子としていた。洋司の血の繋がりへの固執を、都は見破っていた。
洋司は書面を睨み、唇を歪め、真顔に戻ってから、さらりとサインした。まるで、こんなものには何の効力もない、と言わんばかりに。
彼は知らないのだろうか。戸籍の中の理人を大事に抱えたところで、それは理人ではないということを。そんなものには何の意味もないということを。
「後日、こちらの写しを霧島さんのご自宅へ送付させていただきます。……それでは」
都は書類をまとめ立ち上がった。小雪と理人がそれに倣おうとしたところで、洋司が小雪の手首をさっと掴んだ。力づくで引き付けられ、洋司と小雪を隔てる机がガタンと音を立てた。
「αとΩを取り巻く運命というものの正体を知っていますか」
洋司はすかさず小雪の反対の腕も取り、上から抑え込むように睨みつけた。
「その正体は、優秀な子孫を残すのに相性の良い相手を判別するシステムのことなんだそうです。一人のΩに対し、二人ないし三人の運命のαが存在するという説もあります。まあ、αからすれば、運命のΩは、いるのかいないのか分からない、幻のような存在ではありますが……」
顎を掴まれ視線をかち合わされる。憫笑を浴び、小雪は眼差しをきつくした。
「Ωとしては理人に劣るが、繁殖の相手としては上出来だ。あなたは私の、」
「黙れ」
都の声が低く響く。彼の瞳は朱に染まり、その奥の瞳孔は開いていた。
「都君!」
小雪は洋司との間に割って入ろうとする都を制した。ここで都が洋司に手を出せば、完成した書面が効力を失う。洋司は「聡い人は好きですよ」と言い、小雪の項を指先で撫でた。
「二人のαに噛まれたΩはどうなってしまうんでしょうね。αとΩとしては私との相性の方がいいはずだから、私との番関係が優先されるんでしょうか、それとも、」
「そんなことをしても、むなしいだけ」
小雪は自身の項を洋司へ差し出すように身を翻した。
「愛がなければ、何をしたって、むなしいだけ。……それを知りたいなら、どうぞ噛んで。おれはあなたの番になっても、都君を想って眠る。あなたに抱かれても、都君を想って果てる。誰を傍に置いても理人君を想うあなたと同じ。そういう意味ではお似合いですね、おれたち……」
洋司に項を向けたまま、瞼を下ろす。
差し出すようでいて、全身に拒絶と怒りが漲っている。小雪は荒れ狂う嵐を肌の下に押し込め、都と理人を想った。
すう、と、心が凪ぐ。負の感情が払われ、ありのままの心だけが残る。
都と理人が出会ったあの日。小雪もまた、理人に出会った。きっとあれは、運命だった。
いつまでそうしていたのだろう、小雪を覆っていた黒い影は去り、「小雪さん」という理人の呼びかけで、小雪は瞼を上げた。……洋司は、いなくなっていた。
「よかった、分かってくれた……」
瞳を震わせている理人を安心させたくて微笑めば、乾いた音と共に、小雪の頬に痛みが走った。頬を打たれたと気付き顔を上げれば、こめかみに青筋を立てた都が小雪を見下ろしていた。
「おれは君の、そういうところが嫌いだ」
「みや、」
「なにが、噛んでだ。なにが、あなたの番だ。なにが、お似合いだ。……君はおれの番だろう!他人に気安く項を向けるな!」
都の怒りが空気を伝い、小雪の肌と心を震わせた。理人は小雪の腕を胸に抱き、都は小鼻を震わせたまま二人を抱き寄せた。
小雪の目頭がじんと熱くなった。二人の感情が伝播して、涙がこぼれた。
都は小雪に必要以上に与えさせない。小雪に歯止めをかけるのは、いつだって都だ。小雪は都の、そういうところを眩しくも思うし、惜しくも思う。
「ごめんなさい、おれ」
「……打って、悪かった。怒鳴って、悪かった。でももう、あんなことは止めてほしい」
都は二人を抱き寄せ、深い息を吐いた。小雪も二人の身体を抱きしめた。都の身体の震えが止みますようにと、理人の涙が止まりますようにと、力を込めて。
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