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気弱で、手の焼ける、食いしん坊な居候
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「マダラ君、配達お疲れ様。これ今月分の給料ね」
午前五時すぎ、朝刊配達から販売店に戻ったマダラは頬を紅潮させて封筒に飛びついた。「いつも荷下ろしまで手伝ってくれて助かるよ。ちょっとイロつけといたから、他のアルバイトさんには内緒ね」親父さんは髭を蓄えた口元で微笑み、マダラの肩をポンポンと叩いた。
「たまには息抜きしな。若い頃から無理してたら後が怖いぞ」
マダラの目元のクマを指差し、親父さんは明るく笑った。マダラは頭を深く下げ「ありがとうございます!」と親父さんに負けないくらいの明るい声でお礼を言った。
白い息を吐きながら警備員の仕事へ急ぐ。
昨晩は焼きそばをたらふく食べたトラが船を漕ぎ始めたので「少し眠っていけば?好きな時に出て行っていいよ」と伝え、家主のマダラは午前三時から家を出た。
昼過ぎまでの警備員の仕事は堪えた。誘導灯が一本から三本になり、それからぐにゃぐにゃと歪み始めた時には、「ちょっと頑張りすぎたか」とさすがのマダラも冷汗をかいた。作業着のままふらふらとアパートに戻り、扉の前まで来たところでマダラは鼻をひくつかせた。あのトラの匂いが、薄い扉の向こうから漂ってくる。
「どーしたの?帰り道、分かんなくなっちゃった?」
案の定、トラはまだ部屋の中に居た。座布団にきっちりと正座し大きな体を丸めている。「俺が途中までついてってあげる。どこから来たか言ってみ?」膝を突き合わせて優しく促すが、トラはそわそわと視線を彷徨わせた後に、マダラを射抜くように見つめた。
「ここは静かだね」
「……へ?」
「テレビもないし、小鳥の声や川のせせらぎもよく聞こえる」
目を細めたトラの言っている意味が、マダラには分からなかった。「なくて悪かったな。買う余裕も受信料払う余裕もないもんで」皮肉交じりに答えても、トラは控えめに微笑むばかり。
「僕は宍戸シシ。昨日は助けてくれて……ありがとう」
トラのシシは実に綺麗に頭を下げた。帳のように上がっていく彼の容貌を見つめ、マダラは目を点にした。傷ついていたはずのシシの口元が綺麗に治っている。純血種の生命力の強さは噂に聞いていたが、これほどとは……。「き、君は?君の名前も知りたいな」大きな図体で手元をもじもじさせるシシ。マダラは腰に手を当てて溜息を吐いた。
「俺はマダラ。……お前さあ、なんで昨日ヤクザに絡んでたの?この辺にはトラなんていないからすぐに顔がわれちゃうよ?帰るおうち、あるんでしょ?早くここから姿を消した方がいい」
シシは瞳を見開き、それから眉根を寄せた。「ゆ」その唇が震えた瞬間、立派な犬歯が輝いた。
「許せなかったんだ。道端に火のついた煙草をポイ捨てしてたのが、許せなかったんだ」
煙草のポイ捨て?そんなことで?尻すぼみに消えていったその言葉にマダラは呆れ果てた。けれど、大きな拳が膝の上で震えているのを見てしまい、マダラは苦虫を嚙み潰すような心地になった。
「か、帰る家もない。帰らないって、決めたんだ。今までとは違う場所で、一匹で、自由に、自分の力で生きていくんだって」
頑ななトラは陽の元で見ればうら若く、まだ十代といったところ。一匹で、自由に、自分の力で、ねえ……。孤児院育ちのマダラには理解出来なかったけれど、タイミングよくシシの腹が鳴ったので、マダラは疲労と寝不足で重くなった身体を擡げ台所に立った。
小さな冷蔵庫から冷や飯と卵を取り出し、熱したフライパンに放り込む。鍋肌から醤油を垂らし、冷凍していた小口切りのネギを振り、フライパンをあおる。ごく簡単な炒飯を取り分けて白いレンゲを皿に置いてやれば、シシの口端に涎が光った。
「お前の言ってることは、正直、よく分かんないけどさ……」
はいどうぞ、と手のひらを差し出して炒飯を勧める。シシはマダラの表情を窺いながら「頂きます」と手を合わせた。
「どうせお金もないんでしょ。ちょっと落ち着くまでここにいなよ。テレビもなければ風呂もない狭い我が家ですが、お好きなだけどうぞ」
山盛りの炒飯を口に運んでいたシシは頬に米粒をつけて瞳を輝かせた。
「マダラ、ありがとう!僕、マダラの役に立てるように頑張るよ!」
意を決したように拳を握ったシシにマダラは苦笑した。部屋の隅に畳まれたモッズコートは明らかにブランド品で、尻尾にはトラの証の縞模様。どう見ても厄介そうだが仕方ない。こんな世間知らずを外に放り出したら一体どうなってしまうやら……。
一匹暮らしの部屋にトラが転がり込み、マダラの生活は一変した。
外に放り出さずとも、シシは十分に厄介だった。包丁の扱い方はおろか、ガスコンロの使い方、布団の畳み方、洗濯の手順まで、シシは何一つ知らない真性の世間知らずだった。
「どわあああ!なんだこりゃあ!」
その声に、仮眠を取っていたマダラは嫌な予感がして飛び起きた。
玄関扉を開け放って通路を見渡しマダラは絶句した。二階の通路から階段まで続く、泡、泡、泡……。アパートの住人たちも目を点にして固まっている。マダラはアパートの住人が共同で使っている洗濯機の前で首を傾げているシシに詰め寄った。
「シシ!洗濯機触っちゃったの!?」
「え、えっと、マダラの服が汚れてたから、僕、綺麗にしてあげたくて」
彼の手に握られた洗濯洗剤をひったくり、マダラは白目を剥いた。中、空っぽ……!「中身、全部入れちゃったの?」マダラの問いにこっくりと頷くシシ。マダラは泡の上にへたり込み、隣の部屋に住むワニのお爺さんは言葉を失った。
「まー、悪気はないんだ。しゃあないわな」
一階から水栓柱のホースを伸ばしワニはニッカリと笑った。ワニの撒いた水で泡を洗い流し、マダラとシシがデッキブラシで二階の通路に溜まった水を落とす。マダラが疲れ果てている一方でシシはどこか楽しそうだ。
「ボロ屋もこれでちょっとは綺麗になったんじゃねえの」
「洗剤はマダラが補充しとけよな。そのトラのお坊ちゃんの躾も忘れんなよ」
すれ違う住人たちに冷やかされ溜息を吐くマダラ。「あった、あった。福引で洗剤のセットが当たったことがあったんだよ……」ひとの好いワニは新しい洗濯洗剤を手にシシを手招きした。
「おめえよお。この世のモンには取り扱い説明書ってもんが大体ついてんだ。これも、ほら、ここ見てみな。水の量に対しての洗剤の量が書いてあるだろ……」
お爺さんのワニと並べば孫にも見えるシシは彼の話にコクコクと頷いた。泡だらけになったマダラの作業着をもう一度洗濯機に入れ、洗剤を投入しスイッチを押す。うおん、うおん、うおん……。不穏な音を上げながらもモーターは正常に働き、シシは瞳を輝かせた。
「もう!シシ!俺が居ないときに勝手するなってあれだけ、」
ぐうううう。シシの腹の虫は賢い。いつもベストタイミングで主人を助けてしまう。
シシと共に部屋に戻りヒーターをつける。この部屋で水の出る場所といえば台所の小さなシンクしかなく、二匹は肩をくっつけて手についた泡を洗い流した。
ぐらぐら沸かしたお湯へ冷凍うどんを投入し、煮つけておいた油あげと小口切りのネギ、めんつゆを苛立ちのまま鍋にぶちこむ。ぐつぐつ煮えたそれを二つのどんぶりに分けてシシに差し出せば、彼は満面の笑みで手を合わせた。
「はあ~。シシ、あのさあ……」
もうちょっとしっかりしてよ。そう言いそうになり、けれどちゅるちゅると麺を啜っているシシを見ていたら、そんな言葉も喉の奥に引っ込んでしまった。よく食べ、よく眠り、無知の為にかよく学ぶシシ。マダラも彼と同じ机でうどんを啜り、冷たくなった手を温かいどんぶりに当てて暖を取った。
「マダラ、寒いの?」
すでに食べ終わったシシがヒーターをマダラの傍へ寄せる。「シシが寒くなっちゃうだろ」ヒーターの向きを変えれば、シシは瞳を瞬かせてマダラの傍へとすり寄った。
「僕が温めてあげる」
小さなマダラをひょいと自身の膝に乗せ、背中越しに抱きすくめるシシ。子ども体温の彼は確かに温かい。けれどマダラは耳をぴくぴくさせて眉を顰めた。どうしてこんなにも懐かれてしまったのだろう。薄い肩と腕を交差した両手で摩られ、マダラの尻尾はその度に左右に揺れた。
「洗濯、最初は失敗しちゃったけど、ちゃんとやり方覚えたよ。これでいつでもマダラの服を洗える」
「別に、俺の服なんか気にしなくていいのに」
言えば、背中を隔てていても分かるほどシシはくしゅんとしおれた。「役に立ちたかった」「失敗しちゃったから嫌われた?」「喜んでもらいたいのに」そういう声が、触れた肌を伝って聞こえて来そうで、マダラは頭をぶるんぶるんと振り立てた。
「俺の分もシシにお願いすることもある……かも」
大きな瞳を見開きキラキラを振りまくシシ。マダラは溜息を堪えてうどんを啜った。背中の温もりは夜の仕事に出るまでマダラを離してくれなかった。
午前五時すぎ、朝刊配達から販売店に戻ったマダラは頬を紅潮させて封筒に飛びついた。「いつも荷下ろしまで手伝ってくれて助かるよ。ちょっとイロつけといたから、他のアルバイトさんには内緒ね」親父さんは髭を蓄えた口元で微笑み、マダラの肩をポンポンと叩いた。
「たまには息抜きしな。若い頃から無理してたら後が怖いぞ」
マダラの目元のクマを指差し、親父さんは明るく笑った。マダラは頭を深く下げ「ありがとうございます!」と親父さんに負けないくらいの明るい声でお礼を言った。
白い息を吐きながら警備員の仕事へ急ぐ。
昨晩は焼きそばをたらふく食べたトラが船を漕ぎ始めたので「少し眠っていけば?好きな時に出て行っていいよ」と伝え、家主のマダラは午前三時から家を出た。
昼過ぎまでの警備員の仕事は堪えた。誘導灯が一本から三本になり、それからぐにゃぐにゃと歪み始めた時には、「ちょっと頑張りすぎたか」とさすがのマダラも冷汗をかいた。作業着のままふらふらとアパートに戻り、扉の前まで来たところでマダラは鼻をひくつかせた。あのトラの匂いが、薄い扉の向こうから漂ってくる。
「どーしたの?帰り道、分かんなくなっちゃった?」
案の定、トラはまだ部屋の中に居た。座布団にきっちりと正座し大きな体を丸めている。「俺が途中までついてってあげる。どこから来たか言ってみ?」膝を突き合わせて優しく促すが、トラはそわそわと視線を彷徨わせた後に、マダラを射抜くように見つめた。
「ここは静かだね」
「……へ?」
「テレビもないし、小鳥の声や川のせせらぎもよく聞こえる」
目を細めたトラの言っている意味が、マダラには分からなかった。「なくて悪かったな。買う余裕も受信料払う余裕もないもんで」皮肉交じりに答えても、トラは控えめに微笑むばかり。
「僕は宍戸シシ。昨日は助けてくれて……ありがとう」
トラのシシは実に綺麗に頭を下げた。帳のように上がっていく彼の容貌を見つめ、マダラは目を点にした。傷ついていたはずのシシの口元が綺麗に治っている。純血種の生命力の強さは噂に聞いていたが、これほどとは……。「き、君は?君の名前も知りたいな」大きな図体で手元をもじもじさせるシシ。マダラは腰に手を当てて溜息を吐いた。
「俺はマダラ。……お前さあ、なんで昨日ヤクザに絡んでたの?この辺にはトラなんていないからすぐに顔がわれちゃうよ?帰るおうち、あるんでしょ?早くここから姿を消した方がいい」
シシは瞳を見開き、それから眉根を寄せた。「ゆ」その唇が震えた瞬間、立派な犬歯が輝いた。
「許せなかったんだ。道端に火のついた煙草をポイ捨てしてたのが、許せなかったんだ」
煙草のポイ捨て?そんなことで?尻すぼみに消えていったその言葉にマダラは呆れ果てた。けれど、大きな拳が膝の上で震えているのを見てしまい、マダラは苦虫を嚙み潰すような心地になった。
「か、帰る家もない。帰らないって、決めたんだ。今までとは違う場所で、一匹で、自由に、自分の力で生きていくんだって」
頑ななトラは陽の元で見ればうら若く、まだ十代といったところ。一匹で、自由に、自分の力で、ねえ……。孤児院育ちのマダラには理解出来なかったけれど、タイミングよくシシの腹が鳴ったので、マダラは疲労と寝不足で重くなった身体を擡げ台所に立った。
小さな冷蔵庫から冷や飯と卵を取り出し、熱したフライパンに放り込む。鍋肌から醤油を垂らし、冷凍していた小口切りのネギを振り、フライパンをあおる。ごく簡単な炒飯を取り分けて白いレンゲを皿に置いてやれば、シシの口端に涎が光った。
「お前の言ってることは、正直、よく分かんないけどさ……」
はいどうぞ、と手のひらを差し出して炒飯を勧める。シシはマダラの表情を窺いながら「頂きます」と手を合わせた。
「どうせお金もないんでしょ。ちょっと落ち着くまでここにいなよ。テレビもなければ風呂もない狭い我が家ですが、お好きなだけどうぞ」
山盛りの炒飯を口に運んでいたシシは頬に米粒をつけて瞳を輝かせた。
「マダラ、ありがとう!僕、マダラの役に立てるように頑張るよ!」
意を決したように拳を握ったシシにマダラは苦笑した。部屋の隅に畳まれたモッズコートは明らかにブランド品で、尻尾にはトラの証の縞模様。どう見ても厄介そうだが仕方ない。こんな世間知らずを外に放り出したら一体どうなってしまうやら……。
一匹暮らしの部屋にトラが転がり込み、マダラの生活は一変した。
外に放り出さずとも、シシは十分に厄介だった。包丁の扱い方はおろか、ガスコンロの使い方、布団の畳み方、洗濯の手順まで、シシは何一つ知らない真性の世間知らずだった。
「どわあああ!なんだこりゃあ!」
その声に、仮眠を取っていたマダラは嫌な予感がして飛び起きた。
玄関扉を開け放って通路を見渡しマダラは絶句した。二階の通路から階段まで続く、泡、泡、泡……。アパートの住人たちも目を点にして固まっている。マダラはアパートの住人が共同で使っている洗濯機の前で首を傾げているシシに詰め寄った。
「シシ!洗濯機触っちゃったの!?」
「え、えっと、マダラの服が汚れてたから、僕、綺麗にしてあげたくて」
彼の手に握られた洗濯洗剤をひったくり、マダラは白目を剥いた。中、空っぽ……!「中身、全部入れちゃったの?」マダラの問いにこっくりと頷くシシ。マダラは泡の上にへたり込み、隣の部屋に住むワニのお爺さんは言葉を失った。
「まー、悪気はないんだ。しゃあないわな」
一階から水栓柱のホースを伸ばしワニはニッカリと笑った。ワニの撒いた水で泡を洗い流し、マダラとシシがデッキブラシで二階の通路に溜まった水を落とす。マダラが疲れ果てている一方でシシはどこか楽しそうだ。
「ボロ屋もこれでちょっとは綺麗になったんじゃねえの」
「洗剤はマダラが補充しとけよな。そのトラのお坊ちゃんの躾も忘れんなよ」
すれ違う住人たちに冷やかされ溜息を吐くマダラ。「あった、あった。福引で洗剤のセットが当たったことがあったんだよ……」ひとの好いワニは新しい洗濯洗剤を手にシシを手招きした。
「おめえよお。この世のモンには取り扱い説明書ってもんが大体ついてんだ。これも、ほら、ここ見てみな。水の量に対しての洗剤の量が書いてあるだろ……」
お爺さんのワニと並べば孫にも見えるシシは彼の話にコクコクと頷いた。泡だらけになったマダラの作業着をもう一度洗濯機に入れ、洗剤を投入しスイッチを押す。うおん、うおん、うおん……。不穏な音を上げながらもモーターは正常に働き、シシは瞳を輝かせた。
「もう!シシ!俺が居ないときに勝手するなってあれだけ、」
ぐうううう。シシの腹の虫は賢い。いつもベストタイミングで主人を助けてしまう。
シシと共に部屋に戻りヒーターをつける。この部屋で水の出る場所といえば台所の小さなシンクしかなく、二匹は肩をくっつけて手についた泡を洗い流した。
ぐらぐら沸かしたお湯へ冷凍うどんを投入し、煮つけておいた油あげと小口切りのネギ、めんつゆを苛立ちのまま鍋にぶちこむ。ぐつぐつ煮えたそれを二つのどんぶりに分けてシシに差し出せば、彼は満面の笑みで手を合わせた。
「はあ~。シシ、あのさあ……」
もうちょっとしっかりしてよ。そう言いそうになり、けれどちゅるちゅると麺を啜っているシシを見ていたら、そんな言葉も喉の奥に引っ込んでしまった。よく食べ、よく眠り、無知の為にかよく学ぶシシ。マダラも彼と同じ机でうどんを啜り、冷たくなった手を温かいどんぶりに当てて暖を取った。
「マダラ、寒いの?」
すでに食べ終わったシシがヒーターをマダラの傍へ寄せる。「シシが寒くなっちゃうだろ」ヒーターの向きを変えれば、シシは瞳を瞬かせてマダラの傍へとすり寄った。
「僕が温めてあげる」
小さなマダラをひょいと自身の膝に乗せ、背中越しに抱きすくめるシシ。子ども体温の彼は確かに温かい。けれどマダラは耳をぴくぴくさせて眉を顰めた。どうしてこんなにも懐かれてしまったのだろう。薄い肩と腕を交差した両手で摩られ、マダラの尻尾はその度に左右に揺れた。
「洗濯、最初は失敗しちゃったけど、ちゃんとやり方覚えたよ。これでいつでもマダラの服を洗える」
「別に、俺の服なんか気にしなくていいのに」
言えば、背中を隔てていても分かるほどシシはくしゅんとしおれた。「役に立ちたかった」「失敗しちゃったから嫌われた?」「喜んでもらいたいのに」そういう声が、触れた肌を伝って聞こえて来そうで、マダラは頭をぶるんぶるんと振り立てた。
「俺の分もシシにお願いすることもある……かも」
大きな瞳を見開きキラキラを振りまくシシ。マダラは溜息を堪えてうどんを啜った。背中の温もりは夜の仕事に出るまでマダラを離してくれなかった。
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