スーパーシティ ～放置国家～

最終章

第九話 大自然の怒り

　大地震に超大型台風が直撃して、ほぼ全ての機能を失った日本全土の

スーパーシティに突然無数のミサイルが飛んできて、国家は壊滅状態と

なった所に侵略軍が押し寄せてきた。大災害が起きた時にいつでも攻め

入って制圧できるよう、二階堂の様な権力者を取り込んで情報を得て、

全国の土地を買い漁って秘密裏に軍事拠点を作っていたのだ。


　スーパーシティにはミサイルの直撃を受けて重症の者や、ミサイルの

直撃こそ免れたもののスラムに取り残された女子供がまだ多数いる。

しかし侵略軍はその最後の仕上げをすべく激しい風雨の中、トラックや

ヘリで次々とスーパーシティやスラムに向かっていた。怪我人は殺し、

女子供老人は強制収容所で奴隷として働かせる為だ。


　「野郎、最後の一人になっても闘うぜ」、、車輪とオヤジはピラミッド

から降りようとした。だがその時、突然西の方角から激しい爆音が聞こえ、

赤々とした光が見えた。「も、もしかして、富士山か」、、まさしくそう

だった。富士山がとうとう噴火を始めたのだ。怒号の様な爆音と共に炎と

噴煙を上げ、溶岩を吹き出し関東一円も再度激しく揺れ始めた。


　溶岩は侵略軍を片っ端から直撃し、台風の風雨も重なりヘリは次々墜落、

トラック等の軍用車は溶岩に当たったり地割れした地中に落ちた。だが溶岩

は多少スーパーシティにも降り注ぎ、車輪達の居るピラミッド側面に直撃

する。「オヤジっ、うわあぁーっ」、、「車輪っ！」、、オヤジが手を伸ば

すが、車輪は衝撃で屋上から投げ出され、ピラミッドは崩壊した。


　富士山の出す火山灰は風雨に混じって日本全土に１０ｃｍ～２ｍの厚さ

で降り注ぎ、溶岩は旧静岡県と旧山梨県一帯に流れ出た。その噴火規模は、

７３００年前に西日本の縄文人を死滅させ、以後１０００年九州に人が

住めなくなった鬼界カルデラの噴火と同規模かそれ以上、日本列島は神の

怒りか、灰が降り積もった人の住めない不毛の地と化した。