スーパーシティ ～放置国家～

第十一章

第三話 協調路線

　車輪達がスーパーシティに潜入している間に、全国のスラムは自警団

同士が争い始めた様だ。最初は一般市民から収奪していた暴力集団を

打ちのめし、自分達の地区は自分達で自衛するだけだったが、そのうち

宗教系の阿呆教やら共産系の革命和平なる怪しげな連中が入ってきて、

それらと対抗するうちに小競り合いが増えてきた。


　そうなると弱い自警団は乗っ取れてしまうので、武装化して攻撃的

になり、終いには機動隊の様な制服で統一して胸には「暴力集団排除」

と刺繍をして歩き回り、阿呆教や革命和平の真似をして活動費と称し、

地区内の家々から金銭を徴収するに至った。これではどっちが暴力集団

やら分からない状況である。


　「結局ろくでなしを排除しても統治者が居ないから同じ事の繰り返し

だ」、、「本当に統治者が居ないならまだマシだ、やたらと税金だけ

ブン取っておいて後は放置だから国民の暮らしは一向にマトモになら

ない」、、車輪は憤った。やはり必ず国賊、竹内平助を討ち取り、他の

利権で甘い汁を吸う権力者どもも何とかせねばこの国の未来は無い。


　早速いつもの倉庫に戻った車輪とオヤジは仲間を集めて作戦会議を

開いた。「俺はもう一度スーパーシティに行く。竹内平助を討って

元レーサーを救出する為だ。竹内を討てば政府も変わって国民同士の

争いも収まるかもしれない。だが今の状況では結局また探し出せずに

終わるのが現実だ」、、


　「しかしな、前回の国民の暴力集団に対しての虐殺ですら政府は反省

どころかそれを逆手に増税を課してきたんだぜ、竹内を討ってもまた

第二の竹内が現れるだけかもしれん、なんとか他の自警団と手を組んで

政府と渡り合う方が確実だと思うぞ。無論阿呆教と革命和平も含んでな」

、、オヤジは車輪一人を行かせるより、他との協調路線を選んだ。