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第十章

第六話 脱走

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 スーパーシティの事もある程度分かり、拘束具を付けられる寸前で

結局脱走を選んだ2人に、人型ロボットやAI搭載車両が接近する。

車輪は一番近くに来たタイヤが6個のAI車両の軽機関銃に拘束具の

ベルトを引掛け、勢いで引き倒して人型ロボットにぶつけた。武器を

取り上げられた以上、拘束具を奪ったのはこうやって利用する為だ。


 今度は走りながら、迫ってくる人型ロボットにすれ違いながら首に

拘束具のベルトを引掛け、同じ様に勢いで振り回して他のAIや空中

のドローンをぶつけて叩き落としたりした。そうこうしているうちに

窓を見るとここは2階だったので、2人は迷わず飛び降りて脱出する

と、駐車場には数台の車が見えた。


 よく見ると交通違反などで没収されたとおぼしき富裕層の車を、生身

の人間が車庫に移動させている。「丁度いいっ」、、2人は運転して

いた者をいきなり助手席に押し込み、元レーサーが運転席に陣取った。

「いきなり何するんじゃお前らはっ!?」、、助手席に押し込まれた男

は動転しながら車輪達を問い詰めた。しかし驚いたのは元レーサーだ。


 「この車は往年の名車セルシオじゃねーかっ!」、、早速ギアをD

に入れて駐車場を脱出する。何とか2人が警察署から脱走出来たのは、

完全自動化されたAI等が、こんな事態を経験するのが初めてだから

かもしれない。後部座席の車輪が口を開いた。「済まなかった。アンタ

は警察職員か?あそこは何故AIばかりで人が居ないんだ?」、、


 男も返答する。「おう、俺は職員だが、お前らは外、つまりスラムの

住民か。ここは生身の人間が人間の相手する事はほとんど無ェよ。俺は

AIが出来ねェ仕事、例えばこの骨董品の4000ccガソリンエンジン車

を動かしたり、いろんなアナログ的な事をする技術者だ。AIも仕込め

ば出来るだろうが、人間がやった方が手間がかからない事もあるからな」、、

 

 
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