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第九章
第八話 ムダキッズ
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高校が義務教育化された事により、逆に全体の学力が下がった日本
だが、車輪や元レーサーのようなタイプには関係無かった。義務化
されたのは車輪が小学六年、元レーサーが五年の時だったが、皆が
高校だけは出たいと思って一応の勉強はしていた中で、急に目的が
無くなった為に成績が良かった者こそ、こぞって勉強を放棄した。
元レーサーは低学年の頃から成績は良かったのだが、そんな周り
の風潮に流される事は無く、成績を維持し続けた。車輪は成績は元々
悪かったが、義務化が決まるとそれまで勉強勉強と張り切り、車輪
のような落ちこぼれを見下していた優等生に限って急に投げ出し、
その他の者も面倒な事から解放されると思って喜びだした。
そんな風潮に違和感を覚えた車輪は、皆がやらないならと、逆に
勉学に勤しむようになってしまい成績の逆転現象が起きたのだった。
どうせ頑張ってもスラムの住民が大学等に進学出来る余裕は無く、
皆同じに高校を出てほとんどが派遣会社に非正規として雇われるだけ
なのに、何故今更勉強するのか周囲には全く理解出来なかった。
こういう意味も無いのに勉強する者を、周りは保護者の大人達も
含め変人扱いし「ムダキッズ」と呼んだ。だが車輪の場合はテストの
点数を上げる事が快感になって行き、同時に遊びの誘惑に克つとか、
手足が多少痛くてもガマンして勉強を続けるという、忍耐すらも
これによって会得してしまう様になる。
ムダキッズは高校を卒業するまでの間だけでも勉強したいと思って
いたのが、結果的に自分で考えて調べて納得する習慣が付いたので
大人になっても勉強するクセがあり、なまじのスーパーシティに
住む大卒者よりも学力も頭の使い方も上のハズだ。このようなムダ
キッズだった者は全国で数%は居ると見られている。
だが、車輪や元レーサーのようなタイプには関係無かった。義務化
されたのは車輪が小学六年、元レーサーが五年の時だったが、皆が
高校だけは出たいと思って一応の勉強はしていた中で、急に目的が
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元レーサーは低学年の頃から成績は良かったのだが、そんな周り
の風潮に流される事は無く、成績を維持し続けた。車輪は成績は元々
悪かったが、義務化が決まるとそれまで勉強勉強と張り切り、車輪
のような落ちこぼれを見下していた優等生に限って急に投げ出し、
その他の者も面倒な事から解放されると思って喜びだした。
そんな風潮に違和感を覚えた車輪は、皆がやらないならと、逆に
勉学に勤しむようになってしまい成績の逆転現象が起きたのだった。
どうせ頑張ってもスラムの住民が大学等に進学出来る余裕は無く、
皆同じに高校を出てほとんどが派遣会社に非正規として雇われるだけ
なのに、何故今更勉強するのか周囲には全く理解出来なかった。
こういう意味も無いのに勉強する者を、周りは保護者の大人達も
含め変人扱いし「ムダキッズ」と呼んだ。だが車輪の場合はテストの
点数を上げる事が快感になって行き、同時に遊びの誘惑に克つとか、
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これによって会得してしまう様になる。
ムダキッズは高校を卒業するまでの間だけでも勉強したいと思って
いたのが、結果的に自分で考えて調べて納得する習慣が付いたので
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