上 下
88 / 155
第九章

第三話 阿呆教

しおりを挟む
 政府を信じて増税に賛成する人々が一部に現れ始め、それに対抗

する人達との間で小競り合いが頻発するようになり、どこの町でも

武器を持った自警団が存在するので、自警団同士の抗争や同じ自警団

の中での内部抗争にまで発展するようになった。その中で勢力を強め

出したのが阿呆教(あほうきょう)である。


 阿呆教は、人間はそもそも阿呆なので反省しながら生きるべし

という教義の宗教団体で、複数の自警団に入り込んでいたが、自警団

の中にも以前の暴力集団への虐殺をやり過ぎたと反省してる者も多く、

これからは平和に政府を信じて不平不満を口にしなければ、人殺しの

過去も清算されると説法された住民が数多く入信していた。


 しかし大半の国民は、自分達の税金でごく一部のエリート層だけ

楽園の様なスーパーシティに住み、自分達は無政府状態のスラムに

住まわされ、いくら暴力集団の収奪が無くなったとはいえ、少ない

給料の50%も搾り取られるのは納得がいかなかった。その上なんだ

かんだで阿呆教も綺麗事を言いながらちゃっかり武装しているのだ。


 赤熊との死闘を終えた車輪はその場で赤熊を埋葬し、簡単な墓標

を立てて住処に帰って来た。「そうか、、あの男らしい最期だな」、、

倉庫のオヤジはある程度赤熊を認めていたが、この時代の暴力集団

にも古風な者が残っていた事に感心していたのだった。「ああ、どこ

で道を踏み外したのか知らないが、死に様はサムライだった」、、


 「しかし、山奥には未だに暴力集団がはびこっているんだな、町は

町で自警団が暴力集団みたいになってきてるのに」、、元レーサーは

車輪に増税や阿呆教の事を説明した。「国賊揃いの腐った政府はあの

時の暴動を見ても、国民が苦しんでる事より自分達の利益優先の様だな。

改心を期待したが、やはり国賊を討って変えるしか手は無しか」、、


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そんなにエロい格好するのやめて

サドラ
大衆娯楽
今日は校外学習日である。高校生たちは水族館付近で街歩きを行う。主人公の「僕」は同じ班の「緑山さん」が意外な格好をしていることに驚愕して…

残業で疲れたあなたのために

にのみや朱乃
大衆娯楽
(性的描写あり) 残業で会社に残っていた佐藤に、同じように残っていた田中が声をかける。 それは二人の秘密の合図だった。 誰にも話せない夜が始まる。

後悔と快感の中で

なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私 快感に溺れてしまってる私 なつきの体験談かも知れないです もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう もっと後悔して もっと溺れてしまうかも ※感想を聞かせてもらえたらうれしいです

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

女ハッカーのコードネームは @takashi

一宮 沙耶
大衆娯楽
男の子に、子宮と女性の生殖器を移植するとどうなるのか? その後、かっこよく生きる女性ハッカーの物語です。 守護霊がよく喋るので、聞いてみてください。

催眠術師

廣瀬純一
大衆娯楽
ある男が催眠術にかかって性転換する話

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...