スーパーシティ ～放置国家～

第六章

第十話 釈放

　警察署に集まった群衆に解散する様呼びかけた車輪だったが、

半殺しにされて右手も無い姿に群衆は余計ザワついた。このまま

警察署になだれ込めば権力側にとっても正当防衛、群衆を武力弾圧

出来る口実を与えてしまうし、一般人から多数の死傷者と逮捕者

を出す結果になってしまう。


　すると群衆の中から、「ならば車輪を釈放すれば大人しく解散

するぞ」、、「そうだそうだ」、、との声が上がった。暴力集団は

何をやっても逮捕されないのだから、車輪だけ拘束されるのはおか

しい。釈放して解散してくれるなら警察にとってそんな有り難い話

は無いだろう。だが当然権力側内部では釈放に反対する意見が出た。


　ハッキリ言って群衆は全国で暴力集団を襲って次々惨殺したのだ

から、これはデモでは無く暴徒による暴動扱いだ。それが警察署を

取り囲んでる以上は実力で武力行使しても良い。都合の悪い事は後

でマスコミを使って印象操作すれば問題なかろう。しかし武力行使

では、折角全国で解散した連中まで再び火が付いてしまうのである。


　そうなってしまってはもっと面倒臭い事になるし、取り敢えず

暴力集団潰しの殺人者とは言え、雑魚ニート一匹逃しただけでこの

騒ぎが収まるならばと、車輪は潔く釈放された。玄関の階段でフラ

ついて転んだ車輪を、群衆は担架に乗せてお神輿の様に担ぎ上げ、

ワッショイワッショイと自分達の勝利に歓喜した。


　今回の件で一番恐れ戦いたのはやはり政府中枢達だ。今迄国民

など何をやっても怒らない、自分達がコントロール出来る愚民だと

考えていたので、これをモニターで見ていた権力者が集まる会議室

は小便を漏らす者多数、この原因を作った竹内平助に至っては脱糞

すら厭わぬ始末で、会議室内は屑共自らの香ばしさに見舞われた。