スーパーシティ ～放置国家～

第六章

第四話 車輪逮捕

　米穀連合会の幹部が集ってる所を襲撃に来た車輪と元レーサー。

廃工場の外に居た見張りを次々倒し、幹部連中にも迫って来た。

車輪達にとっても逃げ回って殺されるよりも先手を打つしか無い、

無間地獄のようなものだ。後が無いので手榴弾も使い容赦なく

攻撃を続けた。


　「あのニート野郎、テメエから来やがったっ」、、削げ鼻は

右足を引き摺りながら銃を抜き窓の横に立った。「焦るまでも

ねえよ」、、赤熊がそう言うと他の幹部連中も「放っといても

奴ァ自滅だ、だが俺らに楯突きやがんのは看過できねえ」、、

削げ鼻以外は妙に落ち着いていた。


　すると突然パトカーのサイレンが鳴り響いた。警察と繋がって

いる米穀連合会は車輪と闘うまでもなく通報したのだった。廃工場

の周りを何１０台ものパトカーとバス、暴徒鎮圧用の装甲車が取り

囲む。さしもの車輪もお手上げ、武器を捨てて文字通り両手を上げ

投降するしか無かった。しかし元レーサーはどこにも居ない。


　後ろ手に手錠を掛けられ引っ立てられる車輪に米穀連合会の幹部

連中が近づく。「テメエーッ」、、削げ鼻は右手で思い切り車輪の

顔を殴った。黙って見ているだけの警察はそのまま車輪をバスに

乗せ逮捕は完了した。しかし車輪にとって米穀連合会に引き渡される

よりは、はるかにラッキーだったのだ。


　警察署に着いたパトカーの一団は車輪を降ろした。しかしあれだけ

騒ぎになった車輪の事なのにマスコミは一人も来ていない。今回の

逮捕は世間に知られない様、秘密裏に行われたのだ。もっとも一部の

マスコミはこの情報を得てはいるが、所詮マスコミも権力とズブズブ

なので「報道しない自由」を行使しているだけだった。