スーパーシティ ～放置国家～

第五章

第九話 地下本部

　ほとんどのアジトを襲撃された中花一家は残るは本部だけだった。

その本部襲撃を任じられた通称「削げ鼻」は、文字通り鼻が削がれて

代りに金属の器具が取り付けられていた。それは昔やらかしたヘマ

の落とし前にやられたものだが、その割にはやたら陽気でヘラヘラ

しており何やら軽い印象だ。


　身長は高くて細見、ハーフの為肌は褐色で髪はドレッドヘアー、

ダボダボのズボンに腹にはサラシを巻き、派手なシャツを羽織って

腕や胸からはタトゥーを覗かせていた。特技は早撃ちで、銃を抜いて

安全装置を外し２発の弾を発射するのに０，７秒、それも正確に的に

当てる技は、車輪ですら不可能だ。


　「まず手榴弾をぶち込んだらオメーらが突っ込んで片っ端から

撃ち殺せ、出て来た奴らは俺のマトだ！」、、部下に指示を出し、

米穀連合会の一行は中花一家の本部を取り囲んだ。本部と言っても

大きめの工場を隠れ蓑にした地下部分だ。指示通り手榴弾を投げ

込み、斬り込み隊が乗り込んで行く。


　どんどん地下に進む斬り込み隊だが相手の反応が無いので外に

無線で報告し、更に進んで行く。外の連中も気になって中に進み、

数人を残してほぼ全員が地下本部に入った。「いや待てっ、戻れっ」、、

削げ鼻が叫ぶや、地下本部は工場ごと凄まじい爆音を鳴らして吹き

飛び、仕掛けられた他の爆弾も次々連鎖して爆発した。


　中花一家の上層部はいくら部下達が襲撃されようと、初めから

自分達だけは逃げる気だったのだ。だがただ逃げるだけでは気が

済まない。金の力で持っていた爆薬と遠隔のスイッチを使って

仕返ししながら全ての痕跡を消したのだった。これにより、米穀

連合会も主要な襲撃部隊を失い戦力は半減する事となった。