スーパーシティ ～放置国家～

第五章

第七話 戦力

　米穀連合会はAI暴力集団を中花一家の仕業と勘違いしてしまった。

真相はある国の軍事研究施設の不手際で暴走した為だが、普段から

中花一家にシノギを盗られていた米穀連合会にとっては、もし今更

それが分かった所でどうなるものでも無い。最強の暴力集団を自負する

彼らにとっては、これを機として邪魔な敵を叩き潰すまでの話だ。


　そうと決まったら米穀連合会はまず幹部を緊急招集して幹部会を

開くや、今迄中花一家と仲良くしていた幹部５人を裏切り者として

その場で射殺し、色んな場所に散らばっている戦闘員に指示を出した。

一方最初にAIと戦闘になったアジトの一団は、近くの中花一家の

組員まで射殺されてるのを発見した。


　しかしそれを何ら不可思議な事と考える者は皆無だ。中花一家は

今迄も偽装工作の為に平気で自分の仲間でさえ殺してきた連中だ。

今回とてどうせ混乱させようと思って仲間を犠牲にしたのだろう位

にしか思わなかった。その中花一家の本体はまだこの惨事を知らず、

隣町の縄張り内で未だのほほんとしてるのだった。


　中花一家は他の暴力集団の縄張り内にも６か所進出していたが、

米穀連合会はその全てに根回しして逆に協力するよう取りつけた。

ミニバンに分乗して覆面をかぶった有色人系達が６か所を同時に

襲撃、そこからの報せでやっと今回の騒ぎを知った中花一家の本体

も焦りながらも戦争の準備を開始した。


　中花一家とて巨大暴力集団、オープンカーからロケットランチャー

を撃つ準備や、戦闘用では無いがヘリコプターから機関銃で狙ったり

ダイナマイトを投下する用意はしてあった。だが米穀連合会はそんな

中花一家の戦力も把握していたので、全面戦争になったら確実に勝つ

為に普段からシュミレーションしていたのだった。