スーパーシティ ～放置国家～

第二章

第五話 作戦終了

　特殊警察による暴力集団壊滅作戦によって、関東で約１０００団体、

全国で合計約１５００団体が壊滅し、組員１０万～１１万名が射殺

され、一般人の被害者も数百に上った。組員は逮捕でなく射殺なのは、

捕まえても収容するのに手間と金がかかるからである。全国の暴力集団

は今回の作戦で約一割が減る事になった。

　
　住民はニュースや新聞で政府主導による壊滅作戦で憎き暴力集団を

情け容赦なく成敗してくれた事を圧倒的に支持した。しかも人権団体

からは何故か巻き添えになった一般人よりも、問答無用で射殺された

組員にも人権はあったはずだとの声が上がったので、一般人が巻添え

になった事の怒りは政府でなく人権団体に向けられた。


　また政府がその気になればやれた事を、何故今迄放置していたのか

という疑問を持つ者も一部で現れ始めた。もっと以前から本気でこの

問題に取り組んでいれば、少なくとも一般人の被害を抑えられたはず

であり、更に言えば暴力集団が生まれる原因である貧困や格差を解消

出来る政策を取る機会は、バブル崩壊から６０年の間にあったハズだ。


　日本は過去８０年前後に大きな転換期を迎えこんにちに至ると言われ

ている。例えば１８６５年の明治維新で侍の時代が終わり、イギリスを

手本とした国に生まれ変わった。その後連戦連勝だった日本は８０年後

の１９４５年にボロボロに敗北し、今度はアメリカの影響を受けた国に

生まれ変わったのだ。


　もっと遡れば６世紀の白村江の戦いで中国に敗れた後は、７０１年の

大宝律令により中国の律令制を採り入れた近代国家として再スタート

しており、ぴったり８０年では無いが大体８０年周期でこのような変革

が起きていたのだが、１９４５年から１００年以上、上辺だけの平和を

享受しながら、貧困等外国の悪い部分だけ採り入れて来た感がある。