スーパーシティ ～放置国家～

第二章

第四話 賄賂

　サミットを成功させる為にその周辺の暴力集団が次々と壊滅させ

られたが、その空白地帯に別の暴力集団が入り込んだり、勢力図が

変化するのを防ぐ為に、他の地域でもランダムに壊滅作戦は決行

された。その為急襲されていない暴力集団も空いた縄張りに入り込む

事は出来ずに身動きが取れない状態だった。


　むしろ次は自分達ではないかと疑心暗鬼に刈られ、その矛先は

一般市民にも向けられたが、そのうち生き残る為に敵対していた

暴力集団同士で話し合いが行われるようになった。一部は徹底抗戦

の構えを見せたが、ほとんどは特殊警察相手には勝てないと主張、

結局賄賂を渡して見逃してもらう方向で話がまとまった。


　あらかじめ大金を用意しておき、特殊警察が急襲に来たら大人しく

投降、金を渡したらお引き取りいただく段取りが全国的に広がった

が、これには特殊警察も所詮は外国人の傭兵なので対応はバラバラ

だった。金を受け取ったら退散する部隊もあれば、受け取った後に

密約を破って急襲してくる部隊もあった。


　しかし受け取った後に結局始末されるのであれば暴力集団に

何のメリットも無い。ならば最初から徹底抗戦した方がマシという

事になり、そうなると特殊警察は賄賂を貰えなくなってきて、益々

対応がバラバラになった。政府もこれには頭を悩ませたが、本来の

目的はそもそも暴力集団壊滅だ。


　そこで一応賄賂は解禁とした。もし急襲前に賄賂を渡して来た場合、

受け取った後に必ず壊滅させその賄賂は特例として受け取って良い

事とした。こうなると賄賂が激減して暴力集団からの徹底抗戦が

激しくなるが、一応賄賂公認となった事で隊員達のモチベーション

は維持された。