スーパーシティ ～放置国家～

第二章

第一話 壊滅作戦

　光組、紅蓮団、殺戮党とたった２日で３つの暴力集団が消滅した

その時、政府内では近々開かれるサミットの為に、全国にはびこる

暴力集団をどうするか話し合われていた。住民の為では無く、現状

スラムだらけで治安の悪さは世界一と言われる２０５０年の日本に

おいて、あくまで各国首脳へのメンツをどう保つかである。


　世界一治安が悪い国でもサミットを開けるのは過去の栄光に他

ならない。そしてこれが成功すれば、日本も多少は世界と肩を並べ

られるかもしれないのだ。その大事な客が街中を視察した時に、

もし暴力集団の末端構成員が悪さでもしたら世界の信用を失う事に

なるだろう。


　これが全国的に統制の取れた組織暴力なら、政府と裏社会のドン

が話し合いトップダウンで全国の組員にお達しが下って終わりだが、

統一組織が無く、半径１キロごとに縄張りを巡って２０人から１００人

程度の暴力集団が全国で日々、抗争を繰り返している現状では

どうしようも無い。


　政府の出した結論は、表向きは特殊警察を出動させて全国に数千

から数万あると言われる暴力集団を一掃する事だった。特殊警察は

一般的な民間警察では無く、政府直轄の体制維持部隊で隊員は外国人

の傭兵で組織されていた。この特殊警察の名を聞いて震え上がらない

暴力集団は先ず存在しない。


　今迄は政府要人に手を出さない限り特殊警察が出動する事はほぼ

無かったが、１つだけ過去に間違いから政府要人を襲ってしまった

暴力集団は、住民を盾にして籠城を試みた所、住民ごと射殺されて

全滅、さらにその町一帯が焼き払われ、マスコミが扱う事も無く地図

からは消え、殺された全員分のデータは一切消去された事があった。