スーパーシティ ～放置国家～

第五話 国民の生活

　労働人口の９割は非正規雇用、残りの１割は政治家やＡＩと

非正規労働者を活用する公務員と巨大企業の正社員と言われているが、

その１割についての情報はあまり無い。無いがゆえに漠然とした

イメージしかなく、国民は自分には関係の無い事だと考えている。


　少子化や人口減少は数十年前には問題になったが、２０５０年

には回復している。これは当時にしてみれば非正規雇用や収入減少

は恥ずかしい事で晩婚化や生涯未婚も増えたが、今やそれがごく

当り前なので悪い理由で結婚や出生率も上がったというわけだ。


　国民は本来耐震基準を満たしていないような老朽化した集合

住宅や、政府が買い上げた古い空き家などに安く住んでおり、

土地を持っていた者は過去に政府が財政立て直しの名目で行った、

預金封鎖と財産没収によって取り上げられてしまっている。


　この預金封鎖と財産没収は一応全国民から平等に半分没収する

政策だが、実質裕福な者は立て直し可能で、財産の少ない者は

土地等を維持する余力が無く全てを手放すしか無かった。しかし

それすらも財政難だから仕方ないと納得する者が大半だった。


　９割の国民は平均月収が２０万円で６万円を税金関連、残り

１４万円のうち６万円を暴力集団から徴収され、残り８万円で

生活せざるをえないので、どうしても劣悪な環境で生活するしか

無い。夫婦は共働きで１６万円で子供二人を養うのが定番だ。


　このような超格差社会と治安悪化は、国防を中国や韓国に忖度

してないがしろにし発言力が今迄以上に弱まり、経済はアメリカ

の言いなりで牛耳られた結果という見方もあるが、だとすれば

原因はそうなる前に関心を持たなかった国民にあるのかもしれない。