スーパーシティ ～放置国家～

第三話 日本政府

　労働人口の９割と言われる非正規職のスラムの住民は、日本政府の

事や国の仕組み等はイマイチ分かっていない。結局テレビ、マスコミは

おろかネットも運営会社が政府とズブズブの関係なので、それらが

流す情報を鵜呑みにするしか無く、また思考する能力も奪われている。

　
　国民が何となく分かっているのは、日本はまだ諸外国よりマシ

だという事、過去の日本は諸外国に多大なる被害を与えたという事、

国民全体が貧しいのは国民が努力を怠ったからという事、政府の

政策により状況は少しずつ良くなっているという事だけだ。


　しかし中にはこれらの情報に疑問を持つ者も少なからず存在する。

その中で噂されるのは、竹内平助なる政府中枢に居る人物だ。竹内は

いくつも会社を持っており、自分の会社が利益を上げる様に政策を

誘導しているらしいのだが、それが明るみに出る事は無い。


　何故かと言うと、彼を取り巻く他の政治家、マスコミ、巨大企業

連合、右派、左派も全て利害関係が一致しているので彼だけを

やり玉に挙げる理由は無く、これらも多かれ少なかれ彼の様に甘い

汁を吸う「勝ち組」である事には変わりは無いのだ。


　巨大企業連合が政府と繋がり、国の政策を左右する場合もあり、

そこから仕事を貰う立場にある中小零細企業もまた右へならえ

という事で、国民は直接的には暴力集団の支配を受け、間接的には

巨大企業連合の支配を受けている事になるのだ。


　そのような仕組みに気付き、声を上げようとした者は間違いなく

行方不明、自殺として処理される。もっとも、間接的支配者に目が

向かなくなるように、直接的支配者の暴力集団を自由にのさばらせて

いるという考えもあるが、真意の程はさだかでは無い。