スーパーシティ ～放置国家～

第二話 開かれ過ぎた国

　2050年の日本は確かにほとんどがスラムで犯罪多発地域だが、

無政府状態では無い。国民全てに選挙権は有り民主主義なのは

昔から変わらない。しかし票は政治家が抱えている各地域の

暴力集団にコントロールされ、自由に入れる事は許されないのだ。

　
　そしてこの国の半分は外国人で、外国人にも選挙権があるので

それぞれの政党の主張はコロコロ変わる。なので人々は自由に

票を入れられなくても、元々どこにも期待していないので特に

憤る事は無かった。

　
　外国からの日本への入国は完全に自由だ。今は地獄と化した

ので入国を希望する者は減ったが、安い労働力確保の為に自由化

した当時は世界中から人々が押し寄せた。その外国人が日本の

非正規労働者よりも安い賃金で働かされているのが実態だ。


　そして生活苦や不満から日本の暴力集団に加入する者、同じ

出身国の者同士で暴力集団を結成する者が現れ、また日本人

からもこれらを排除する為に新たに暴力集団を結成する者や、

仕事を奪われて暴力集団に加入する者も現れた。


　入国が自由でマトモな軍事力、警察力が無い日本は外国に

拠点を置く組織暴力からは格好の餌食で、日本の暴力集団も

麻薬や武器を調達するのに利害関係が一致していた。なので

外国に拠点を置く組織の支部も日本には存在する。


　
　日本の暴力集団は大きくても１００人程度だ。過去には

数千から数万人規模の巨大組織も存在したようだが全く

音沙汰が無くなり、代わりに小さい集団が数千から数万団体

あると言われている。組員の総数は過去の数百倍にも及ぶ。