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ここでの生活 第1話
しおりを挟む朝の街は既に買い物客で賑わっていた。
市場には、新鮮な野菜や魚が沢山並べられており、蕎麦やてんぷらなどの屋台も朝から人気のようだ。
呉服屋や簪などの雑貨がある店も多くある。確かに一番の繁華街というだけあり、沢山の人が商品を眺めている。
町並みは中央の川に沿って開かれており、川にも屋形船や漁師の方が働いている姿が見える。
「そこに馴染みの呉服屋がある。少し寄ってもいいか。」
「はい。勿論です!」
私は、神楽さんが指した呉服屋に入った。
神楽さん御用達ということもあり、立派なたて構えの呉服屋さんで、色とりどりの着物や反物が並んでおり繁盛店ということがわかる。
神楽さんは店員さんに真面目な顔で何か注文をしているようだ。お仕事かな。休みの日にも……大変だなぁ。
私は、その間、商品を眺める。空色に桃の花が描かれた反物に目が留まる。綺麗だなと眺めていると、いつのまにか、神楽さんが傍に来ていた。
「……すまない、この反物を彼女用に仕立ててくれないか?」
「はい。かしこまりました!ありがとうございます!」
「そ、そんな、私はただ見てただけなので!」
「折角だ、俺から君に贈ろう。あって損はないだろう。こう見えても稼ぎはあるので、金の心配はしなくていい。」
「は、はい!ありがとうございます!」
すごいなぁ、この世界の男性ってみんなこうなのかしら、男気があるっていうか……、私は顔が赤くなるのが分かった。女性に人気がでるのも頷けるなぁ。
着物の仕立てには時間がかかるそうで、後日改めて取りに来ることになった。
その後は、街を少し歩き、私達は、休憩がてら甘味処に入った。
お店はこじんまりとしているが、人気店のようで、縁台はほとんど客で埋まっている。壁に貼ってあるお品書きには、みたらし、小豆のお団子や最中、みつ豆、ところてんなど美味しそうな和菓子が掲げられている。
「桃子、ここは団子の名店でな。」
「なるほど、沢山種類もありますもんね。」
全部おいしそうだなぁ。悩むけど、おすすめのお団子にしようか。
「あら、神楽さん!お久しぶりですね!……ご注文はお決まりですか?」
私たちが注文を考えていると、暖色の着物を着た可愛らしい店員さんがお茶を持って来てくれた。
どうやら神楽さんとお知り合いみたいだ。
「はい。定番のみたらし団子にします!神楽さんは?」
「俺は、ところてんを頼む。」
「はぁい!かしこましました!少しお待ちくださいね~。」
店員の女の子は、神楽さんの肩にポンと手を置き、炊事場へと戻っていった。
その時、こちらを見て一瞬怖い顔をしていた……気がしたが、気のせいだと思いたい。
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