黎明のカサブランカ

浮嶋 ひかり

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2章

夕暮れのプリズム 第3話

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 御籐組屋敷で御籐は、組関係の仕事をしていた。相変わらず、執務室内は朱で染められ豪華絢爛である。いつもなら組のことは大方、部下に任せているが、今日の御籐は最近の中では少し機嫌がいい方であった。

御籐は、書類を見ながら今日見た夢のことを思い出していた。自分の若いころの夢だ。ゆめと過ごしている頃だった。珍しく御籐は物思いにふけた。



 そのときであった。若衆が御籐の元へ駆け寄る。

「親父!仲澤組長から、至急にと重要文書のようです。」

「なんや!寄越せ!」

十中八九、ゆめのことだろう。御籐はすぐさま手紙を開く。読みながら、御籐の額には汗が伝う。

「すぐに岩倉の兄弟と釧路くんにここん来るよう連絡せぇ!お前らはいつでも出られるよう準備しとけ!お前はすぐ車寄越せや!」

御籐は、そう指示をし、支度を整え、部下の運転する車へ乗り込んだ。



 「……ゆめ、だからお前は、俺に会いに来てくれたんやな……。」

御籐は、そっと一人で呟いた。



 「御籐さん!ゆめちゃんは、今、六華スタジオにいるよ!今なら、まだ組員も少ない!連れ出すなら今しかない!」

御籐は、岩倉と釧路と合流し、六華スタジオへ向かっていた。

「おぉ。いよいよ、直接対決か。着いたらどうやって入るつもりや?」

岩倉は、着ているジャケットの腕を捲る。その腕には、びっしりと桜の彫が入っている。

「……まどろっこしいのは、性に合わん。正々堂々、正面突破や。……釧路くんは、先に俺の頼んだことを片付けといてくれ。俺らは、ゆめを連れ出したら、六華武道場へ向かう。そこで合流や。」

御籐は、真っ直ぐと答えた。

「よっしゃ!流石兄弟や!そう来なくっちゃな!」

「おっけー!任しとしてよ!」



 「御籐の親父さん!我々が既に中で、涼明さんを探してます!こちらへ!」

御籐達が、六華スタジオに着くと、先にいた仲澤組の組員が、白明会の組員、金代組の組員と対峙していた。

「親父!ここは、俺たちに任せて、早く中へ!」

御籐組の若衆も続々と到着し、加担する。

「おう!…恩に着るで!」

御籐と岩倉は軽々と敵襲を躱し、中へ突入した。

御籐と岩倉は、敵を軽々と片付けていく。しかし、流石の護衛の数だ。中々、ゆめに会えなかったのも頷ける。

「御籐、そこまでや。てめぇ、誰に逆らってんのか、分かっとるんか?あぁ?」

御籐と岩倉の前に現れたのは、金代組の古参の組員であった。

「……お前こそ、誰に口利いとるか、分かっとるんやろうなぁ?」

御籐が凄むと、古参の組員は怯むが、数に物を言わせ、御籐達に襲い掛かった。
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