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序章
明けの明星 第1話
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「ほーん。で、その可愛い子ちゃんと、ちゃっかり同棲までしとんのか。こっちは、お前の生死の心配をしとったちゅうんに、心配無用やったな。」
御籐の管理するバー・クラリスは、それほど広い店内ではないが、今日も常連の客で賑わっている。
御籐の兄弟分である岩倉 喜一は、日本酒のロックを片手に眉をしかめた。
「まぁ、そう言うな兄弟。あら、誰でも惚れんで。」
御籐も久々の兄弟との会話で、酒のペースも上がっている。
「へぇ。そないな美人やったら是非、拝ましてもらおうか。」
岩倉は、したり顔で御籐を見た。
「……ええけど。俺の女やぞ。惚れんなよ」
御籐は酒が入ってるせいか、顔が赤い。
「男の嫉妬は醜いでぇ。勘弁してや。そういや、組への借金ほとんど返済できたらしいな。えらいスピードや、流石御籐って皆褒めたで。……ただな、兄弟。お前、菊矢のカシラだけは、ホンマに気をつけとけよ。」
岩倉は急に真剣な表情で御籐に語りかける。
「……どういうことや。」
御籐は眉をひそめた。
「お前があんまりにも仕事が出来過ぎるからや。カシラの座、奪われる前になんとか、お前を潰したるって考えとる。専らの噂や。汚いやり口でのし上がってきた人や、弱みは見せん方がええで。」
心当たりがないわけではない。実際に、御籐のケジメの決定打を打ったのは、菊矢のカシラのようなものだ。カシラとサシでやり合えば、まず負けることはないだろうが、そんな正統法をあの人が取らせてくれるとも思えない。
「……忠告ありがとうな。気つけとくわ。」
御籐は、岩倉と別れ、帰路に着いた。
「ゆめちゃーん。帰ったでー。」
御籐は、兄弟と相当な量の飲酒をしており、いつになく上機嫌である。
「あっ!お帰りなさいってどれだけ、飲んだの?靴脱げる?」
「アカンねん。ゆめちゃん。脱がしてや。」
御籐は、自分で脱げない程、酔っているわけではなかったが、できたばかりの恋人に無性に甘えたい気分であった。ゆめは、御籐の革靴を脱がせ、スーツも皴にならないようにハンガーにかけている。
「今日は誰と呑んでたの?」
「んー?岩倉ちゅう俺の兄弟分や。そういや、今度ゆめに会いたがってたで。」
それを聞き、ゆめは、少し焦ったように表情を変える。
「わ、私もなるべく早く会いたい、その岩倉さんって人に。」
「なんや、どうした?急に焦って」
御籐も、ゆめの様子が気になった。
「御籐さんの兄弟の人なんでしょ?なるべく早めに挨拶しておきたいの」
御籐は、そんなものかと少し無理に納得した。そんな御籐の前に、ゆめは手書きの紙を渡す。
「これ、この地図の場所に、私の大切なものが入ってる。暗証番号も伝えておくね。私より、御籐さんに持っていて貰いたいの。でも、すぐに開けないで。御籐さんが、私にとって本当に必要だって思ったときに開けてほしい。」
御籐は、すぐに理解できず、真剣に話すゆめの顔を見つめる。
テレビからは、今流行りの曲を少女が歌う曲が流れているが、今の御籐には耳に入らなかった。
「詳しいことは、今は話せないけど、いずれ分かると思う。信頼できるのは御籐さんだけなの。」
ゆめはいつになく、真剣な表情をしていた。
「……分かった。俺に任せとけ。理由は、よう分からんが、絶対お前を危ないめには、あわせん。なんか俺にできることがあんなら、必ず相談しろや。それも約束やで。」
御籐もそれは、譲ることができなかった。
「うん。ありがとう。誰よりも頼りにしてるよ。」
御籐はゆめを抱きしめ、キスをする。次第に二人のキスは深くなっていった。
「ふふ。お酒臭いよ。」
ゆめが御籐の頬を撫でる。
「久々にめっちゃ呑んだわ……よっと。」
御籐がゆめを抱えたまま後ろに倒れる。
「今日はゆめからしてやー。」
御籐は今日はどこまでも甘えたな気分らしい。
「もう、ゆめからなんてできないよっ」
ゆめは頬を膨らますも、御籐のシャツに手をかけている。
「やぁん。ゆめちゃんのスケベ。」
とふざける御籐の目つきは厭らしい。途中までは、甘えたモードであったが、たどたどしいゆめにじれったくなったのか、最終的にゆめは御籐に喰われた。
御籐の管理するバー・クラリスは、それほど広い店内ではないが、今日も常連の客で賑わっている。
御籐の兄弟分である岩倉 喜一は、日本酒のロックを片手に眉をしかめた。
「まぁ、そう言うな兄弟。あら、誰でも惚れんで。」
御籐も久々の兄弟との会話で、酒のペースも上がっている。
「へぇ。そないな美人やったら是非、拝ましてもらおうか。」
岩倉は、したり顔で御籐を見た。
「……ええけど。俺の女やぞ。惚れんなよ」
御籐は酒が入ってるせいか、顔が赤い。
「男の嫉妬は醜いでぇ。勘弁してや。そういや、組への借金ほとんど返済できたらしいな。えらいスピードや、流石御籐って皆褒めたで。……ただな、兄弟。お前、菊矢のカシラだけは、ホンマに気をつけとけよ。」
岩倉は急に真剣な表情で御籐に語りかける。
「……どういうことや。」
御籐は眉をひそめた。
「お前があんまりにも仕事が出来過ぎるからや。カシラの座、奪われる前になんとか、お前を潰したるって考えとる。専らの噂や。汚いやり口でのし上がってきた人や、弱みは見せん方がええで。」
心当たりがないわけではない。実際に、御籐のケジメの決定打を打ったのは、菊矢のカシラのようなものだ。カシラとサシでやり合えば、まず負けることはないだろうが、そんな正統法をあの人が取らせてくれるとも思えない。
「……忠告ありがとうな。気つけとくわ。」
御籐は、岩倉と別れ、帰路に着いた。
「ゆめちゃーん。帰ったでー。」
御籐は、兄弟と相当な量の飲酒をしており、いつになく上機嫌である。
「あっ!お帰りなさいってどれだけ、飲んだの?靴脱げる?」
「アカンねん。ゆめちゃん。脱がしてや。」
御籐は、自分で脱げない程、酔っているわけではなかったが、できたばかりの恋人に無性に甘えたい気分であった。ゆめは、御籐の革靴を脱がせ、スーツも皴にならないようにハンガーにかけている。
「今日は誰と呑んでたの?」
「んー?岩倉ちゅう俺の兄弟分や。そういや、今度ゆめに会いたがってたで。」
それを聞き、ゆめは、少し焦ったように表情を変える。
「わ、私もなるべく早く会いたい、その岩倉さんって人に。」
「なんや、どうした?急に焦って」
御籐も、ゆめの様子が気になった。
「御籐さんの兄弟の人なんでしょ?なるべく早めに挨拶しておきたいの」
御籐は、そんなものかと少し無理に納得した。そんな御籐の前に、ゆめは手書きの紙を渡す。
「これ、この地図の場所に、私の大切なものが入ってる。暗証番号も伝えておくね。私より、御籐さんに持っていて貰いたいの。でも、すぐに開けないで。御籐さんが、私にとって本当に必要だって思ったときに開けてほしい。」
御籐は、すぐに理解できず、真剣に話すゆめの顔を見つめる。
テレビからは、今流行りの曲を少女が歌う曲が流れているが、今の御籐には耳に入らなかった。
「詳しいことは、今は話せないけど、いずれ分かると思う。信頼できるのは御籐さんだけなの。」
ゆめはいつになく、真剣な表情をしていた。
「……分かった。俺に任せとけ。理由は、よう分からんが、絶対お前を危ないめには、あわせん。なんか俺にできることがあんなら、必ず相談しろや。それも約束やで。」
御籐もそれは、譲ることができなかった。
「うん。ありがとう。誰よりも頼りにしてるよ。」
御籐はゆめを抱きしめ、キスをする。次第に二人のキスは深くなっていった。
「ふふ。お酒臭いよ。」
ゆめが御籐の頬を撫でる。
「久々にめっちゃ呑んだわ……よっと。」
御籐がゆめを抱えたまま後ろに倒れる。
「今日はゆめからしてやー。」
御籐は今日はどこまでも甘えたな気分らしい。
「もう、ゆめからなんてできないよっ」
ゆめは頬を膨らますも、御籐のシャツに手をかけている。
「やぁん。ゆめちゃんのスケベ。」
とふざける御籐の目つきは厭らしい。途中までは、甘えたモードであったが、たどたどしいゆめにじれったくなったのか、最終的にゆめは御籐に喰われた。
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