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スタンピード
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ハビット公爵邸の廊下。
そこに集った者達は、皆、凍りついていた。
王太子付きの騎士達は、衝撃の展開に剣を構えたまま、二柱や公爵側の人間は驚きと戸惑いがせめぎあって動けない。
剣を振るった当人のフッツメーンとて、理解不能な性剣の効果に口をパクパクさせたまま立ち尽くしている。
ルイドート・ハビット公爵は、その中心で、頭髪を散らかせたまま、裸うずくまっていた。
その呪われた状態からいち早く抜け出したのは、公爵夫人のノーラだった。
「あ、あなたっ!」
夫の元に駆け寄ったノーラは、夫の体を確め、衣服だけが斬られている事に気づき、安堵の息を吐いた。
そして、「誰か、羽織るものをお願い!」と声を上げた。
クリソックスは、「その願い、聞きとげた」とノーラに告げるや、『靴下召喚』と『靴下ラッピング』を行った。
ルイドートの頭部は、無事にトナカイ柄の靴下を装着した。
「あ、ありがとうございます。クリソックス様」
ルイドートは、気持ちも穏やかに、立ち上がった。
「なんと気持ちのよい、付け心地……。安心感。『アデラネイチャー』とは比べ物にならぬ」
ルイドートは、頭部を優しさに包まれて、おおいに満足しているようだ。
先ほどの心もとない状態から回復したことで、平常心を取り戻した様子で、フッツメーンに詰問した。
「これは、どういうことですか?こともあろうに、神に刀を振るうとは!しかも、私まで巻き込んで!」
「神?お前はそこの邪神に洗脳されているんだ!そもそも、お前が勝手に私の前に出てきたんだろ!」
「洗脳などされていませんよ!あなたにはわからないのか?この泥団子の美しさがっ。元はとるに足らない不完全な存在の泥が、人の手で根気よく磨きあげられ、光を放ち始めるその瞬間の感動……!磨けば磨くほどに輝きを放ち、その果てしない光沢との旅路がどれほどまでに心の安寧をもたらすか!」
「こわいっ!怖いよ、お前っ!絶対、変な宗教に手を染めているだろっ!それより、この剣、何なんだー!?」
混乱して取り乱すフッツメーンから、
「ちょっと借りるよー」
と性剣エクスカリバーを取り上げたクリソックスは、近くの騎士に「えいっ」と斬りつけた。
途端に騎士の甲冑が弾け飛び、中の下着までが細切れになって床に散らばった。
「う、うわああっ」
甲冑を剥ぎ取られた一糸まとわぬ若い騎士が、腰を抜かしてへたりこんだ。
「面白いのう。その剣、身に付けておるものだけを細切れにする効果があるのか」
ドロンズが、クリソックスからエクスカリバーを取り、しげしげと見つめた後、おもむろにクリソックスを横一文字に斬りつけた。
だが、クリソックスの姿に何の変化もない。
「私達には効かないみたいだね」
「恐らく、身肉を傷つけぬようになっているのだろう。わしらは服を着ているように見えて、実は全裸だから、何の効果もないということじゃな」
「え、神様も、それ全裸なんですか?」
さっきからルイドートや若い騎士を見ないように、クリソックス達に目線を合わせていたルイドートの秘書マリエールが、顔を赤らめた。
一方、二柱の一連の行動を見て、呆然としていたフッツメーンは、
「嘘だろ、それ、勇者愛用の剣だぞ……」
と頭を抱えてしまった。
ルイドートは、フッツメーンを見て、眉をしかめて言った。
「本当に、王によく似て、短慮であらせられますな。勇者といえば、側室を増やし過ぎて国庫を空にした女好きで有名な方ですぞ!その剣の銘、『性剣エクスカリバー』からわかるでしょう。まともな効果がついた剣ではない、と」
「そういえば」と勇者の伝説を思い出したノーラがフッツメーンに言った。
「勇者は女子を一瞬で裸にする技を持っていたと聞いたことがあります。もしや、その剣を使っていたのでは?」
フッツメーンは呟いた。
「勇者の愛用の剣……。そういう愛用……」
ルイドートの眉間の皺が、ますます深くなる。
「勇者亡き後、封印された『性剣』。そう考えると、封印されたのも、その効果が後世に伝わらなかったのも、頷けるな」
「私が妻なら、絶対に夫が女子を裸にするために使った剣として後世に残したくはないですわね。かといって、勇者で夫の愛用の品を処分もできなかった。困ったものねえ」
公爵夫妻の会話に、フッツメーンはいたたまれなくなったようだ。
「う、うるさい、うるさいっ」
と叫び始めた。
「何にしても、この魔物が活性化している『大祓え』の年に、急に現れた神など、どう考えても邪神だろ!テイム不可能な魔物のオーガをテイムできたのが、その証拠だっ」
「この方達は邪神などではありませんぞ!」
「ルイドート、お前達は邪神に洗脳されているのだ。だから、王太子の私に逆らって、オーガの献上を断ったのだろう」
「何を言っているのですか。あのオーガは、神の従者ですよ?私が献上できるものではない。創世教の神殿の者とて、神のものを王家に差し出したりは……」
「はあ?王国の神殿のものは、王国のものだ!王国に住む者は、皆王国のものだ!何故なら我ら王族は、アインクーガ様の代理人である勇者の子孫だからだ。我らに逆らうは、アインクーガ様に逆らうのと同じだ!」
ルイドートは、呆れてフッツメーンを見た。
「これほどとは……」
(真性の阿呆だ)
とは、長年貴族をやってきたルイドートである。
口には出さなかったが、王国の未来は予想以上に暗澹たるものであると、認識を下方修正せざるを得なかった。
だが、まずはこの阿呆を捌かねばならない。
現状、自分は邪神の手先として、粛清対象にあると考えられるからだ。
「王太子……。フッツメーン殿下よ。よく考えて……」
その時である。
ウアアーーン、ウアアーーン、ウアアーーン……
シャリアータの町に、魔法通信士による警報が鳴り響いた。
「なんじゃ!?この低音ボイスのサイレンは!」
ドロンズが驚いてルイドートに尋ねる。
ルイドートは戸惑いながら答えた。
「魔法士による警報です。何らかの危機が迫る時、町の人間に頑丈な建物に避難を促すんです!一体何が……」
「それにしても、なんでこんなに渋い重低音なの?」
クリソックスが不思議そうに言った。
頬を紅潮させたノーラが、クリソックスに教える。
「それは、警報音を発している通信士が、町で一番渋い声と評されるライル(42歳男性、既婚)だからですわ。ライルの声がすると、町の女達は目をつぶって楽しんでしまうほどの人気で、警報音役は是非ライルにと要望が殺到しましたのよ。……はあ、やっぱり、この声、いいわあ」
「そんな美音サイレン、思わず目をつぶっちゃって逃げ遅れない?」
「それより、口で叫んでおるのか、このサイレン……」
突っ込みどころ満載であった。
そうこうしていると、公爵邸の兵士が慌ててこちらにやって来た。
「お取り込み中、失礼致します!大変です。先ほど、冒険者ギルドのナック・ケラーニ殿から『北の森の奥、遺跡にあるダンジョンから、魔物が溢れた。大規模なスタンピードに発展すると思われる』という報告がありました!冒険者ギルドでは、既にD級以上の冒険者に緊急召集がかけられ、門外に集まっています」
「なんだと!?」
ルイドートは、すぐに動いた。
「騎士団長のタローウに伝えよ。『公爵家の騎士、兵士を全員召集!門外にて待機させよ』と。それから、魔法通信士には『泥ソックス神殿と、公爵城内の避難所を解放するので、そちらへの避難を呼びかけるように』と伝えよ!」
「はっ」
兵士は走っていった。
ルイドートはマリエールに告げた。
「聞いての通りだ。民衆のハビット城内の避難所への誘導は任せる」
「はい」
マリエールは、目を伏せて答えた。
ノーラがルイドートに力強く言った。
「泥ソックス神殿の民衆の避難は、私が。あなたは、心置きなく、お仕事をなされませ!」
ルイドートはノーラの目を見て頷き、フッツメーンに目を向ける。
「フッツメーン様は、どうぞ城内でお待ちください。無事に乗り切りましたら、また続きを話し合いましょう」
フッツメーンは考えた。
こちらに到着しての魔物の氾濫。
もしかしたら、邪神が勇者の末裔である自分を始末するために、引き起こしているとしたら……。
(いや、ここに閉じ込めて、始末しようとしているのかもしれん)
疑い出せばきりがない。
自分はどこへ行けば安全なのか。
(だが、皆に戦わせて一人城にとじ込もっていれば、『王太子は臆病者』と笑われかねん!)
邪神の一人がルイドートに話しかけている。
「スタンピード、異世界あるある!私達も、討伐隊に絶対参加しますよおっ」
「おお、それはありがたい!泥団子や靴下の神様にお願いすることではないかもしれませんが、どうか、我らをお助けください」
「任せよ。せっかく増えた信者を奪われたくはないからのう」
「私も、行くぞ!私は、勇者の末裔だ!魔物など、恐れん!」
フッツメーンは、討伐隊に参加することを選んだ。
(もし、危なくなれば、この指輪があるからな)
『悪魔のエンゲージリング』。
これを使えば、まわりを魔物に囲まれていようと、五十の魔物の命を対価として、フッツメーンは一瞬で安全な王都に帰れるのだ。
「王太子よ、感謝致します」
ルイドートは礼をして、元来た廊下を見た。
「それでは、参りましょうか」
神二柱に、王太子、騎士達。
少し前まで敵対していた者達は、胸中の思惑はともかく、共にスタンピードに立ち向かうため、ルイドートと同じ方向を向いた。
そして、ルイドートを先頭に、城の外を目指して廊下を歩く。
失敗すれば、シャリアータは魔物に蹂躙されるかもしれない。
ルイドートのむき出しの尻は、緊張で固く引き締まっていた。
※何故か『スタンピード』を『パンデミック』と勘違いしておりました。
阿呆ですみません。
修正しました!
そこに集った者達は、皆、凍りついていた。
王太子付きの騎士達は、衝撃の展開に剣を構えたまま、二柱や公爵側の人間は驚きと戸惑いがせめぎあって動けない。
剣を振るった当人のフッツメーンとて、理解不能な性剣の効果に口をパクパクさせたまま立ち尽くしている。
ルイドート・ハビット公爵は、その中心で、頭髪を散らかせたまま、裸うずくまっていた。
その呪われた状態からいち早く抜け出したのは、公爵夫人のノーラだった。
「あ、あなたっ!」
夫の元に駆け寄ったノーラは、夫の体を確め、衣服だけが斬られている事に気づき、安堵の息を吐いた。
そして、「誰か、羽織るものをお願い!」と声を上げた。
クリソックスは、「その願い、聞きとげた」とノーラに告げるや、『靴下召喚』と『靴下ラッピング』を行った。
ルイドートの頭部は、無事にトナカイ柄の靴下を装着した。
「あ、ありがとうございます。クリソックス様」
ルイドートは、気持ちも穏やかに、立ち上がった。
「なんと気持ちのよい、付け心地……。安心感。『アデラネイチャー』とは比べ物にならぬ」
ルイドートは、頭部を優しさに包まれて、おおいに満足しているようだ。
先ほどの心もとない状態から回復したことで、平常心を取り戻した様子で、フッツメーンに詰問した。
「これは、どういうことですか?こともあろうに、神に刀を振るうとは!しかも、私まで巻き込んで!」
「神?お前はそこの邪神に洗脳されているんだ!そもそも、お前が勝手に私の前に出てきたんだろ!」
「洗脳などされていませんよ!あなたにはわからないのか?この泥団子の美しさがっ。元はとるに足らない不完全な存在の泥が、人の手で根気よく磨きあげられ、光を放ち始めるその瞬間の感動……!磨けば磨くほどに輝きを放ち、その果てしない光沢との旅路がどれほどまでに心の安寧をもたらすか!」
「こわいっ!怖いよ、お前っ!絶対、変な宗教に手を染めているだろっ!それより、この剣、何なんだー!?」
混乱して取り乱すフッツメーンから、
「ちょっと借りるよー」
と性剣エクスカリバーを取り上げたクリソックスは、近くの騎士に「えいっ」と斬りつけた。
途端に騎士の甲冑が弾け飛び、中の下着までが細切れになって床に散らばった。
「う、うわああっ」
甲冑を剥ぎ取られた一糸まとわぬ若い騎士が、腰を抜かしてへたりこんだ。
「面白いのう。その剣、身に付けておるものだけを細切れにする効果があるのか」
ドロンズが、クリソックスからエクスカリバーを取り、しげしげと見つめた後、おもむろにクリソックスを横一文字に斬りつけた。
だが、クリソックスの姿に何の変化もない。
「私達には効かないみたいだね」
「恐らく、身肉を傷つけぬようになっているのだろう。わしらは服を着ているように見えて、実は全裸だから、何の効果もないということじゃな」
「え、神様も、それ全裸なんですか?」
さっきからルイドートや若い騎士を見ないように、クリソックス達に目線を合わせていたルイドートの秘書マリエールが、顔を赤らめた。
一方、二柱の一連の行動を見て、呆然としていたフッツメーンは、
「嘘だろ、それ、勇者愛用の剣だぞ……」
と頭を抱えてしまった。
ルイドートは、フッツメーンを見て、眉をしかめて言った。
「本当に、王によく似て、短慮であらせられますな。勇者といえば、側室を増やし過ぎて国庫を空にした女好きで有名な方ですぞ!その剣の銘、『性剣エクスカリバー』からわかるでしょう。まともな効果がついた剣ではない、と」
「そういえば」と勇者の伝説を思い出したノーラがフッツメーンに言った。
「勇者は女子を一瞬で裸にする技を持っていたと聞いたことがあります。もしや、その剣を使っていたのでは?」
フッツメーンは呟いた。
「勇者の愛用の剣……。そういう愛用……」
ルイドートの眉間の皺が、ますます深くなる。
「勇者亡き後、封印された『性剣』。そう考えると、封印されたのも、その効果が後世に伝わらなかったのも、頷けるな」
「私が妻なら、絶対に夫が女子を裸にするために使った剣として後世に残したくはないですわね。かといって、勇者で夫の愛用の品を処分もできなかった。困ったものねえ」
公爵夫妻の会話に、フッツメーンはいたたまれなくなったようだ。
「う、うるさい、うるさいっ」
と叫び始めた。
「何にしても、この魔物が活性化している『大祓え』の年に、急に現れた神など、どう考えても邪神だろ!テイム不可能な魔物のオーガをテイムできたのが、その証拠だっ」
「この方達は邪神などではありませんぞ!」
「ルイドート、お前達は邪神に洗脳されているのだ。だから、王太子の私に逆らって、オーガの献上を断ったのだろう」
「何を言っているのですか。あのオーガは、神の従者ですよ?私が献上できるものではない。創世教の神殿の者とて、神のものを王家に差し出したりは……」
「はあ?王国の神殿のものは、王国のものだ!王国に住む者は、皆王国のものだ!何故なら我ら王族は、アインクーガ様の代理人である勇者の子孫だからだ。我らに逆らうは、アインクーガ様に逆らうのと同じだ!」
ルイドートは、呆れてフッツメーンを見た。
「これほどとは……」
(真性の阿呆だ)
とは、長年貴族をやってきたルイドートである。
口には出さなかったが、王国の未来は予想以上に暗澹たるものであると、認識を下方修正せざるを得なかった。
だが、まずはこの阿呆を捌かねばならない。
現状、自分は邪神の手先として、粛清対象にあると考えられるからだ。
「王太子……。フッツメーン殿下よ。よく考えて……」
その時である。
ウアアーーン、ウアアーーン、ウアアーーン……
シャリアータの町に、魔法通信士による警報が鳴り響いた。
「なんじゃ!?この低音ボイスのサイレンは!」
ドロンズが驚いてルイドートに尋ねる。
ルイドートは戸惑いながら答えた。
「魔法士による警報です。何らかの危機が迫る時、町の人間に頑丈な建物に避難を促すんです!一体何が……」
「それにしても、なんでこんなに渋い重低音なの?」
クリソックスが不思議そうに言った。
頬を紅潮させたノーラが、クリソックスに教える。
「それは、警報音を発している通信士が、町で一番渋い声と評されるライル(42歳男性、既婚)だからですわ。ライルの声がすると、町の女達は目をつぶって楽しんでしまうほどの人気で、警報音役は是非ライルにと要望が殺到しましたのよ。……はあ、やっぱり、この声、いいわあ」
「そんな美音サイレン、思わず目をつぶっちゃって逃げ遅れない?」
「それより、口で叫んでおるのか、このサイレン……」
突っ込みどころ満載であった。
そうこうしていると、公爵邸の兵士が慌ててこちらにやって来た。
「お取り込み中、失礼致します!大変です。先ほど、冒険者ギルドのナック・ケラーニ殿から『北の森の奥、遺跡にあるダンジョンから、魔物が溢れた。大規模なスタンピードに発展すると思われる』という報告がありました!冒険者ギルドでは、既にD級以上の冒険者に緊急召集がかけられ、門外に集まっています」
「なんだと!?」
ルイドートは、すぐに動いた。
「騎士団長のタローウに伝えよ。『公爵家の騎士、兵士を全員召集!門外にて待機させよ』と。それから、魔法通信士には『泥ソックス神殿と、公爵城内の避難所を解放するので、そちらへの避難を呼びかけるように』と伝えよ!」
「はっ」
兵士は走っていった。
ルイドートはマリエールに告げた。
「聞いての通りだ。民衆のハビット城内の避難所への誘導は任せる」
「はい」
マリエールは、目を伏せて答えた。
ノーラがルイドートに力強く言った。
「泥ソックス神殿の民衆の避難は、私が。あなたは、心置きなく、お仕事をなされませ!」
ルイドートはノーラの目を見て頷き、フッツメーンに目を向ける。
「フッツメーン様は、どうぞ城内でお待ちください。無事に乗り切りましたら、また続きを話し合いましょう」
フッツメーンは考えた。
こちらに到着しての魔物の氾濫。
もしかしたら、邪神が勇者の末裔である自分を始末するために、引き起こしているとしたら……。
(いや、ここに閉じ込めて、始末しようとしているのかもしれん)
疑い出せばきりがない。
自分はどこへ行けば安全なのか。
(だが、皆に戦わせて一人城にとじ込もっていれば、『王太子は臆病者』と笑われかねん!)
邪神の一人がルイドートに話しかけている。
「スタンピード、異世界あるある!私達も、討伐隊に絶対参加しますよおっ」
「おお、それはありがたい!泥団子や靴下の神様にお願いすることではないかもしれませんが、どうか、我らをお助けください」
「任せよ。せっかく増えた信者を奪われたくはないからのう」
「私も、行くぞ!私は、勇者の末裔だ!魔物など、恐れん!」
フッツメーンは、討伐隊に参加することを選んだ。
(もし、危なくなれば、この指輪があるからな)
『悪魔のエンゲージリング』。
これを使えば、まわりを魔物に囲まれていようと、五十の魔物の命を対価として、フッツメーンは一瞬で安全な王都に帰れるのだ。
「王太子よ、感謝致します」
ルイドートは礼をして、元来た廊下を見た。
「それでは、参りましょうか」
神二柱に、王太子、騎士達。
少し前まで敵対していた者達は、胸中の思惑はともかく、共にスタンピードに立ち向かうため、ルイドートと同じ方向を向いた。
そして、ルイドートを先頭に、城の外を目指して廊下を歩く。
失敗すれば、シャリアータは魔物に蹂躙されるかもしれない。
ルイドートのむき出しの尻は、緊張で固く引き締まっていた。
※何故か『スタンピード』を『パンデミック』と勘違いしておりました。
阿呆ですみません。
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