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やめたいのに!
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もううんざりですわ!と叫び、私はベッドから飛び下りた。
「俺はもう帰る」
「じゃあ俺も……」
王子たちは帰ろうとしている。
「あ、ちょっと待ってください! もうすこし……」
私は引き留めようとしたが、その隙にさっさと玄関に向かってしまった。
王子たちは私を置いて、とっとと帰ってしまったのだ。
「もうっ! 何で帰っちゃうのよ!」
私はぼすんっとベッドに倒れ込んだ。
もう嫌だ。この人たちとはやっていけないわ。
だけど今さらそんなこと言えないし……。
あ~、誰か助けて~!と心の中で叫んでいたそのとき――。
ドドドッ!と馬の蹄が駆ける音が聞こえてきて、私は思わずベッドから飛び下りた。
(馬?)
一階から階段を駆けあがってくる音がして、ドアがバアンと開いた。
「メリッサ様!」
現れたのは、なんとノーラだった。
ノーラはぜえはあと息を切らし、私の姿を見つけるなり、その場に崩れ落ちた。
「本当にごめんなさい……っ! わ、私はただ……っ」
ノーラが真っ青な顔で何度も謝るので、私は慌てて駆け寄った。
「どうしたの!? 何かあったの!?」
ノーラは悲しげな瞳で私を見た。
「……ミレーネ様が……このお屋敷から出ていってしまいました……」
ノーラによると、ミレーネは夜のうちに荷物を纏めて、メリッサの部屋を出ていくと、そのままこの屋敷を出て行ってしまったらしい。
(な、何ですって……!?)
「ど、どうして!?」
「……きっと私が皆さんのお邪魔をしたせいで……」
ノーラはぎゅっと唇を噛んだ。
私は急いで階段を駆け下りると、玄関を覗いた。本当にミレーネの荷物はなくなっていて、馬の蹄が地面を蹴ったような足跡だけが残されていた。
(なんてことなの……)
私は茫然とその場に立ち尽くした。
まさかミレーネがこんなことをするなんて……。
「メリッサ様、どうしましょう……」
ノーラが青い顔で聞いてきた。
「一体、何があったの?」
私が尋ねると、ノーラは言いにくそうに口ごもった。
「それが……実はミレーネ様が夜中にこっそりと私のところにいらして……」
ノーラによると、私が眠ったあとの深夜に突然ミレーネが現れて、メリッサの部屋に案内するように命じたらしい。
(一体どういうつもりなのかしら……?)
私は首を傾げた。
ミレーネが何を考えているのかさっぱり分からないわ……。
妹が本物の聖女様なのに、私が代役をしている間にまさか逃げられてしまうとは…。
「俺はもう帰る」
「じゃあ俺も……」
王子たちは帰ろうとしている。
「あ、ちょっと待ってください! もうすこし……」
私は引き留めようとしたが、その隙にさっさと玄関に向かってしまった。
王子たちは私を置いて、とっとと帰ってしまったのだ。
「もうっ! 何で帰っちゃうのよ!」
私はぼすんっとベッドに倒れ込んだ。
もう嫌だ。この人たちとはやっていけないわ。
だけど今さらそんなこと言えないし……。
あ~、誰か助けて~!と心の中で叫んでいたそのとき――。
ドドドッ!と馬の蹄が駆ける音が聞こえてきて、私は思わずベッドから飛び下りた。
(馬?)
一階から階段を駆けあがってくる音がして、ドアがバアンと開いた。
「メリッサ様!」
現れたのは、なんとノーラだった。
ノーラはぜえはあと息を切らし、私の姿を見つけるなり、その場に崩れ落ちた。
「本当にごめんなさい……っ! わ、私はただ……っ」
ノーラが真っ青な顔で何度も謝るので、私は慌てて駆け寄った。
「どうしたの!? 何かあったの!?」
ノーラは悲しげな瞳で私を見た。
「……ミレーネ様が……このお屋敷から出ていってしまいました……」
ノーラによると、ミレーネは夜のうちに荷物を纏めて、メリッサの部屋を出ていくと、そのままこの屋敷を出て行ってしまったらしい。
(な、何ですって……!?)
「ど、どうして!?」
「……きっと私が皆さんのお邪魔をしたせいで……」
ノーラはぎゅっと唇を噛んだ。
私は急いで階段を駆け下りると、玄関を覗いた。本当にミレーネの荷物はなくなっていて、馬の蹄が地面を蹴ったような足跡だけが残されていた。
(なんてことなの……)
私は茫然とその場に立ち尽くした。
まさかミレーネがこんなことをするなんて……。
「メリッサ様、どうしましょう……」
ノーラが青い顔で聞いてきた。
「一体、何があったの?」
私が尋ねると、ノーラは言いにくそうに口ごもった。
「それが……実はミレーネ様が夜中にこっそりと私のところにいらして……」
ノーラによると、私が眠ったあとの深夜に突然ミレーネが現れて、メリッサの部屋に案内するように命じたらしい。
(一体どういうつもりなのかしら……?)
私は首を傾げた。
ミレーネが何を考えているのかさっぱり分からないわ……。
妹が本物の聖女様なのに、私が代役をしている間にまさか逃げられてしまうとは…。
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