公爵令嬢の末っ子は、恋愛よりも大事にしたい事があるようで

公爵 麗子

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領主様も大変ですわ。

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公爵家の末っ子に生まれ…転生したリンデは、自分が次期領主になれると夢を見ている。容姿は美しいと評判の自分の母親によく似ていた。
ジルヴェスターを貶めて次期領主になれると信じていたし、フェルを蔑んで虐める姿は昔の母親そっくりだ。
「わたくしはアーレンスの次期領主ですもの。エーレンフェストの領主候補生とは違います」
そう言って、リンデは貴族院でもお茶会でもやりたい放題だった。
ローゼマインがいなければ、あの暴走を止められなくて、リンデは貴族院を卒業できなかったかもしれない。
「ローゼマインがエーレンフェストの領主候補生でよかったと思っている。おかげで私は大事な弟を失わずにすんだ」と感謝している。
ローゼマインとヴィルフリートが儀式を終えた数日後、シャルロッテも成人式を迎えた。
領地内の貴族の儀式が続く中、婚約の話を持ちかけられることもしばしばあった。その全てにシャルロッテは丁寧に断りの言葉を返している。
子供の頃に、「婚約については成人してから決める」なんて言ってしまったから…今になって美貌も相まって面倒が増えましたわ。
リンデがそう言って、上位領地や王族との縁組を望んでいないことは知られている。しかし、隣国の領主ダンケルを婿に欲しいと何度も申し込んでいるのだ。「婚約に前向きでないのでは婿に来てもらえません。リンデ様は本当に婚約を望んでいるのですか?」
「……いえ、あの、その……」
わたくしは次期領主なので、婚姻によって領地が拡大することは良い事だと思いますし……とリンデが呟く。隣国の使いでもあり、幼馴染であるシャルロッテは少し首を傾げた後、ニコリと笑った。
「お兄様もわたくしも洗礼式を終えたばかりで、お互いを知る時間はこれからですもの。ゆっくり考えましょう」
シャルロッテの言葉を聞いてリンデはパッと顔を明るくした。
隣国の領主ダンケルは、シャルロッテの兄だ。シャルロッテも婚約を前向きに考えているのだと、リンデは判断した。
「では、シャルロッテ様は婚約者を決めるための隣国のお茶会にわたくしを招いてくださいませ。お互いを知るために情報交換は大切ですもの」
「えぇ、こちらこそお願いしますね」
笑顔で手を取り合い、お茶会が終わった。リンデの予想と違い、シャルロッテとは側近も交えての情報交換に終始したのだが、シャルロッテの兄が次期領主の座を捨てようとしているのかもしれないという考えからリンデは目を逸らし予想通りの展開へと進むと安心できた。
こうして、リンデは隣国の領主ダンケル様との婚約に向いどうしたら気に入ってもらえるのかと努力していく。
そして、彼女の夢を叶えようとしていく。
しかし、ダンケル様はかなり奥手であり、シャイなので攻略には時間がかかりそうであった。
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