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第1章 レイレード国王と側近
ハーブ畑と謎の植物
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「国王様、閣下。ここまでご足労でございました。どうぞ椅子に腰をおかけ下さい。」
「すまないな、そうさせて貰おう。」
「ありがとう、エルフの族長。」
クリスタルとルーグは、今視察に来ている。場所は『エルフ』種の区域である。
この国では『エルフ』は、別名『妖精』『精霊』『ピクシー』といった種族も含まれている。要は長寿で自然と共生するのを好む、魔法に長けた種族の総称である。
そんな彼らが住まう、霧の深い森の中の街にある『エルフ』の族長宅に二人はお邪魔している。室内からでもハーブ類の爽やかな香りがする。クリスタルが椅子に座り、出されたハーブティーを一口飲む。以前と味の変化は無く、レモンの様な柑橘系の風味のするお茶である。
「報告では『ハーブの育ちが悪い』とか書かれていた。どのくらい悪いのか、族長本人から話が聞きたい。」
クリスタルの言葉に、エルフの族長が白く長い眉を下げながら答える。
「今年の収穫量が半減する可能性がございますして……。エルフの区域で主要で育てております『ハーブ』は、この国の一番の生産品であり、国民にお茶として一番飲まれる物。輸出も踏まえますと、国民の皆様に行き渡る数まで到達しません。申し訳ございません……。」
エルフの族長は頭を下げる。それにルーグは「顔を上げてくれ。」と言う。
「族長の事だ、色々知恵を絞って今まで対処してきてくれたんだろう? 今回は本当にどうにもならないから、報告書に誤魔化さず正直に『視察に来て欲しい』と書いてくれたのは俺達も分かっている。頭をそこまで下げて謝る事ではないさ。これは国を背負う俺達の問題でもあるんだ。」
ルーグの言葉に、族長は一度上げた頭を再度下げる。
「ありがとうございます! そう言って頂き有難い限りでございます。」
「族長、早速なんだがハーブの不作で何か思い当たる節はあるか?」
「それが、よく分からない植物が生えてしまっているのです。肥料も変えておりませんし、育て方も変わっておりません。それに、どうしてその植物が生えたのか原因が分からず、対策が欲しいのです。除草剤を撒く訳にも参りませんし、それは自然と共生する我らにとって、自然への最大の仇でございますので…………。」
困り顔のエルフの族長に、クリスタルは席を立つ。
「なら早速現場を見させてくれ。俺達なら分かる事があるかもしれない。」
「分かりました。こちらへどうぞ。」
__________
族長の家を出て程なくして見えたのは、一見緑豊かな畑である。室内より一層爽快感のある香りが漂っている。
しかし、いつもエルフが育てているハーブは少ない。ハーブの香りも、いつもとは違う様な、あいまいな違和感がする。話の通り、謎の植物が畑の半分を占領している。
「ご覧の有様です。何か手立てはありますでしょうか?」
「これは確かに収穫量が不安だな。まずは植物を見てみるか。」
ルーグは畑を占領する謎の植物を見てみる。本来ここの畑で育てられているハーブとは似ているが違う葉の形だ。クリスタルも植物に近づき、観察をする。
「国王様、いかがなされましたか? 何やら思い当たる節でもございましたか?」
「これは……。見た事ある品種かもしれない。族長、ちょっとこの葉を食べてもいいか? 食べればある程度なら品種が分かるから。」
「本当ですか! 是非どうぞ!」
クリスタルは一枚葉を千切って、匂いを嗅いでから食べる。暫くの咀嚼の後、隣にいるルーグへ向けて言った。
「これ、俺の温室にあるハーブの品種の改良前のハーブだ。」
「お前のハーブの親戚かよ!」
「すまないな、そうさせて貰おう。」
「ありがとう、エルフの族長。」
クリスタルとルーグは、今視察に来ている。場所は『エルフ』種の区域である。
この国では『エルフ』は、別名『妖精』『精霊』『ピクシー』といった種族も含まれている。要は長寿で自然と共生するのを好む、魔法に長けた種族の総称である。
そんな彼らが住まう、霧の深い森の中の街にある『エルフ』の族長宅に二人はお邪魔している。室内からでもハーブ類の爽やかな香りがする。クリスタルが椅子に座り、出されたハーブティーを一口飲む。以前と味の変化は無く、レモンの様な柑橘系の風味のするお茶である。
「報告では『ハーブの育ちが悪い』とか書かれていた。どのくらい悪いのか、族長本人から話が聞きたい。」
クリスタルの言葉に、エルフの族長が白く長い眉を下げながら答える。
「今年の収穫量が半減する可能性がございますして……。エルフの区域で主要で育てております『ハーブ』は、この国の一番の生産品であり、国民にお茶として一番飲まれる物。輸出も踏まえますと、国民の皆様に行き渡る数まで到達しません。申し訳ございません……。」
エルフの族長は頭を下げる。それにルーグは「顔を上げてくれ。」と言う。
「族長の事だ、色々知恵を絞って今まで対処してきてくれたんだろう? 今回は本当にどうにもならないから、報告書に誤魔化さず正直に『視察に来て欲しい』と書いてくれたのは俺達も分かっている。頭をそこまで下げて謝る事ではないさ。これは国を背負う俺達の問題でもあるんだ。」
ルーグの言葉に、族長は一度上げた頭を再度下げる。
「ありがとうございます! そう言って頂き有難い限りでございます。」
「族長、早速なんだがハーブの不作で何か思い当たる節はあるか?」
「それが、よく分からない植物が生えてしまっているのです。肥料も変えておりませんし、育て方も変わっておりません。それに、どうしてその植物が生えたのか原因が分からず、対策が欲しいのです。除草剤を撒く訳にも参りませんし、それは自然と共生する我らにとって、自然への最大の仇でございますので…………。」
困り顔のエルフの族長に、クリスタルは席を立つ。
「なら早速現場を見させてくれ。俺達なら分かる事があるかもしれない。」
「分かりました。こちらへどうぞ。」
__________
族長の家を出て程なくして見えたのは、一見緑豊かな畑である。室内より一層爽快感のある香りが漂っている。
しかし、いつもエルフが育てているハーブは少ない。ハーブの香りも、いつもとは違う様な、あいまいな違和感がする。話の通り、謎の植物が畑の半分を占領している。
「ご覧の有様です。何か手立てはありますでしょうか?」
「これは確かに収穫量が不安だな。まずは植物を見てみるか。」
ルーグは畑を占領する謎の植物を見てみる。本来ここの畑で育てられているハーブとは似ているが違う葉の形だ。クリスタルも植物に近づき、観察をする。
「国王様、いかがなされましたか? 何やら思い当たる節でもございましたか?」
「これは……。見た事ある品種かもしれない。族長、ちょっとこの葉を食べてもいいか? 食べればある程度なら品種が分かるから。」
「本当ですか! 是非どうぞ!」
クリスタルは一枚葉を千切って、匂いを嗅いでから食べる。暫くの咀嚼の後、隣にいるルーグへ向けて言った。
「これ、俺の温室にあるハーブの品種の改良前のハーブだ。」
「お前のハーブの親戚かよ!」
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