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4.伊野の部屋
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雨の降りしきる道端で屈みこんだ涼音は、伊野に手を引かれるままに涼音のバイト先からほど近い場所にあったマンションへと連れてこられていた。
涼音は渡されたタオルで髪を拭きながら、自分の行動がこれで正しかったのか、頭の中でグルグルと思考をめぐらせる。
伊野に連れられるままにされたのはもうこれで三度目。前に「警戒心がない」と言われたが、完全に否定できない。
いや、警戒はしている。でも、伊野に手を引かれると、なぜだか抵抗できない自分がいた。
「服、これ着て」
もうここまで来てはもうどうしようもない。涼音は言われるままに濡れた服を脱ぎ、伊野に渡されたTシャツに着替える。とは言えさすがにベルトの下で膨らんだままでいるものを晒すことは躊躇われ、伊野に背を向けた。
ところが、ベルトを外し、ズボンから足を抜いたところで伊野に手を掴まれた。
「いろいろ聞きたいことはあるけど、先に“それ”なんとかしよっか。ここに来るまでに萎えるかと思ってたけど、全然元気だね」
伊野はそのまま涼音の手を引き、ベッドの前まで連れて行くと、トンと肩を押してそこに座らせた。
すでに何度かこういうことをされていることと、今回は自分で伊野についてきてしまった手前、涼音は抵抗も反論もできない。涼音の前に屈み、欲のこもる伊野の瞳から視線をそらした。
「家の人、帰ってこないの」
マンションは明らかにファミリータイプで、一人暮らしには広すぎる。腕を引かれ、通り過ぎたリビングからしても家族と住んでいることは明らかだ。
でも、同じマンションの他の部屋とは違い、連れてこられたこの部屋だけは明かりがついていなかった。
今いるのは伊野の自室だろうか。ベッドと目いっぱい詰まった本棚、そして勉強机があるだけの実に飾り気のない部屋。まるで、いつもの無機質な目をした伊野そのもののような色のない部屋は、今、伊野の瞳にこもる熱にはまるでそぐわないように見えた。
「母親はいないし、父親は帰ってきても日跨いでからだから、大丈夫だよ」
なんとか振り絞った会話は時間稼ぎにすらならず、伊野は屈んだまま涼音に唇を重ねる。
「口がいい? 手がいい?」
「……手でいい」
「じゃー口ね」
無視するならなんで聞いたんだ、と涼音は思ったが、それが口に出る前に、伊野は涼音の下着をずらし、すでに立ち上がるものに舌を立て、下からなぞるように舐め上げた。
舌の這う感覚と涼音を見上げる伊野の目線に、涼音は鳥肌が立つほどの快感と興奮で、体が震える。
そんな涼音にかまうことなく、伊野は容赦なく吸い上げ、舌を絡ませる。涼音は、せりあがる快感で頭の芯がしびれ、どんどんと息は荒くなり、その動きに合わせて、あえかな声が漏れた。
「きもちよさそうだね、涼音くん」
「……うっ、ふぅ……うるさい。もう、出るからっ。飲まないでよ……んっ!」
一際大きく体を震わせて涼音が達すると、伊野はゴクンと喉を鳴らし、涼音が吐き出したものを飲み込んだ。
「……飲まないでって言った」
涼音は肩で息をしながら、少しうるんだ瞳で伊野を睨むが、伊野の目はその視線ですら舐めとるように唇を指でぬぐいながら、その端ペロリと舐めた。
「涼音くんに睨まれると、ホント興奮する」
「変態なの?」
「ははっ、そうかも。でも、こんな風になるのは涼音くんだけだよ」
伊野は涼音肩をグッと押してベッドに倒し、覆いかぶさるように涼音に跨ると、そのまま唇を塞いだ。
「んっ! ちょっと……!」
伊野から逃れようとする涼音を、伊野は後ろから拘束するように腕で抱え込み、服の裾から差し込んだ手で涼音の乳首をつまみ上げながら、固くなった自身を涼音に押しあてた。
「あっ……!」
「ホントは涼音くんの中に入りたいけど、それは涼音くんが俺のこと好きになってくれるまで待つね」
「な、なるわけないでしょ?! 絶対に無理!」
「なるよ、絶対に」
その言葉にカッとして、涼音は伊野を再び睨みつけるが、その先に見えた伊野の表情に、思わず短く息を飲み込む。
――あっ…また食べられる。
伊野は涼音を仰向けに返し、捕らえた獲物をじっくりと味うように白い背中を舐めつくすと、涼音の股の間に自身を挿し込み、耳元に唇を寄せて囁いた。
「好きだよ、涼音くん」
涼音をしごく腕の動きに合わせて腰を打ち付けながら、何度も同じ言葉を繰り返し囁く伊野の声は、まるで麻薬のように涼音の脳内を侵し、思考も体も溶かしていく。そこに残るのは、与えられる快感だけだった。
「あっ、あっ……もぅやめてっ………イく…っ」
「ふふっ、気持ちいね。かわいいな、涼音くん。ほんと好き」
そのまま達した涼音が、ぐったりとベッドに体を預けると、すぐに背に熱い液体がこぼれるのを感じた。
「ごめん、汚しちゃった。汗もかいたし、お風呂入ろっか」
伊野は涼音の背中をぬぐうと、そのまま抱き上げて歩き始めた。
「降ろして!」
「暴れると落ちちゃうよ~」
じたばたとする涼音をものともせず軽々と風呂場に運んだ伊野は、洗い場へ涼音を下し、Tシャツを脱がすと、座り込む涼音におもむろにシャワーの水を浴びせた。
「わっ冷た! 何し……あっ!」
涼音は慌てて膝を立てて股間を隠すが、伊野の表情を見てそれが手遅れであることを瞬時に悟った。
「やっぱり、濡れると勃っちゃうんだね。さっき出したばっかりなのに、元気だなぁ」
伊野は少し頬を紅潮させながら、唇の端を上げ、涼音を見下ろしていた。
その目に、涼音はまたゾクリと体を震わせる。
これは、恐怖なのか、それとも期待なのか……涼音の中に表現しようのない感情が渦を巻いていく。
ところが、伊野は涼音の警戒をよそに、自分も着ていた服を脱ぐとまた涼音を抱え上げ、湯船にザボンと二人で沈み込んだ。
また何かされると思っていた涼音としてはちょっとだけ拍子抜け。
でも、ここで警戒を解いては、また何かされるかわからない。抵抗が無駄であることはわかっているから、せめてもと身を縮め、ぎゅっと膝を抱えた。
「風邪ひくといけないから、温まりながら話そ」
「人に冷水を浴びせさておいて、よく言うよ」
「そうだね、ごめん。で、それは体質なの?」
伊野は不思議そうな顔をしながら、立ち上がった涼音の股間を指さした。涼音は伊野の視線からそれを隠すように膝を抱える腕にさらに力を込めた。
「体質って言うよりは、条件反射というか、トラウマというか……」
もうここまで来てはごまかしようもない。涼音は覚悟を決め下を向いたまま話始めた。
「僕、中高と水泳部だったんだ。結構強かったんだよ。高二の夏に地方大会で記録出して、初めて全国に行けるってなって……水泳始めてからずっと目標にしてたから、すごい嬉しかった」
あの時の見た誰もいない水面の先、触れたプールの壁の感触。今でも目を閉じればすぐに思い出せるほど、涼音の記憶に焼き付けられてしまっている。
「事故にあったのは全国大会の三日前だった。目、覚ましたら大会終わってるとか、ほんと笑うしかないでしょ」
涼音自身が濡れると勃ってしまうことに気が付いたのは、事故の後、リハビリの一環としてプールでの訓練を行うためにシャワーを浴びた時だった。
初めのころは偶然だと思っていたが、それが何度も続けば嫌でもそうではないことに気が付く。そんなこと親にも、リハビリを担当してくれた理学療法士にも打ち明けることができず、ただ“プールに入れなくなった”という心理的なトラウマを抱えているふりをした。
涼音がそのことを初めて人に打ち明けたのは、そのトラウマを和らげるためにと受けさせられた、カウンセリングの時だった。
「病院の先生が言うには、地方大会で味わった興奮とか快感とかの強い記憶が、事故のせいで全国大会に出られなかったっていう心残りのせいで過剰に反応して、性的なものと結びついちゃってるんじゃないかって。要は脳がバグってるんだよ」
「……そのバグの発生条件が、濡れることってこと?」
「そうそう。濡れると記憶と体がリンクしちゃうらしいよ。でも顔を洗うくらいくらいなら大丈夫だよ。プールに入った時と同じくらい、頭からずぶ濡れになるとダメ」
「それは、カウンセリングとかで治らないの?」
「無理だね。バグを解消するにはその根本を解決しないとダメでしょ? そもそもの原因が“事故のせいで全国大会に出られなかったこと”なんだから、どうしようもないでしょ」
涼音は明るく笑って見せたが、伊野はそれからしばらく黙ったままでいた。涼音はいたたまれなくなり、湯船から立ち上がって出ようとすると、その腕を伊野が引いた。
「バグが解消できないなら、条件を変えればいいんじゃない?」
「条件?」
伊野も湯船から立ち上がり、涼音の腕を引いて風呂場から出て、タオルを手に取る。
「今の発生条件……勃っちゃう条件は、“ずぶ濡れになる”だけなんだよね?」
「そうだけど……」
涼音も渡されたタオルで体を拭き、用意されたTシャツを着るが、まだ勃ち上がったままでいる“それ”をどうしようか、ととりあえずタオルを下半身に巻いたまま考えていたら、後ろから伊野に突然ひょいっと抱え上げられた。
「ちょ、ちょっと!」
伊野はそのまま自室に戻り、涼音をベッドに降ろすと、その正面に屈んで涼音の手を握った。
「その条件、俺に上書きさせてよ」
そうにっこりと笑って見せた伊野の瞳は、無機質なそれとも、欲のこもったそれとも違う、優しさのこもったものだった。
涼音は渡されたタオルで髪を拭きながら、自分の行動がこれで正しかったのか、頭の中でグルグルと思考をめぐらせる。
伊野に連れられるままにされたのはもうこれで三度目。前に「警戒心がない」と言われたが、完全に否定できない。
いや、警戒はしている。でも、伊野に手を引かれると、なぜだか抵抗できない自分がいた。
「服、これ着て」
もうここまで来てはもうどうしようもない。涼音は言われるままに濡れた服を脱ぎ、伊野に渡されたTシャツに着替える。とは言えさすがにベルトの下で膨らんだままでいるものを晒すことは躊躇われ、伊野に背を向けた。
ところが、ベルトを外し、ズボンから足を抜いたところで伊野に手を掴まれた。
「いろいろ聞きたいことはあるけど、先に“それ”なんとかしよっか。ここに来るまでに萎えるかと思ってたけど、全然元気だね」
伊野はそのまま涼音の手を引き、ベッドの前まで連れて行くと、トンと肩を押してそこに座らせた。
すでに何度かこういうことをされていることと、今回は自分で伊野についてきてしまった手前、涼音は抵抗も反論もできない。涼音の前に屈み、欲のこもる伊野の瞳から視線をそらした。
「家の人、帰ってこないの」
マンションは明らかにファミリータイプで、一人暮らしには広すぎる。腕を引かれ、通り過ぎたリビングからしても家族と住んでいることは明らかだ。
でも、同じマンションの他の部屋とは違い、連れてこられたこの部屋だけは明かりがついていなかった。
今いるのは伊野の自室だろうか。ベッドと目いっぱい詰まった本棚、そして勉強机があるだけの実に飾り気のない部屋。まるで、いつもの無機質な目をした伊野そのもののような色のない部屋は、今、伊野の瞳にこもる熱にはまるでそぐわないように見えた。
「母親はいないし、父親は帰ってきても日跨いでからだから、大丈夫だよ」
なんとか振り絞った会話は時間稼ぎにすらならず、伊野は屈んだまま涼音に唇を重ねる。
「口がいい? 手がいい?」
「……手でいい」
「じゃー口ね」
無視するならなんで聞いたんだ、と涼音は思ったが、それが口に出る前に、伊野は涼音の下着をずらし、すでに立ち上がるものに舌を立て、下からなぞるように舐め上げた。
舌の這う感覚と涼音を見上げる伊野の目線に、涼音は鳥肌が立つほどの快感と興奮で、体が震える。
そんな涼音にかまうことなく、伊野は容赦なく吸い上げ、舌を絡ませる。涼音は、せりあがる快感で頭の芯がしびれ、どんどんと息は荒くなり、その動きに合わせて、あえかな声が漏れた。
「きもちよさそうだね、涼音くん」
「……うっ、ふぅ……うるさい。もう、出るからっ。飲まないでよ……んっ!」
一際大きく体を震わせて涼音が達すると、伊野はゴクンと喉を鳴らし、涼音が吐き出したものを飲み込んだ。
「……飲まないでって言った」
涼音は肩で息をしながら、少しうるんだ瞳で伊野を睨むが、伊野の目はその視線ですら舐めとるように唇を指でぬぐいながら、その端ペロリと舐めた。
「涼音くんに睨まれると、ホント興奮する」
「変態なの?」
「ははっ、そうかも。でも、こんな風になるのは涼音くんだけだよ」
伊野は涼音肩をグッと押してベッドに倒し、覆いかぶさるように涼音に跨ると、そのまま唇を塞いだ。
「んっ! ちょっと……!」
伊野から逃れようとする涼音を、伊野は後ろから拘束するように腕で抱え込み、服の裾から差し込んだ手で涼音の乳首をつまみ上げながら、固くなった自身を涼音に押しあてた。
「あっ……!」
「ホントは涼音くんの中に入りたいけど、それは涼音くんが俺のこと好きになってくれるまで待つね」
「な、なるわけないでしょ?! 絶対に無理!」
「なるよ、絶対に」
その言葉にカッとして、涼音は伊野を再び睨みつけるが、その先に見えた伊野の表情に、思わず短く息を飲み込む。
――あっ…また食べられる。
伊野は涼音を仰向けに返し、捕らえた獲物をじっくりと味うように白い背中を舐めつくすと、涼音の股の間に自身を挿し込み、耳元に唇を寄せて囁いた。
「好きだよ、涼音くん」
涼音をしごく腕の動きに合わせて腰を打ち付けながら、何度も同じ言葉を繰り返し囁く伊野の声は、まるで麻薬のように涼音の脳内を侵し、思考も体も溶かしていく。そこに残るのは、与えられる快感だけだった。
「あっ、あっ……もぅやめてっ………イく…っ」
「ふふっ、気持ちいね。かわいいな、涼音くん。ほんと好き」
そのまま達した涼音が、ぐったりとベッドに体を預けると、すぐに背に熱い液体がこぼれるのを感じた。
「ごめん、汚しちゃった。汗もかいたし、お風呂入ろっか」
伊野は涼音の背中をぬぐうと、そのまま抱き上げて歩き始めた。
「降ろして!」
「暴れると落ちちゃうよ~」
じたばたとする涼音をものともせず軽々と風呂場に運んだ伊野は、洗い場へ涼音を下し、Tシャツを脱がすと、座り込む涼音におもむろにシャワーの水を浴びせた。
「わっ冷た! 何し……あっ!」
涼音は慌てて膝を立てて股間を隠すが、伊野の表情を見てそれが手遅れであることを瞬時に悟った。
「やっぱり、濡れると勃っちゃうんだね。さっき出したばっかりなのに、元気だなぁ」
伊野は少し頬を紅潮させながら、唇の端を上げ、涼音を見下ろしていた。
その目に、涼音はまたゾクリと体を震わせる。
これは、恐怖なのか、それとも期待なのか……涼音の中に表現しようのない感情が渦を巻いていく。
ところが、伊野は涼音の警戒をよそに、自分も着ていた服を脱ぐとまた涼音を抱え上げ、湯船にザボンと二人で沈み込んだ。
また何かされると思っていた涼音としてはちょっとだけ拍子抜け。
でも、ここで警戒を解いては、また何かされるかわからない。抵抗が無駄であることはわかっているから、せめてもと身を縮め、ぎゅっと膝を抱えた。
「風邪ひくといけないから、温まりながら話そ」
「人に冷水を浴びせさておいて、よく言うよ」
「そうだね、ごめん。で、それは体質なの?」
伊野は不思議そうな顔をしながら、立ち上がった涼音の股間を指さした。涼音は伊野の視線からそれを隠すように膝を抱える腕にさらに力を込めた。
「体質って言うよりは、条件反射というか、トラウマというか……」
もうここまで来てはごまかしようもない。涼音は覚悟を決め下を向いたまま話始めた。
「僕、中高と水泳部だったんだ。結構強かったんだよ。高二の夏に地方大会で記録出して、初めて全国に行けるってなって……水泳始めてからずっと目標にしてたから、すごい嬉しかった」
あの時の見た誰もいない水面の先、触れたプールの壁の感触。今でも目を閉じればすぐに思い出せるほど、涼音の記憶に焼き付けられてしまっている。
「事故にあったのは全国大会の三日前だった。目、覚ましたら大会終わってるとか、ほんと笑うしかないでしょ」
涼音自身が濡れると勃ってしまうことに気が付いたのは、事故の後、リハビリの一環としてプールでの訓練を行うためにシャワーを浴びた時だった。
初めのころは偶然だと思っていたが、それが何度も続けば嫌でもそうではないことに気が付く。そんなこと親にも、リハビリを担当してくれた理学療法士にも打ち明けることができず、ただ“プールに入れなくなった”という心理的なトラウマを抱えているふりをした。
涼音がそのことを初めて人に打ち明けたのは、そのトラウマを和らげるためにと受けさせられた、カウンセリングの時だった。
「病院の先生が言うには、地方大会で味わった興奮とか快感とかの強い記憶が、事故のせいで全国大会に出られなかったっていう心残りのせいで過剰に反応して、性的なものと結びついちゃってるんじゃないかって。要は脳がバグってるんだよ」
「……そのバグの発生条件が、濡れることってこと?」
「そうそう。濡れると記憶と体がリンクしちゃうらしいよ。でも顔を洗うくらいくらいなら大丈夫だよ。プールに入った時と同じくらい、頭からずぶ濡れになるとダメ」
「それは、カウンセリングとかで治らないの?」
「無理だね。バグを解消するにはその根本を解決しないとダメでしょ? そもそもの原因が“事故のせいで全国大会に出られなかったこと”なんだから、どうしようもないでしょ」
涼音は明るく笑って見せたが、伊野はそれからしばらく黙ったままでいた。涼音はいたたまれなくなり、湯船から立ち上がって出ようとすると、その腕を伊野が引いた。
「バグが解消できないなら、条件を変えればいいんじゃない?」
「条件?」
伊野も湯船から立ち上がり、涼音の腕を引いて風呂場から出て、タオルを手に取る。
「今の発生条件……勃っちゃう条件は、“ずぶ濡れになる”だけなんだよね?」
「そうだけど……」
涼音も渡されたタオルで体を拭き、用意されたTシャツを着るが、まだ勃ち上がったままでいる“それ”をどうしようか、ととりあえずタオルを下半身に巻いたまま考えていたら、後ろから伊野に突然ひょいっと抱え上げられた。
「ちょ、ちょっと!」
伊野はそのまま自室に戻り、涼音をベッドに降ろすと、その正面に屈んで涼音の手を握った。
「その条件、俺に上書きさせてよ」
そうにっこりと笑って見せた伊野の瞳は、無機質なそれとも、欲のこもったそれとも違う、優しさのこもったものだった。
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