4 / 13
三歩目.二人で帰ろう。
しおりを挟む
先週のことがあってから、俺はすこぶる調子がよかった。なかなかコツが掴めなかったコンボも、攻略方法がわからなかった敵も、何かが下りてきたようにスムーズに進んだ。
今日もすごくノっている。こういう時は周りの音も、時間の流れもすべて頭の中から消え、まるでゲームの中に入り込んでいるような錯覚を起こす。
俺にとって、ゲームは生まれた時から当たり前にそこにあるものだった。
ただの遊びじゃなくて、死んだ父さんが教えてくれた、俺を構成するものの一つ。
もちろん楽しんでやってるけど、いつだって真剣に向き合ってる。
でも、それをわかってくれる人はもうこの世界にはいない。
ゲーム終えると、それまで止まっていた時間が周囲の音と共に戻ってきて、一気に現実に引き戻される。
この瞬間が、俺は嫌いだ。
「もう、九時半ですよ」
後ろから聞こえた声に、俺はビクッとして振り向くと、そこには腕を組んで壁にもたれかかって立つ、高槻がいた。
きれいな顔立ちに、バランスの取れた長い手足。そして、俺に向けられる優しい表情。
思わず見とれてしまう。
俺はこの世界が嫌いだ。
でも、高槻がいるなら、戻ってきてもいい気がした。
「お前はまた驚かせやがって……。いつからいたんだよ」
「んー、二十分くらい前からかな」
「別に途中でも声かけていいから。なんか用事だった?」
「いえ、一緒に帰りたいなと思って」
つまり、一緒に帰りたいがために、二十分も俺がゲームをしているところを黙ってみていたということ? 途中で声をかけて止めることだってできたはずなのに。
なぜだろう、気を抜いたら泣いてしまいそうだ。
「送っていきますよ」
目の前にいる高槻は、その声も、俺に向ける目も、すごく優しくて、それが俺だけに向けられるものであってほしい、そう思った。
前と同じように校門を出てから俺は高槻の自転車の後に乗り、背中を見つめる。
どんどん欲張りになってきている自覚がある。
もっと、俺のこと好きになって。
高槻の背中にそっと祈る。
それから高槻は、毎日のように迎えに来てくれるようになった。
バレー部の自主練が終わった九時過ぎに視聴覚室に来て、俺を自転車に乗せて家まで送ってくれる。時間にしたら多分数十分だけど、それでも、嬉しくて、楽しくて、幸せな時間だった。
でも、今日は金曜日だ。もしかしたら、先週と同じように少し早く来て、いつもより長く一緒にいられるかもしれない。こんなことを思うなんて、俺は相当重症だ。
高槻に“もっと好きになって欲しい”と思っているのに、俺の方がもっと好きになっている気がする。
いつものように部員たちが帰った八時過ぎ。
俺は、ついそわそわと教室のドアを気にしてしまい、全然ゲームに身が入らなかった。
こんなことは今まで一度もなかったのに。
でも、結局そのドアが開いたのは九時を過ぎてからだった。
「あれ、もう今日は終わりですか?」
「なんか調子悪くて。ってか、金曜だから早く来るかなと思ってたんだけど来なかったし」
つい、拗ねたような口調になってしまう。こんなのただの八つ当たりだ。
「誰か来る予定だったんですか?」
「いや、高槻のことだよ。前は金曜日にゲームやりに来たじゃん」
口に出してから、あっ、と思った。
これは、高槻を待ってた、って言ってるようなものだ。
「もしかして、待っててくれたんですか?」
やっぱりそう思うよな。顔から熱が噴き出す。
俺の反応を見て高槻は少し驚いた顔をした。
「そ、そういうわけじゃない」
俺は赤くなった顔を隠すように、腕で覆った。ものすごく恥ずかしい。
ふいに腕を掴まれ、反射的にビクッと体が震える。
でも、降ろされた腕の向こうに見えた高槻の顔があまりにも優しくて、心の中で固くなっていた何かが、溶けていくように感じた。
「なに、ニヤニヤしてるんだよ」
「いえ、何でもないです。帰りましょうか」
俺はいつものように視聴覚室の戸締りをして、カギは新校舎の職員室に返す。
その間に、高槻は自転車を取りに行き、校舎の前で待っていてくれる。
前までは、何も感じないまま、ボーっと歩くだけだった帰り道が、今は嬉しくて、楽しくて仕方がない。
今日もそうなるはずだったのに、その気持ちは一瞬で引っ込んだ。
職員室から出ると、そこにはこの学校で一番会いたくないやつがいたからだ。
「あっ火月……お疲れ。今から帰り?」
バレー部の部長、相原だ。
相原とは実家が隣で、いわゆる幼馴染。学年は相原が一つ上ではあるけど、中学まではよく遊んでいた。
でも、俺が高校に入ってからは一度も話をしていない。
俺は相原の問いかけを無視して、横を通り過ぎようとした。
でも、相原は俺の手をつかんで、それを許さなかった。
「待てよ、火月!」
超インドア派の貧弱な俺に対して、相原は身長百八十センチ越えのスポーツマン。
掴まれた腕を振り払うなんてできっこない。
あの時もそうだった。
俺を掴んで、俺の気持ちはお構いなしに、一方的に話をするだけ。
俺をコントロールしようとするやつは、みんなそうだった。
頭の中に嫌な記憶が流れ込んでくる。
「離せよ!」
「離したら逃げるだろ。話がしたいだけだから」
「俺は話すことなんてない!」
外で高槻が待っているのに。早くそこに行きたいのに。
心臓がバクバクして、頭が痛い。
俺の腕を掴んで、大きな声で俺の大切なものを否定する……忘れていたはずの記憶に頭が支配されていく。
……嫌だ。
記憶に足を取られ、動かなくなっていた体がふいに後ろに引かれ、俺をつかむ相原の手が離れた。
驚いて俺に覆いかぶさる影を見上げると、そこには高槻がいた。
「何してるんですか、相原さん」
高槻は後ろから俺を抱え込み、相原の手を掴んだまま、今まで聞いたことのないような低い声と鋭い眼で、相原を睨みつけていた。
「えっ、高槻?!」
突然の高槻の登場に相原は動揺して、表情がこわばっているし、俺も高槻に抱えられたまま、固まってしまっていた。
何だろう、この状況。
ただただ高槻の顔を見上げたままでいると、高槻は俺からも相原からもパッと手を離し、いつもの穏やかな表情に戻った。いや、戻した、が正しいかもしれない。
「部長がケンカなんてしたらまずいですよ。ほら、瀬良さんも。早く帰りましょう」
そう言って高槻は俺の手首をつかみ、スタスタとまるで連れ去るように外に向かって歩きだした。
「ちょ、ちょっと待て。俺は火月と話があるんだ」
引き留める相原を高槻がまた睨みつけると、相原はビクっと少し怯んだように見えた。
相原に向けた鋭い視線とは打って変わって、高槻は優しい顔で、俺の顔を覗き込む。
「瀬良さん、相原さんと話ありますか?」
「……ない」
高槻の登場に動揺しすぎて、まだ一言も発していなかった俺は、そう答えるのがやっとだった。
なぜか、高槻の目がまともに見れない。
「とのことなので、帰りますね。お疲れさまでした」
そう言って俺の腕を引く高槻に連れられるがまま校舎を出て、いつものように自転車の後ろにまたがって校門を出た。
少しの沈黙がたまらず、俺は高槻に話しかけた。
「高槻はやっぱりキレると怖いタイプな」
ふざけたように言ってみたけど、相原を前にしたときの高槻は怒っているように見えた。
さっきは突然の高槻の登場と、抱きかかえられたせいで動揺して、混乱していたけど、今考えれば、俺が嫌がってるのを見て助けてくれたんだ。
暗い記憶に沈みそうになっていた俺ごと、救い上げてくれた。
「すいません。余計なことしました……」
「いや、助かったよ。ありがと。でも高槻は大丈夫? あいつ部長だろ」
高槻はまだ一年生だ。部活の先輩、しかも部長を思いっきり睨んでいた。
そういうことに躊躇がないから、上級生から目を付けられるんだろう。
でも、正直嬉しい。もともと高槻の性格からして、先輩、後輩とか、そんなしがらみは気にもしていなさそうだけど、俺よりも圧倒的に接する時間が長い相原よりも、俺を優先して助けてくれたくれたんだから。
「う~ん、今度は相原さんにいじめられますかね」
「……あいつはそういうことはしないよ」
相原は悪いやつ、というわけではない。それどころか、すごくいいやつだ。愚痴も言わないし、人の悪口なんかも言ってるところは見たことがない。
まじめで、正義感も強い。俺も、仲が良かった頃は相当面倒を見てもらった。
それでも、俺にはどうしても許せないことがあった。
「なんで、ケンカしてるんですか」
まぁ当然気になるよな。でもケンカをしているわけではないんだ。
きっと相原は、俺がなぜ自分を拒絶するのか理解できていない。
ケンカにすらなってないんだ。
「……今は話したくない」
俺は高槻の背中に頭をもたれかからせ、思考の中から相原と、思い出しかけた嫌な記憶を追いやった。
その背中は暖かくて、少し早くなっている高槻の鼓動を感じる。
これは、自転車をこいでいるせいなのか、それとも俺がくっついているせいなのか……。
もし、後者だとしたら、嬉しい。
もっと、俺のことを意識してほしい。
高槻はそのまま黙って自転車をこぎ続け、気が付けば俺のマンションについていた。
「ありがとな」
「はい、じゃーまた来週。おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
手を振り、俺は背を向けてマンションの中に入った。
さっき思わず触れてしまったせいだろうか。体に残った熱はなかなか冷めなかった。
今日もすごくノっている。こういう時は周りの音も、時間の流れもすべて頭の中から消え、まるでゲームの中に入り込んでいるような錯覚を起こす。
俺にとって、ゲームは生まれた時から当たり前にそこにあるものだった。
ただの遊びじゃなくて、死んだ父さんが教えてくれた、俺を構成するものの一つ。
もちろん楽しんでやってるけど、いつだって真剣に向き合ってる。
でも、それをわかってくれる人はもうこの世界にはいない。
ゲーム終えると、それまで止まっていた時間が周囲の音と共に戻ってきて、一気に現実に引き戻される。
この瞬間が、俺は嫌いだ。
「もう、九時半ですよ」
後ろから聞こえた声に、俺はビクッとして振り向くと、そこには腕を組んで壁にもたれかかって立つ、高槻がいた。
きれいな顔立ちに、バランスの取れた長い手足。そして、俺に向けられる優しい表情。
思わず見とれてしまう。
俺はこの世界が嫌いだ。
でも、高槻がいるなら、戻ってきてもいい気がした。
「お前はまた驚かせやがって……。いつからいたんだよ」
「んー、二十分くらい前からかな」
「別に途中でも声かけていいから。なんか用事だった?」
「いえ、一緒に帰りたいなと思って」
つまり、一緒に帰りたいがために、二十分も俺がゲームをしているところを黙ってみていたということ? 途中で声をかけて止めることだってできたはずなのに。
なぜだろう、気を抜いたら泣いてしまいそうだ。
「送っていきますよ」
目の前にいる高槻は、その声も、俺に向ける目も、すごく優しくて、それが俺だけに向けられるものであってほしい、そう思った。
前と同じように校門を出てから俺は高槻の自転車の後に乗り、背中を見つめる。
どんどん欲張りになってきている自覚がある。
もっと、俺のこと好きになって。
高槻の背中にそっと祈る。
それから高槻は、毎日のように迎えに来てくれるようになった。
バレー部の自主練が終わった九時過ぎに視聴覚室に来て、俺を自転車に乗せて家まで送ってくれる。時間にしたら多分数十分だけど、それでも、嬉しくて、楽しくて、幸せな時間だった。
でも、今日は金曜日だ。もしかしたら、先週と同じように少し早く来て、いつもより長く一緒にいられるかもしれない。こんなことを思うなんて、俺は相当重症だ。
高槻に“もっと好きになって欲しい”と思っているのに、俺の方がもっと好きになっている気がする。
いつものように部員たちが帰った八時過ぎ。
俺は、ついそわそわと教室のドアを気にしてしまい、全然ゲームに身が入らなかった。
こんなことは今まで一度もなかったのに。
でも、結局そのドアが開いたのは九時を過ぎてからだった。
「あれ、もう今日は終わりですか?」
「なんか調子悪くて。ってか、金曜だから早く来るかなと思ってたんだけど来なかったし」
つい、拗ねたような口調になってしまう。こんなのただの八つ当たりだ。
「誰か来る予定だったんですか?」
「いや、高槻のことだよ。前は金曜日にゲームやりに来たじゃん」
口に出してから、あっ、と思った。
これは、高槻を待ってた、って言ってるようなものだ。
「もしかして、待っててくれたんですか?」
やっぱりそう思うよな。顔から熱が噴き出す。
俺の反応を見て高槻は少し驚いた顔をした。
「そ、そういうわけじゃない」
俺は赤くなった顔を隠すように、腕で覆った。ものすごく恥ずかしい。
ふいに腕を掴まれ、反射的にビクッと体が震える。
でも、降ろされた腕の向こうに見えた高槻の顔があまりにも優しくて、心の中で固くなっていた何かが、溶けていくように感じた。
「なに、ニヤニヤしてるんだよ」
「いえ、何でもないです。帰りましょうか」
俺はいつものように視聴覚室の戸締りをして、カギは新校舎の職員室に返す。
その間に、高槻は自転車を取りに行き、校舎の前で待っていてくれる。
前までは、何も感じないまま、ボーっと歩くだけだった帰り道が、今は嬉しくて、楽しくて仕方がない。
今日もそうなるはずだったのに、その気持ちは一瞬で引っ込んだ。
職員室から出ると、そこにはこの学校で一番会いたくないやつがいたからだ。
「あっ火月……お疲れ。今から帰り?」
バレー部の部長、相原だ。
相原とは実家が隣で、いわゆる幼馴染。学年は相原が一つ上ではあるけど、中学まではよく遊んでいた。
でも、俺が高校に入ってからは一度も話をしていない。
俺は相原の問いかけを無視して、横を通り過ぎようとした。
でも、相原は俺の手をつかんで、それを許さなかった。
「待てよ、火月!」
超インドア派の貧弱な俺に対して、相原は身長百八十センチ越えのスポーツマン。
掴まれた腕を振り払うなんてできっこない。
あの時もそうだった。
俺を掴んで、俺の気持ちはお構いなしに、一方的に話をするだけ。
俺をコントロールしようとするやつは、みんなそうだった。
頭の中に嫌な記憶が流れ込んでくる。
「離せよ!」
「離したら逃げるだろ。話がしたいだけだから」
「俺は話すことなんてない!」
外で高槻が待っているのに。早くそこに行きたいのに。
心臓がバクバクして、頭が痛い。
俺の腕を掴んで、大きな声で俺の大切なものを否定する……忘れていたはずの記憶に頭が支配されていく。
……嫌だ。
記憶に足を取られ、動かなくなっていた体がふいに後ろに引かれ、俺をつかむ相原の手が離れた。
驚いて俺に覆いかぶさる影を見上げると、そこには高槻がいた。
「何してるんですか、相原さん」
高槻は後ろから俺を抱え込み、相原の手を掴んだまま、今まで聞いたことのないような低い声と鋭い眼で、相原を睨みつけていた。
「えっ、高槻?!」
突然の高槻の登場に相原は動揺して、表情がこわばっているし、俺も高槻に抱えられたまま、固まってしまっていた。
何だろう、この状況。
ただただ高槻の顔を見上げたままでいると、高槻は俺からも相原からもパッと手を離し、いつもの穏やかな表情に戻った。いや、戻した、が正しいかもしれない。
「部長がケンカなんてしたらまずいですよ。ほら、瀬良さんも。早く帰りましょう」
そう言って高槻は俺の手首をつかみ、スタスタとまるで連れ去るように外に向かって歩きだした。
「ちょ、ちょっと待て。俺は火月と話があるんだ」
引き留める相原を高槻がまた睨みつけると、相原はビクっと少し怯んだように見えた。
相原に向けた鋭い視線とは打って変わって、高槻は優しい顔で、俺の顔を覗き込む。
「瀬良さん、相原さんと話ありますか?」
「……ない」
高槻の登場に動揺しすぎて、まだ一言も発していなかった俺は、そう答えるのがやっとだった。
なぜか、高槻の目がまともに見れない。
「とのことなので、帰りますね。お疲れさまでした」
そう言って俺の腕を引く高槻に連れられるがまま校舎を出て、いつものように自転車の後ろにまたがって校門を出た。
少しの沈黙がたまらず、俺は高槻に話しかけた。
「高槻はやっぱりキレると怖いタイプな」
ふざけたように言ってみたけど、相原を前にしたときの高槻は怒っているように見えた。
さっきは突然の高槻の登場と、抱きかかえられたせいで動揺して、混乱していたけど、今考えれば、俺が嫌がってるのを見て助けてくれたんだ。
暗い記憶に沈みそうになっていた俺ごと、救い上げてくれた。
「すいません。余計なことしました……」
「いや、助かったよ。ありがと。でも高槻は大丈夫? あいつ部長だろ」
高槻はまだ一年生だ。部活の先輩、しかも部長を思いっきり睨んでいた。
そういうことに躊躇がないから、上級生から目を付けられるんだろう。
でも、正直嬉しい。もともと高槻の性格からして、先輩、後輩とか、そんなしがらみは気にもしていなさそうだけど、俺よりも圧倒的に接する時間が長い相原よりも、俺を優先して助けてくれたくれたんだから。
「う~ん、今度は相原さんにいじめられますかね」
「……あいつはそういうことはしないよ」
相原は悪いやつ、というわけではない。それどころか、すごくいいやつだ。愚痴も言わないし、人の悪口なんかも言ってるところは見たことがない。
まじめで、正義感も強い。俺も、仲が良かった頃は相当面倒を見てもらった。
それでも、俺にはどうしても許せないことがあった。
「なんで、ケンカしてるんですか」
まぁ当然気になるよな。でもケンカをしているわけではないんだ。
きっと相原は、俺がなぜ自分を拒絶するのか理解できていない。
ケンカにすらなってないんだ。
「……今は話したくない」
俺は高槻の背中に頭をもたれかからせ、思考の中から相原と、思い出しかけた嫌な記憶を追いやった。
その背中は暖かくて、少し早くなっている高槻の鼓動を感じる。
これは、自転車をこいでいるせいなのか、それとも俺がくっついているせいなのか……。
もし、後者だとしたら、嬉しい。
もっと、俺のことを意識してほしい。
高槻はそのまま黙って自転車をこぎ続け、気が付けば俺のマンションについていた。
「ありがとな」
「はい、じゃーまた来週。おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
手を振り、俺は背を向けてマンションの中に入った。
さっき思わず触れてしまったせいだろうか。体に残った熱はなかなか冷めなかった。
4
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説

美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。

フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

あなたの隣へ一歩ずつ。
なつか
BL
あの人と初めて会ったのは、校庭の桜の葉が青々と茂り始め、強くなっていく太陽の日差しで汗ばむ季節が近づく春の終わり。
態度がでかいとか、生意気だとか、何かと俺のことが気に食わない部活の先輩方にいわゆる“いびり”を受けている最中だった。
「おい、邪魔なんだけど」
後ろから聞こえてきた苛立ちを帯びた声に驚いて振り向くと、そこにいたのは思わず目を奪われずにはいられないような人だった……。
◆◆◆
男子高校生の両片思いを攻め目線から書いたお話です。
本編11話+おまけ3話。
Side Storyを3話追加しました。
受け目線はこちら。
↓↓
「きみの隣まで、あと何歩。」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/199356113/646805129
後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…
まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。
5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。
相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。
一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。
唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。
それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。
そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。
そこへ社会人となっていた澄と再会する。
果たして5年越しの恋は、動き出すのか?
表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。


目標、それは
mahiro
BL
画面には、大好きな彼が今日も輝いている。それだけで幸せな気分になれるものだ。
今日も今日とて彼が歌っている曲を聴きながら大学に向かえば、友人から彼のライブがあるから一緒に行かないかと誘われ……?
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる